養育費シミュレーション|どのくらいの支払を受けられるか知りたい方へ
養育費シミュレーション|どのくらいの支払を受けられるか知りたい方へ
養育費の取り決めをするとき「いくらに設定すれば良いのか?」迷ってしまう方がたくさんいらっしゃいます。
ここでは、親それぞれの年収や子どもの人数、年齢に応じた養育費の相場や調べ方、シミュレーション結果をご紹介いたします。
お子様のおられる方はぜひ、参考にしてみてください。
1.養育費の相場と取り決め方法
養育費は、親が親であるがゆえに子どもへ当然支払うべき費用です。
子どもを育てるにはお金がかかるので、別居している親は子どものために費用を負担しなければなりません。
養育費は「生活保持義務」といって、「相手に自分と同等の生活をさせなければならない」という高いレベルの義務です。
「借金がある」、「家賃や住宅ローンが高い」などの事情があっても免除や減額の理由にはなりません。
養育費の金額は、基本的に当事者が話し合いによって決定します。お互いが納得すれば、いくらに設定してもかまいません。
そうはいっても、何の基準もなければ合意しにくいでしょう。
そういったケースでは、養育費の「法的な相場」を参考にしてみてください。
養育費の法的な相場とは
養育費の金額には、裁判所の定める法的な相場があります。
別居親が養育費を払わねばならないといっても、収入がまったくなければ支払ができません。自分の生活が破綻してしまうほどの金額を支払わせるのは無理があります。
そこで裁判所は、年収や子どもの人数、年齢などに応じて「適正な相場」を設定しているのです。
基本的には支払う側の年収が高くなれば養育費の金額が高額になり、支払を受ける側の年収が高ければ養育費の金額は下がります。
子どもの人数が多ければその分費用がかかるので金額が上がり、子どもが15歳以上になると学費などが余計にかかるので増額されます。
具体的な金額は、こちらの表にまとまっているので、参照してみてください。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
2.養育費の具体的なシミュレーション
以下でケース別に具体的な養育費のシミュレーションをしていきましょう。
2-1.父親の年収が500万円、母親の年収が100万円
父親の年収が500万円(会社員や公務員などの給与所得者)、母親の年収が100万円の場合です。
4歳の子どもが1人
養育費の相場は月額6万円程度です。
4歳と7歳の子ども
子どもが2人いると、1人のケースより金額が上がります。
この場合の養育費の相場は、月額8万円程度となります。
16歳の子どもが1人
子どもが15歳以上になると、養育費の金額が上がります。この場合の相場は月額7万円程度となります。
10歳と13歳と16歳の子ども
子どもが3人いると、養育費の金額が増額されます。
この場合の相場は月額10万円程度です。
2-2.父親の年収が700万円、母親の年収が100万円
支払う側の年収が700万円に上がると、500万円のケースより養育費が高額になります。
4歳の子どもが1人
養育費の金額の相場は月額8万円程度です。
4歳と7歳の子ども
養育費の金額の相場は月額10~12万円程度となります。
16歳の子どもが1人
養育費の金額の相場は月額10万円程度です。
10歳と13歳と16歳の子ども
養育費の金額の相場は月額15万円程度です。
2-3.父親の年収が1,000万円、母親の年収が100万円
支払う側の年収が1,000万円に増額されると、さらに養育費の相場が上がります。
4歳の子どもが1人
養育費の金額の相場は、月額12万円程度となります。
4歳と7歳の子ども
養育費の金額の相場は、月額16~18万円程度です。
16歳の子どもが1人
養育費の金額の相場は月額14万円程度です。
10歳と13歳と16歳の子ども
養育費の金額の相場は、月額20~22万円程度です。
2-4.父親の年収が500万円(自営業)母親の年収が100万円
自営業者の場合、表の中でみるべきラインが異なってきます。同じ年収額なら給与所得者よりも養育費の金額が上がります。表の内側の「自営」のラインにある数字を参照しましょう。
以下では父親が自営業で年収500万円、母親が年収100万円の場合における養育費の相場をご紹介します。
4歳の子どもが1人
養育費の金額の相場は、月額8万円程度です。
4歳と7歳の子ども
養育費の金額の相場は月額10~12万円程度となります。
16歳の子どもが1人
養育費の金額の相場は月額9万円程度です。
10歳と13歳と16歳の子ども
養育費の金額の相場は、月額12~14万円程度です。
3.子どもの学費や大きな病気をした場合の治療費は?
