子の監護事件における調停機能とその改善

子の監護事件における調停機能とその改善

 

 こどもは、日々、成長し、その時々に応じて社会環境に適応しながら、自ら社会的関係を形成し、かつ、自我を確立していきます。ある時点の子の監護は、その子の将来の成長や生活といった子の将来の福祉に影響を与えるものであり、これが積み重ねられていくものです。したがって、発達の程度に応じて、ある時点において紛争を解決をすれば良いというものではなく、可変的なものであることを意識する必要が必要です。

子の監護に関する解決方法としての審判手続き

 

 審判は、ある一時点における裁判所の将来判断という限界があります。このため、硬直的な内容になります。また、審判内容に対して、当事者双方が納得するという保障はなく、むしろ一方又は双方が不満を持つのが通常です。

喉元過ぎれば熱さを忘れる

 筆者の経験からすれば、子の監護や子の引渡し、面会交流に関する審判については、当初から又は一定期間が経過すると、うまくいかなくなることが多いように感じます。審判どおりの履行がなされない場合は、強制執行や損害賠償請求までなされることもあるが、このような場合には、強制執行や損害賠償請求までなされることもあるが、このような解決は強制執行や損害賠償請求までなされることがあるが、これらは子の利益の確保の観点から有害である。

 面会交流の損害賠償の監護親側を担当した経験があるが、子は自らが紛争の原因であると感じ、できる限り、両親の紛争から避けることで自らの精神を守ろうとして、このようにした両親に不信感を抱くように思われます。

 調停は、うまく機能うすれば、当事者双方が子の利益に関する話し合いを通じて互いの考え方を理解し、双方が子の利益の観点から譲歩しながら、「監護者の指定」や「面会交流」を総合した一定の監護ルールを決めることが重要と思われます。自主的なルールは履行が期待できますし、柔軟な変更なども可能にすることができ、調停による解決の有用性というのは、「履行可能性」と「柔軟性」という論拠と思われます。

子の監護事件は困難事件類型の一つ

 子の監護事件で重視されるのは、「子の利益」ですが、子は両親とは、別の人格を持った独立の人であり、他方、子の意向表明が両親の影響を受けやすいため、子の利益や関連する事実関係を客観的に把握することが一般的に困難だからである。そのため、客観的に把握することを放棄して「涙があふれ涙がこぼれ」という説示をする大阪家裁堺支部の判事もいる。そのため、「こどものしあわせは裁判所が決めます」という傲慢な裁判官である鈴木千恵子氏のような人物を作出してしまう。これらも、個人の裁判官の主観的な判断に委ねられがちとなり、その結果、双方の共通認識化が難しくなり、裁判官が「一方に肩入れ」する現象をともすると招きかねないからです。

 特に、子の監護に関して裁判所での解決を求めている離婚に直面した父母は高葛藤であることが多く、子の利益という困難な事柄について、互譲を基本とする調停を行うことが困難であることが多いといえます。ハーグ条約において人身保護請求で、米国への返還命令を出されたにもかかわらずこどもが母親と一緒に行方不明になるという報道もあるなど、その争いは熾烈を極めます。特に、女性が、男性と縁切りをしたいという場合、男性との関係の継続性を前提とする子の監護に関する協議に対するインセンティブの確保が重要となってきます。

機能阻害に対する対応の必要性

 子の監護事件は、メディエート、つまり調停が持つ機能の有用性にかかわらず、その機能が訴外されている現状にあるように思われます。しかしながら、子には両親の婚姻関係の破綻や親との別離には責任はありません。しかるに、当事者の協議の内容は子の人生に多大な影響を与えるものです。そのため、たとえ困難な事柄であったとしても、真に「子の利益」に合致した解決をしこうしなければならないものといえます。

 問題は、調停が、どうすれば、「うまく機能するか」といえます。

 調停はうまくいけばメディエート機能を発揮することになります。子の利益の把握の難しさと共通認識化(法律家間ですら齟齬があるように思われます。)の困難さにあると考えられます。そのため、子の監護事件について、調停がうまく機能するためには、子の利益の把握に関する共通認識化の困難さ、当事者のインセンティブの確保という阻害要因に対処し、調停を生き返らせることが重要と考えられます。

子の利益の判断について

 

 子の監護事件では、子の利益に最もプライオリティが置かれていますが、内実は不明確といえます。そのため、当事者の子の利益に関する考え方が異なる事例は枚挙に暇がないという実感である。

