死亡退職金の受給権者

Q 私の夫は別居して別の女性と同居していましたが、離婚はしていませんでした。今回、夫が死亡し死亡退職金が支払われることになったのですが、夫は同居の女性に死亡退職金を遺贈する旨の遺言を残していたようです。私はこの退職金を受け取ることができないのでしょうか。

A 通常、会社の退職金規定には、退職金の受給者の範囲、順位が規定されています。規定に法律上の配偶者が受給権者と定められている場合、退職金は相続財産に含まれないことになるため、遺言にかかわらず相談者が退職金の受給をすることになります。ただし大企業のみ。

1 会社の退職金規定に受給権者の範囲、順位の定めがある場合

 規定に反する内容の遺言の効力は、会社の退職金規定がどのように定められているかによって左右されます。就業規則は会社によって異なりますから、その定め方次第によって異なってきます。

 上記の通り受給権者が定められているなら、受給権者は相続としてではなく規定の定めにより直接、自身固有の権利として退職金受給権を取得されるものとされ、受給権は相続財産に含まれません。ですから、遺言の内容にかかわらず受給権者は死亡退職金を会社に請求できるわけです。なお、死亡退職金は相続財産ではないですが、「みなし相続財産」とされ課税対象とされていますので、その点は注意が必要です(相続税法12条6号)。相続税法では、相続財産とみなされてしまい、民法と税法の違いが出るポイントですね。

 

2 会社の退職金規定に受給権者の範囲、順位の定めがない場合

 この場合、死亡退職金は相続財産とみなされます。そうすると、遺言でこれを相続人以外の者に遺贈することができます。

 したがって、上記相談の場合において、会社の退職金規定に受給権者の定めがない場合は、遺言に基づき同居の女性が受給権者ということになります。

 ただし、退職金以外にめぼしい財産がなく、遺言により相続人の遺留分が侵害されている場合には、同居の女性に対し遺留分を請求することが可能です。

 

3 重婚的内縁関係の場合

 退職金規定の定め方次第では、誰が受給権者なのかその解釈が問題となることもあります。たとえば、受給権者について「配偶者(内縁の者も含む)」と定められている場合は、上記相談者と同居の女性のいずれが請求権を有するのか明らかではありません。

 このような場合、現に法律上の配偶者がおり、この者との間に離婚の合意がない以上、法律上の配偶者を受給権者とするのが原則です。ただし、県職員の死亡退職手当の支給について、法律上の婚姻関係が形骸化しているのに対し、婚姻をする意思の下に20数年の長期にわたり夫婦としての社会的実態を有している重婚的内縁関係にある者は、条例に定める「配偶者」に該当するとの裁判例も存在しますから、婚姻関係が長年に渡って形骸化している場合には判断が分かれるところです。実質的に判断がなされるのか、形式的な判断になるのかですが、相続税の問題もあり、なかなか重婚的内縁の場合は難しいようにも思われます。

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