面会交流申立、10年で2倍に増加-面会交流をお手伝い!ヒラソルの法律相談
18日付の毎日新聞の一面記事は、面会交流申請が10年で2倍になっているもので、しかもその調停の4割が不成立になっているものでした。4割が不成立という統計を最高裁がまとめたことは、特筆に値することではないかと思います。面会交流は約4000件前後から約10000件で申立が増加しています。しかし、成立率は56パーセント、取り下げも考えると約半分の案件で面会交流が実現しないといえます。
毎日新聞が適格であるのは、「親同士の感情対立から、合意に至らないケースが相当数ある」との指摘です。率直にいって、裁判所は、子の福祉の観点をいいますが、面会交流は離婚後の元パートナー同士の関係をどう構築していくかという問題です。
最近の審判例では「原則として子の福祉を害するような特段の事情のない限り面会交流を認めるべきである。なお、元両親の信頼関係も大事である」というものがありました。しかし、面会交流は特に小さな子どもについて問題になるものです。そして小さな子どもというのは、例えばわずかな父親の姿などを心の支えにして生きている、ということもあります。現実問題として、親同士の調整をほぼ行わない、というのが家庭裁判所の運用であり、不成立が40パーセントを超えるのも分かるような気がしています。裁判所には、元・親同士の修復的な司法にも力を発揮して欲しいと思います。しかし、原状は平成12年の最高裁が示している考慮要素から親同士の信頼関係があることを外してしまっていることには不安を覚えるところです。
その結果、審判レベルでは面会交流を認めるものも出てきていますが、中には「親同士の信頼関係はない」と認定しつつ面会交流を認めるものもあり、毎日新聞の問題意識の方が深い、と思います。
また、社会科学的な背景をいうと、男性の子どもへの育児参加が一般的となり、子どもに母親と変わらない、といったら少し偏見があるかもしれませんが、同じレベルの愛情を持つ人が増えて、女性の社会進出の裏返しの減少といえるかもしれません。