離婚・親権に関して合意が得られている場合、養育費の取り決めは?どのようにすればよいでしょうか。また何歳まででしょうか。

 養育費の本質

 親族間の扶養義務には、生活保持義務(自分の生活と同程度の生活を保持すべき義務)と生活扶助義務(自分の生活を犠牲にしない限度で、被扶養者の最低限の生活扶助を行う義務)があるとされていますが、未成熟子に対する養育費の支払い義務は、生活保持義務であると考えられています。したがって、養育費は、扶養義務者である親が扶養権利者である子について、自己のそれと同一の生活を保持できるよう定められるべきことになります。

 養育費の定め方

 養育費の額、支払い方法は、まず、夫婦の話し合いで決めます。お互いの収入や財産、これまで子どもにかけた養育費の実績、これからの見通しなどを考慮して協議決定して下さい。最近は東京家庭裁判所のホームページにある算定表で決める例もあるようですが、5万円程度とする例も多いと聴きます。

 養育費についての取り決めは口頭でも有効ですが、取り決めの内容を明確にし、後日の紛争を避けるため、夫婦双方が署名押印した書面を残しておくことをお勧めします。取り決めの時に立ち会ったしんぞく、知人などに証人、立会人として書面に署名押印してもらい、支払いが滞った際にそういう人から督促してもらうことも考えられます。

 養育費の取り決めについて公証役場で「約束を守らない場合は強制執行をしても構いません。」という文言をつけた公正証書を作成しておけば、支払いが滞った場合に、裁判をしなくても、公正証書を債務名義(強制執行力のある書面)として支払い義務者の給料を差し押さえるなどの強制執行が可能となりますので、養育費の支払い確保にさらに有効です。養育費は、給与の半分まで差押えることができ、実効性も高いので公正証書は費用がかかりますが、作成しておくべきです。

 養育費支払い義務の終期

 

 民法は扶養を受ける子の年齢について規定しておらず、家庭裁判所の実務では個々のケースにおける親の資力や学歴等、家庭環境を考慮して、「成年に達する月まで」や「大学を卒業する年の3月まで」などと決めているのが実情です。

 一般に、養育費の対象となる子は「未成熟子」すなわち「身体的、精神的、経済的に成熟化の家庭にあるため就労が期待できず、第三者による扶養を受ける必要がある子」とされており、行為能力の有無を基準とする「未成年者」という概念とは異なります。現在は離婚の時期により、こどもが14歳以下の場合は20歳まで、15歳以上で大学進学の見込みがある場合は22歳、DVの場合などで経済的に養育費で揉めて離婚が困難になるおそれがある場合で身の危険が迫っている場合は18歳で合意しているように思います。

教育費は負担するの?

 

養育費の支払いについての取り決めは、子が成年に達する月までとするのが最近の主流ですが、最近は高校を卒業後、四年制大学や短大、専門学校に進学を希望する子の割合が高くなっており、これらの子の扶養請求に対して親は扶養義務を負担するのかが問題になります。

 親の扶養を受け取ることのできる子を未成年に限定することなく、未成熟時という概念で捉えると、子どもが成年に達していても大学在学中である場合や子どもが大学進学を強く希望している場合であって、親の資力、学歴、社会的地位答から通常大学卒業以上の口頭教育を受ける家庭環境であると判断される場合には、親に具体的な扶養義務(教育費等の負担)を負担させることができると考えられます。

 義務者が医師である場合の裁判例では、子が大学を卒業することを強く望んでいる場合等で、大学卒業時までの扶養料乃至満22歳に達した後の最初の3月までの養育費の支払い義務を認めています。つまり医学部を卒業したり専門医になるための費用までは持つ必要はないとされているのです。

 これらの裁判例は、未成熟子の扶養の本質をいわゆる「生活保持義務」であるとする考えに基づくものといえます。

 もっとも、離婚訴訟の実務において、判決で養育費の支払いを命じる場合には、「子が成年に達する月まで」とされるのが通常です。

 協議が調わない場合

 

 夫婦間で協議が調わない時は、家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停を申立てることになります。

 離婚の合意はできていて、養育費についてだけ折り合いがつかない場合でも家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることは可能です。調停での養育費算定方法については、養育費の簡易算定表が広く使われています。

 これは、標準算定表といわれるもので、現在新しい算定表を作る司法研究も進められていると聴いています。さて、これは同方式に基づいて算定される養育費、婚姻費用の額を概ね2万円の幅を持たせて整理したものです。この算定表は、あくまでも標準的な額を簡易迅速に算定するために算出することを目的とするものです。そして、医療費や保育費など加算調整要素を加えて、定まるものです。ただし、個別事情といっても、通常の範囲のものは標準化にあたって考慮しているので、この算定表の枠を超える額の算定で算出すると、著しく不適切になるような特段の事情がある場合に限られています。

日弁連方式の新算定表

 日弁連では新しい算定表を公表して提言をしています。これは、問題意識としては生活保持義務が尽くされているか疑問であるということで、算定表は低額に過ぎるという一部の意見に基づいてまとめられたものです。その内容は子の利益を最優先とするものですが、養育費は父母子の利益の調和の観点から決められなければならず、元裁判官からは、権利者にとって1.5倍になる日弁連提言は、有利なものとなるが子の利益を重視した結果、父親の利益は後退していることになり理想に偏した面があると指摘されています。そして、元裁判官は日弁連方式は、現実性に沿わない問題が生じると指摘しています。

・きめ細やかな具体的妥当性を求めた結果、一部実額主義になる

・一般の人には使いづらい

・現在の算定表は、「絶対的基準」からは低いと批判されるが、父親の収入という「相対的基準」からすると、むしろそれほど低い金額ではない

・実務は、理論に偏するのではなく、個別事情及び特別事情を類型的に考慮することにより、具体的妥当性を図っているとの指摘もあります。

 

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