上記でご紹介した養育費の相場金額は、あくまで毎月の基本的な費用です。
子どもが大学に進学したり、私立中学、高校に通ったりするとさらに多くの学費がかかるでしょう。子どもが大けがをしたり病気にかかったりして治療費が必要になる可能性もあります。
そういったケースでは、通常の月額の養育費とは別に相手に負担を求められます。
また、子どもが大学に進学する蓋然性が高い場合には、離婚時に学費の負担方法についてあらかじめ取り決めることも可能です。
4.養育費は誰が決めるのか?
4-1.自分たちで話合って決めるのが基本
養育費の金額を定めるときには、基本的に当事者同士が話し合いで決定します。話し合いであれば、相手のボーナス月に多めの支払をしてもらう方法なども設定できます。
離婚前に合意して、離婚後すぐに支払を開始してもらうのが理想といえるでしょう。
自分たちで取り決めるときには、必ず「養育費支払に関する合意書」を作成し、公正証書にしてください。口約束では後で払ってくれなくなるリスクが高まります。
また公正証書にしておけば、後に相手が払わなくなったときにすぐに差押えができて手間が省けます。
4-2.話し合いで解決できなければ養育費調停を申し立てる
自分たちだけでは決められないケースでは、家庭裁判所で養育費の金額を取り決めましょう。
離婚前であれば離婚調停、離婚後であれば「養育費調停」を申し立てます。養育費調停では、父母の間に調停委員が入って養育費の話し合いを進めます。それでも合意できない場合には、審判官が「審判」によって養育費の金額を取り決めて支払い義務者へ支払い命令を出してくれます。
4-3.当事者同士の協議と調停、どちらが有利?
家庭裁判所で養育費を決めてもらう場合、どうしても月額の費用のみになってしまいがちです。特に審判では、将来の学費の支払いなどを柔軟に取り決めるのは難しくなるでしょう。
自分たちで話し合って決める方が、柔軟に対応しやすいメリットがあります。
ただ合意ができなければ審判してもらうしかありません。審判であれば、相手が拒否しても強制的に支払い命令を出してもらえます。相手が支払に応じなさそうな場合には、早めに養育費調停を申し立てましょう。
また調停や審判で決まった内容には強制執行力が認められるので、相手が支払わないときには給料や預貯金などを差し押さえて養育費を回収できます。
5.養育費の相場が変わったときの対処方法
先のシミュレーションで示したとおり、養育費の金額相場は両親の収入額や子どもの年齢によって変わります。
親が再婚したり再婚相手との子どもが生まれたり、あるいは再婚相手と養子縁組したりすることで、離婚後に養育費の金額や支払い義務に変更が生じるケースも少なくありません。
このように、養育費の金額相場が変わったら、お互いに話し合って新たな状況に適した金額へ変更しましょう。
6.養育費のご相談は弁護士へ
養育費のシミュレーションができるサイトはたくさんありますが、子どもにかかる金額は単純なシミュレーションだけで解決できるものではありません。
たとえば兄弟姉妹の親権者を分けて父親と母親がそれぞれ子どもを育てている場合、親権者が再婚して養子縁組した場合や支払義務者が再婚したり子どもができたりしたときにはシミュレーションソフトだけでは計算できません。
養育費の適切な金額を知りたい場合、弁護士に相談しましょう。父母やお子様の状況に応じて妥当な養育費の金額をお伝えします。弁護士には相手との交渉や養育費調停も任せられますし、公正証書の作成も依頼できます。
当事務所では子どもの問題に高い関心をもっております。積極的な取り組みを進めていますので、まずは一度ご相談ください。