面会交流

こどもの面会交流とシュシュとの対談2

シュシュ:最近、よく耳にするのが面会交流の原則実施についての考え方の妥当性みたいな議論ですね。

弁護士:うん、ただ、東京家裁昭和39年12月14日の審判例でもね、もうすでに面会交流権は親の自然権とされていて、「この権利は未成熟子の福祉を害することがない限り、制限され又は奪われることはない」とされていますから、基本的な考え方は昭和39年から変わっていないのだよね。

シュシュ:昔から原則実施説だったのに、今、どうして「騒ぎ」になっているのかな。

弁護士:一般的に監護親と子の生活の平穏を重視して面会交流実施についてどちらかというと慎重であったものが、個別具体的に実施に向けて問題点を検討するというスタイルに変化してきたからです。

シュシュ:つまり、今までは、なんとなく調査もしないで、監護親と子の生活の平穏からして、難しそうということであれば、却下していたということですね。

弁護士:そうですね。ですから、面会交流原則実施否定論者から、そうした時代の却下例が今でも引用されることはありますよ。しかし、議論の立て方自体がどうかという問題があるかと思います。つまり、面会交流原則実施が是か非かという議論は、あまり意味がないように思います。その辺りを理解していない弁護士が多いことに驚きますね。普通のお母さんのインタビューの方が意識が高いように思います。

シュシュ:面会交流が是か非かで問題になるのはDVだよね。DVは、仕立て上げDVが認定して愛知県に賠償命令が出された名古屋地裁判決も出たところで事実認定自体も難しそうだよね。でも、監護親に暴力があった場合に面会交流は常に禁止されないといけないの?

弁護士:基本的に裁判所は、面会交流は子が分かれている父親から愛情を受ける大切な場面という働きかけがなされています。面会交流は究極的には、監護親の善意に依存しないといけないので、その信頼関係の構築が大事といえると思います。

シュシュ:ただ、父母のラポール形成を前に、法的判断として、面会交流禁止事由のみを判断するという手続運営がされているようで、これでは、「ザ・裁判所」であって、アメリカやパリの家庭裁判所とは全く異なってきますね。

弁護士:元配偶者の過去の暴力が原因で面会交流に抵抗を示す監護親に対する働きかけだけではなく、暴力を振るった方の非監護親に対しても、現在の監護状況を尊重しない姿勢や支配的姿勢が子のための面会交流実現の阻害要因になることを理解させる働きかけが必要です。

シュシュ:弁護士としては、調査官による調整活動が頭に浮かぶけれども、裁判官の手続き指揮が適切に行われていないように感じる事案もあるようである。そこがちょっと意外というか、当事者のクレームになるところだよね。

弁護士:調査官不信やこどもの手続代理人を実施するよう求める声が高まる原因ですね。

シュシュ:調停委員の方はどうかな?

弁護士:うーん、色々です。ご相談の中には、調停委員の中には原則実施で、例外が認められる4要件に該当することの立証を求め、そうでない限り会わせるようなアプローチを求める方もいますね。

シュシュ:いわゆるフェミニストグループの弁護士さんはどういう考え方なの?

弁護士:証拠が少ないので面会交流に拒否的な親と断じられてしまうということですが、証拠もないのに、夫をDVだと断定的に決めつけること自体に警鐘を鳴らした判例が登場したことは述べたところです。

DVについても、一部、それを補強する証拠すらないということになってもDVの主張をすることは、現在は、判例に照らしても相当性を欠く場合があるようにおもいます。なので次第に極端なグループの主張は危険なような気がします。

シュシュ:面会交流といっても、基本的には面会交流は、別れたお父さんと会う機会としてこどもにとって良い機会なのであって、普通に行われればよいものであると思うのに、なんで、フェミニストグループは反対するのだろうね。

弁護士:フェミニストグループも「詰めた」議論をしていると面会交流自体を否定的というわけではないと思います。面会交流というのは、普通に行われるのだから、こどもにとってたえになるものであり、この点は、あらゆる法曹にとって何ら異論がないはずdす。