 加えて、特に、個々の裁判官、家裁調査官、調停委員が考える「子の利益」自体が異なっているということすらあります。

 こうして、懸念されるのは、事件事に、極めてアドホックに「子の利益」がとらえられ、そのまま事実上「結論ありき」となる恐れがある。このような実情に鑑み、子の利益の内実をある程度客観化することが必要である。

 子の監護や面会交流の基準については、実質は、基準自体の不当性というより運用に対する不当性を指摘するものが多いように思われる。一例を挙げると、面会交流については可否についての基準はあるが、その内容をどのように定めるのか指針的なものはないようにも思われる。つまり、今後は面会交流の内容についての一定の指針も必要のように思われます。

 しかしながら、テーゼとして「両親の紛争性が低い場合には、非監護親と子との頻繁な接触と子のより良い適当との間に関連性があるが、両親の紛争性が高い場合は、頻繁な接触は逆に子の適応の悪さにつながる」とするものがある。

 しかし、子に会わせたくない親からすれば、むしろ当事者間の葛藤を高める行動をとりがちとなり、問題のある状況を引き起こすからである。このように葛藤を高めるようなフェミニストの手続き代理人の啓蒙的防止や当事者の面会交流についての親教育的アプローチが不十分であるといえる。

 しかしながら、簡易迅速に解決しようという誘惑を生じさせるが、基準が把握しようとした「子の利益」に反する可能性があるほか、簡易迅速の趣旨とは真逆の皮肉な結果となる可能性がある。したがって、子の監護事件における調停機能を回復させるには、子の利益における客観化、視覚化とその適切で厳格に過ぎない運用が必要条件である。

共通認識化について

シュシュ:親権争いなどについても、監護権争いなどについても、調停においても、誰もが信頼できる調査官報告書などのベースがあれば、調停の合意もできるようになるよね。

弁護士:ただ、子の意思の把握が難しいよね。子の意思は意思表明の未熟さがあるし客観化が難しいからね。特に子の監護事件の場合、こどもは、監護親のてもとにあるので、子の意思の形成過程に疑義が生じることが多く、洗脳されているということで、子の意思も環境の変化等でベースにできないことがあるのだよね。

シュシュ:子の監護事件は、客観性のある調査官報告書をベースにメディエートをするのがいちばんよいように思われるけどね。

弁護士:子の意思は、調査官からのまた聞き、つまり伝聞のうえ評価が入るので、客観性やえせ科学と評されることもあるね。やはり家裁調査官の主観と、特段臨床心理士の資格もなく制度的担保もない「えせ科学」であるので調停のベースにできないのでしょうね。

シュシュ:調査官報告書に「科学的論述」というのも少ないもんね。

連れ去りものがちといわれないように

子の意思の重層的把握と経時的把握

弁護士:子の意思については、把握は早急に行うべきです。なぜなら、子を連れ去った後、子にとって突然かつ大きな生活環境及び社会環境の変化を伴います。そこでそこで一定の安定が生まれてしまうと子の意思にも変化が生じます。

シュシュ:まあ、一定の安定を生まれてしまったから意思が変わったと非監護親からは思われがちだよね。つまりいかに適切な調査がなされたとしても、当事者の納得は得られないといえます。

弁護士:だから、子の監護事件は、できる限り早期の事実把握が必要と思われます。

シュシュ:家裁に変革を願いたいこととしては、第1回調停期日前に家庭裁判所調査官による調査を行い、第1回調停k実までに調査官報告書を共有していくというところまでしておくということがあってもいいですよね。

弁護士:このような事前包括調査になってしまいますが、実際、調停にかける際、調査官インテークで振り分けをしています。インテークの結果、子の監護に実質的な争いがあることが見込まれる場合、子と非監護親との別居が近接した時期にあるとき、調査事項を意向調査、子の心情、子の状況に限定などして、第1回調停前までに調査を済ませておくということも考えられるように思われます。

シュシュ:それからこどもの意向は変わるよね。別居時はママでよかったけど予想外に環境が悪いからパパのところに帰りたいというようなケースですね。

弁護士:経時的な子の意思の把握という観点から、子の手続き代理人による複数回の意見聴取により、意思の確立を援助するのが重要と思います。家裁調査官のインテーク的なものと合わせて、こどもの手続代理人との役割分担が重要といえます。

シュシュ:調査官の人は1回15分くらいだけど、こどもの手続代理人の弁護士は3回くらい来てくれるからその中で話す内容は変わるよね。同一事実に対して別の者が調査をすることは、事実関係をより正確に把握できると思われるし、公的なものを民間が検証するというところで、信頼度が増すような気がするね。

