内縁の夫と離婚、未婚の場合でも「児童扶養手当」を受給できる?

内縁の夫と離婚、未婚の場合でも「児童扶養手当」を受給できる?

 

シングルマザーにはいろいろな状況があります。たとえば内縁の夫と離婚して1人で子どもを育てることになったとき、行政から「児童扶養手当」を受給できるのでしょうか?

 

交際中の彼氏との子どもができたけれど、別れて「未婚の母」になってしまうケースもあるでしょう。

 

実は事実婚や未婚の母であっても、「ひとり親」であれば児童扶養手当を受給できます。

 

今回は内縁の夫と離婚した場合や未婚のシングルマザーになったときにも受け取れる「児童扶養手当」について解説します。

 

1.児童扶養手当とは

児童扶養手当とは、ひとり親家庭の親に対し子どもの扶養料として支給されるお金です。

受給期間は子どもが18歳になった次の331日までとなっています。ただし子どもに一定以上の障害があれば、20歳になった次の331日までに延長されます。

 

給付金額は年によっても変わりますが、2020年には子ども一人のケースで月額43,160円。

子どもが2人になると月額10,190円加算、子どもが3人になると月額6,110円加算されます。

 

ただし所得制限があり、所得が一定以上になると「一部支給」となって減額されますし、さらに所得が増えると支給されません。

 

2.児童扶養手当の対象となるケース

児童扶養手当の支給を受けられるのは、以下のようなケースです。

 

  • 父母が婚姻を解消し、その後、父または母と生計を同じくしていない子ども

両親が離婚して、どちらか一方と家計が別になってしまった場合です。家計が別であれば、養育費を受け取っていても児童扶養手当を受給できます(ただし減額対象となります)。

  • 父または母が死亡した子ども

父母の一方が死亡した場合にも児童扶養手当が支給されます。

  • 父または母が重度の障害をもっている子ども

父母のどちらかに重度障害があれば、離婚しなくても児童扶養手当が支給されます。

  • 父または母の生死が明らかでない子ども

父母のどちらかの生死が不明な状態であれば、残された親が児童扶養手当を受給できます。

  • 父または母から遺棄されている子ども

父母がいても、1年以上見捨てられて扶養されていない状態が続いていれば受給できます。

  • 婚姻によらないで生まれた子ども

父母が結婚せず、未婚のまま生まれた子どもです。

  • 遺児など父母が明らかでない子ども

父母が不明な子どもも児童扶養手当の支給対象となります。

  • 父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている子ども

父母のどちらかが懲役や禁固などの刑事罰を受けるなどで、1年以上拘禁されている場合には離婚しなくても児童扶養手当を受給できます。

 

2.児童扶養手当を受給できないケース

以下のような場合、児童扶養手当は受給できないので注意しましょう。

 

  • 児童扶養手当を受給する親や子どもが日本国内に居住していない
  • 子どもが里親に委託されている
  • 子どもが児童福祉施設などに入所している
  • 子どもが父または母の配偶者に養育されている
  • 父母のどちらかと同居していなくても、子どもが別居親と生計を同じくしている

 

3.内縁の夫と別れた場合の児童扶養手当

内縁の夫と別れた場合、ひとりになった親は児童扶養手当を受け取れるのでしょうか?

これについては、問題なく受け取れます。

児童扶養手当は「父母が婚姻を解消し、その後、父または母と生計を同じくしていない子ども」に支給されます。ここでいう「婚姻」には事実婚(内縁関係)も含まれると理解されているからです。

内縁の夫(妻)と別れた場合でも、法律婚のケースと同様に所得制限にかからなければ児童扶養手当を受け取れるので、早めに申請しましょう。

 

4.未婚の母の場合の児童扶養手当

彼氏との間に子どもができて、事実婚にすらならずに「シングルマザー(未婚の母)」になってしまう方もおられます。

こういったケースでも、児童扶養手当は問題なく支給されます。「婚姻によらないで生まれた子ども」が支給対象になると明記されているためです。

 

認知されたかどうかは関係ない

実はかつて未婚の母の場合、「父親が認知すると児童扶養手当を受給できない」制度となっていました。しかし認知したからといって父親が子どもを扶養するとは限りません。

そこで最高裁判所は「認知したかどうかによって児童扶養手当の受給の可否を区別するのは違法」と判断しました(最判平成14131日)。

 

よって今では父親から認知されていても、児童扶養手当を受給できます。養育費を受け取っていても、所得制限にかからない限りは支給対象となるので、要件を満たすなら申請を行いましょう。

 

5.内縁関係で児童扶養手当を受け取る際の注意点

内縁関係を解消してひとり親となったら児童扶養手当を受け取れますが「よりを戻した」場合には、支給対象外となるので注意が必要です。

たとえばいったんは別居しても再度同居するようになったら、児童扶養手当の支給対象外になると考えましょう。それにもかかわらず受給を続けると「不正受給」となるので、早めに役所へ報告しなければなりません。

 

未婚の母となったケースでも、その後彼氏と同棲するようになった場合には、児童扶養手当の支給対象外となります。

 

さらに「別居のまま」でも児童扶養手当を受け取れなくなる場合があります。別居状態であっても「相手と生計を同一にしているケース」が考えられるためです。

たとえば居住場所は別でも頻繁に訪問していて「半同棲状態」となっている場合、生活費のやり取りをしていて実際には家計が1つになっている場合など。

そんなときには「別居」とはいっても事実婚が成立しているのと同じなので、児童扶養手当の支給対象になりません。

 

重婚の場合の取扱い

事実婚の場合、男性が法律上の妻と離婚しておらず「重婚」状態になっているケースが少なくありません。重婚状態の男性と事実婚を継続している場合、女性は「ひとり親」として児童扶養手当を受け取れるのでしょうか?

 

実はかつて、こういったケースでは「事実婚に該当しない(ひとり親である)」として児童扶養手当が支給されていました。「重婚状態」や「近親婚」など法律が禁止する関係は「婚姻状態」とはいえないという理由です。

 

しかし現在では「重婚状態であっても夫と同居して子どもが扶養されている以上、児童扶養手当を支給する必要はない」と考えられています。

そこで重婚状態の事実婚(男性に法律上の妻がいる状態で他の女性と内縁関係になるケース)では、内縁関係の女性は児童扶養手当を受給できません。

 

 

6.内縁関係についてのお悩みはご相談ください

内縁関係では、子どもや離婚、財産管理、行政給付などの点でさまざまな疑問が発生するものです。わからないことがあれば、専門家へ相談しましょう。

当事務所では事実婚や未婚、LGBTの方などへの法的支援に積極的に取り組んでいます。お悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。

依頼者様の想いを受け止め、
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問題解決へ導きます。

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