ただ、子の福祉の観点から、どちらかというと面会交流について、控えめな対応をするのか、積極的な対応をするのか、裁判官の考え方もあります。

シュシュ:うーん。あとさ、うちみたいな父子家庭だとバタバタしてます。僕、バレーボールの部活しているし。パパは仕事終わったらバタバタ夕食を作ってくれます。僕は夕食の手伝いをして、お風呂の準備や宿題、翌日の準備をしたりしています。そこに、ママが「パリに来たから会いに行きたいわ」といわれてもね。少し僕らの気持ちも考えてくれないといけないよね、と思います。ただし、パパは、「ママとの面会は重要だ」というので、めんどうくさいのですが、食事には付き合いにいきますが、うちはほとんど外食しないし、疲れますね。

ついでにいうと、ママは寂しいから僕に会いたいというのならば、何のための面会交流なのかということの視野が狭いのではないのかな、と思います。日本では、父母のさみしさを満たすためという感じですが、欧米ではペアレンティングといって、こどもに教育をするために会うということなので、食事をして雑談をして満足して帰っていくママをみていると、なんか感情労働をさせられている気がします。ホストみたいな(笑)。

弁護士:僕としては、「こどもだってお父さんに聴きたいことがある。それと同じようにお母さんにも聴きたいことがある。どうして一緒に住めないのか。別れる過程について聴きたいはず」というような説明もあります。やはり宇多田ヒカルさんの話しもありましたが、離婚ってこどもにとって衝撃なのですよね。それを受け入れるためには、様々な感情の処理が必要になる。僕は、こどもの知る権利というか、こどもが親をきちんと自己分析して親子関係をきちんと自己分析して、判断する機会にしていただければいいですよね。

シュシュ:欧米では克服されたところがあるけど、韓国に続いて日本でキーワードになるのは「親教育」だろうね。親が諍いを起こしていると、こどもに悪影響なんだよということを双方に理解してもらって、パパはパパ、ママはママなんだよ。ストレスフルなところで面会を実施しても子の福祉に適うわけないですもんね。

弁護士:これは、僕の一大テーマでもあるのだけど、「親の意識改革」、還元すれば、「代理人と裁判所そのものを巻き込んで大きなプロジェクトで親教育を実施していくという視点を持っていくということ」ですね。これはパワポで新人調査官が一方的な演説をする親ガイダンスとは違います。

シュシュ:日本の調停委員は、一般調停委員は廃止して、メディエーターを導入した方がいいよね。調停委員がメディエーターになって心理面も含めて双方の親の説得をしてもらえると助かるよ。

弁護士:弁護士調停委員ですら、立証責任はこうですから、はい、とにかく面会してください、みたいな進行では、裁判所に期待されている範囲機能を果たしているとはいえないよね。

シュシュ:僕も、調査官調査はアンフェアだと思います。こどもは大人相手に緊張するし、1回ぽっきり1時間あって「すべてをみてきたかのように」意見をいわれると困ります。小さな子になればなるほど、医師の把握というのは調査官のスキルに関わっています。

弁護士:非常に誘導的なことをこどもに話しかける人もいますね。こどもが面会が嫌といっても、「じゃあ、どうしたらお父さんに会ってもいいかな」みたいなことをまだ低学年のこどもに聴いたりして、何のための調査か、結論ありきかなと思います。

シュシュ:でも、家裁が取り決めの段階までしか関与できないというのがどうかな。実施面のフォローの方が大事だよね。

弁護士:弁護士としても、審判が終わって、2~3回くらいの面会の調整はするんですが、一生付き合うことまではできないのですよね。諸外国に目を向けると、実施面のフォローというのは国の仕組みということもあるので、原則実施説か否かというようなことで議論が集中するのは不毛だな、と思います。

ある裁判官の発言では、調停での合意にしろ審判にしろ、スタートラインという指摘があり、スタートラインにつかせることまでが家裁の仕事だろうと思っていますということですね。なんか無責任なような気もしますが・・・。

シュシュ:叔父さんが担当した事案でも面会交流の条項があるのに、結局、会わせてもらえなかったという事例がいくつもあるよね。

弁護士:家裁はスタートラインにつかせることまでが仕事だ、といわれて家裁の手続きを離れてしまうと、相手方から協力できないといわれて、中断することは多いですね。ですから、一定期間はフォロー体制が必要だと思うのです。家裁の審判と審判の実施をフォローするという支援態勢が車の両輪だと思うのです。

 

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