離婚後、こどもに必要なメンタルケアについて
離婚後、子どもに必要なメンタルケアについて
- 離婚することになったが、子どもが毎日泣いて困っている
- 離婚したら、子どもが幼児返りしてしまった
- 離婚が決まったら、子どもが学校で問題を起こした
- 離婚後、子どもの気持ちを楽にしてあげるにはどうしたら良い?
子どもがいる夫婦が離婚すると、子どもの心が大きく傷ついてしまうケースが多数あります。子どもにとって、一方の親と一緒に暮らせなくなることは非常に重大な事件だからです。
今回は、離婚後に子どもにとって必要なメンタルケアについて考えてみましょう。
1.離婚によって子どもが受ける影響
両親が離婚すると、子どもの心は大きく傷つきます。小さい子どもであれば不安を表面に出して泣くこともありますし、言葉に出さず行動に異変が表れることもあります。
また表面上は平気な顔をしていても心の中にストレスや不安を溜め込んでいることも多く、注意が必要です。
両親が不仲を隠していても子どもは察知して「自分が間に入って何とかしなきゃ」と考え自分を追い込みます。
「両親が喧嘩しているのは自分が悪い子なせいだ。良い子になるから仲良くしてほしい」と思い、必死に両親の間をとりもとうとしたり様子を窺っていたりもします。また、自分が悪い子だから離婚してしまうんだと自分を責めるこどももいます。
幼稚園くらいの子どもでも、そういった辛い気持ちで両親の喧嘩や離婚を眺めているものです。大人が考えているよりも、子どもはずっと物事を客観的に見ていて理解もしているので、言動にはくれぐれも注意が必要です。
2.離婚時や離婚後、よくある子どもの行動
離婚によって子どもの心が傷つくと、以下のような言動をとることがあります。
2-1.おねしょが再開する
小学校くらいになって「おねしょ」はずっとしていなかったのに、離婚の話が出るとおねしょが再開してしまう子どもがいます。不安感の表れでおねしょをしてしまうのです。このようなとき「こんなに大きくなったのにお漏らしするなんて!」などと怒ってはいけません。
2-2.チック症状が出る
ストレスにより、チックのように目をしばたかせる症状が出てしまう子どももいます。問題が解決して安心できれば治るケースが多数です。
2-3.学校で友達ともめる
これまでおとなしかった子どもでも、友達と喧嘩をしたり友達の物を壊したり盗んだりなど、学校でトラブルを起こしてしまうケースがあります。
2-4.つねにそわそわしている、不注意になる
何となく常に態度が落ち着かずそわそわしたり、不注意でミスが増えたりする子どもがいます。たとえば宿題をしなかったり忘れ物が多くなったり必要な事を親に伝えなかったりします。
2-5.「パパ(ママ)と会いたくない、会わなくていい」と言う
離婚すると、子どもは同居親に気を使うので「パパ(別居親)と会わなくていい」「会いたくない」と言うケースも多々あります。これは、本心から会いたくないと思っているのではなく、同居している親の気持ちに配慮してそう言っていることが多数です。
真に受けて「面会交流をしなくて良いのだ」と考える親もいますが、そうすると子どもの心はますます閉じてしまうので注意が必要です。
2-6.言動が幼児っぽくなる
両親が離婚することになると、言動が幼児返りして子どもっぽくなるケースがあります。これは、小さな子を演じることで両親が自分に注目し仲を修復してくれるのではないかという思いと、両親の離婚を見ていることに耐えられないので幼児に戻って逃げたいという心も現れです。
「なんで大きくなったのにこんなことをするの、こんなことがわからないの!」などとしかると子どもがさらに傷ついてしまうので、配慮して見守ってあげましょう。
3.離婚後、子どものメンタルケアのために親ができること
そうはいっても離婚を避け難いケースもあります。離婚後親は子どものために、どのようなことをできるのでしょうか?
3-1.相手の悪口を言わない
離婚後、最低限守っていただきたいのが「子どもに対し、お互いに絶対に相手の悪口を言わない」ことです。
たとえば「パパは本当に最悪だった」「別れてせいせいした」「あなたは絶対あんな人間になっちゃダメよ」などと言ってはいけません。子どもは「わかった」「そうだね」「ずっとママを守るよ」「僕も早く離婚したら良いと思っていた」などと言ってくれるかもしれませんが、それは「自分の半身」を否定することですから、子どもの人格が大きく引き裂かれます。
あなたが相手を憎んでいても子どもにとっては親であることを常に意識して下さい。
3-2.なるべく相手と会わせる、自由な交流を認める
次に面会交流です。離婚後、子どものメンタルケアのためにもできるだけ積極的に面会交流を行って下さい。
離婚によって傷ついた子どもの心も、別居となった親と会って楽しい時間を過ごせたら徐々に癒やされていきますし不安感も解消されます。具体的には、喪失感を埋めるということです。こどもは両親を失うことにより喪失感を持ちますが、当座面会交流が続くことにより喪失感を埋めることができます。こうした喪失感を引きずるか否かはその子の考え方を左右する可能性もあるでしょう。
離婚すると小さい子どもが「パパ(ママ)と会わなくて良い」と言うケースも多いのですが、その言葉を真に受けるべきではありません。そのように言っている子どもであっても、何度か面会しているうちに心からの楽しい笑顔を見せるようになるものです。ただし、例外的な場合や大きくなってきた場合は、こどものペースに合わせてあげるのが良いでしょう。
なお実際に何度か面会をして、毎回が苦痛の繰り返しということが続くのであれば、そのときに打ち切りを検討しましょう。ただ、一般論では、こどもが楽しみにしていれば親の不満だけでは面会交流は中止することは難しいことが多いでしょう。
3-3.パパもママもこれまでと変わらず子どもを大切に思っていると伝える
子どものメンタルケアで重要なことは、子どもが「これまでと変わらず両親から愛されている」と感じられることです。さもないと情緒が安定しないこどもになる可能性があるのです。
そこで折に触れて、あなたも、そしておそらく相手も子どもを何より大切に思っていると伝えましょう。言葉にしないと分かってもらえないことがあるのです。こどもに忖度を求めることは間違っています。
離婚によっても何も変わっていない、相手とも会えるし両親から愛されている、ただ事情があって一緒に暮らせなくなっただけだ、そのように子どもが心の中で消化できれば徐々にストレスや不安も解消されていきます。
子どものメンタルケアへの対応について、自分一人では難しい場合には子ども家庭センターで相談を受けたり、子どもに対応しているカウンセラーを利用したりするのも1つの方法です。
離婚によって傷ついた子どもの心は、そう簡単に癒えるものではありません。子どもの心としっかり向き合って、徐々に癒していきましょう。また離婚で傷つくのは当事者も同じですから、あなた自身のメンタルケアも忘れないで下さい。しかし、親は再婚などで次のステップに進みたがりますが、こどもがそれについていけるか、ステップファミリーなどの問題として指摘されます。ですから両親自身のメンタルが安定していても、こどものために面会交流は当座続けることが望ましいでしょう。