弁護士:裁判所は、見立てを作って、弁護士が見立てを反駁する客観的証拠を提出しても、それをつぶすための調査嘱託を職権で行ったりしていて、そういうやり方が家裁の信頼度を低下させているのでしょう。

シュシュ:わかりやすくいうと、叔父さんは子の正確な意向を把握して調停に活用しようということだね。

弁護士:調停機能という点からすれば、特に、子自身の意見表明については、親は尊重しなければならないと考えざるを得ない場合が多いからですね。

シュシュ:叔父さんは、子の手続き代理人による子の意思の把握が大事だと考えているんだよね。

弁護士:心理学的には、こどもは別居した場合、①復縁願望、②片親疎外―のどちらかの心理的傾向を示すことが多いのだよ。でもまあこどもが親を復縁させることはできないので、現在は、一方の親を切り捨てるという選択を心理学的にしているこどもが多いのだよね。

シュシュ:ひとりの親を切り捨てる痛みは大変なものだよね。こどもの手続代理人がケアしてくれれば、そういう心理的傾向を持つことなく、子自身に予測可能性を与えることができますものね。

弁護士:僕は、こどもの手続代理人は職権により子の利害関係参加が必要になるのだけど、職権発動の上申があった場合は、合理的な理由がないのに、職権発動をしないという態度は控えるべきであると思います。こどもの声なき声をかき消して、結論ありきといわれかねないからですね。

シュシュ:裁判所は調査官がいるから、子の手続き代理人はいらないという意見が多いようですね。

弁護士:難しいけど、こどもが主体的にこどもの手続代理人を選任したいということは難しいだろうから、その意思を反映させやすくするという制度趣旨から職権の発動を積極的に行うべきように思います。

シュシュ:納得のためのプロセスというか、裁判所の判断のために必要か否かではなく、調停の資料として必要か否かという観点から強調されるということになります。

インセンティブの確保

 そもそも、例えば母親が父親と縁切りをしたい場合、一定の関係を継続することに対するインセンティブが必要となります。ところが、子の監護の当事者は高葛藤であり、少なくとも一方の当事者の主たる関心が夫との縁切りや母子家庭としての生活の再構築に集中していることがあります。

 そのため、相手方との関係性の継続を前提とする子の監護に関する協議に対するインセンティブを確保することが困難であることが多い。子の利益といっても、インセンティブがなければ、調停機能が十分に発揮されないように思われる。

シュシュ:まあ、僕もママが不倫して出て行ったあとは、父子家庭としての構築と自分のメンタル維持が大変だったかな。ママとの面会交流の申出があったけど、インスタに不倫相手との写真がアップされてたんで断りました。

弁護士:ふむ。そこはやはり親教育ということになると思います。集団的ではなく、個別的な親ガイダンスをしています。明石市では離婚前講座の取り組みを中心にしています。

あとは、制裁的アプローチだね。

シュシュ:あと、弁護士会の会報で、「元裁判官が、ここにいる弁護士のみなさんは面会交流に賛成なんですね」と指摘されていたんですが、実際は対立構造で反対という人も多いから、弁護士の啓蒙も失礼だけど必要だろうね。

弁護士:離婚調停の弁護士関与率は4割くらいです。ただ、子の監護事件では関与率が高くなりますね。監護親の代理人をしているとき、監護親の利益と子の利益が、究極的に矛盾することもあるのかな、と思います。その場合、依頼者は監護親ですので弁護士としては、倫理上、監護親の利益を優先しがちということですね。例えば、子の意向も確認したいので、こどもと逢わせてくださいといっても、会わせてもらえたケースは3~5件くらいですかねえ。やはり「弁護士さん、こどものことは私が一番わかっているので、私に聴いてください」といわれ断られてしまうケースも多いのです。ここらへんは、日本弁護士連合会の方から、監護親につき、「子の利益」への意識づけをするようなことが必要なのではないか、とも思えます。

同床異夢

弁護士:やはり、母親からすれば、夫との縁切りと母子家庭との構築に集中したいというところで関係を切りたいと考えているのに対して、夫の方は継続的関係を続けていきたいと思っているわけです。

 ところが、面会交流審判などでは、あくまで「スタートアップ」を決めるものと割り切っています。つまり、スタートだけ決めても、どのように継続させるかの工夫も必要になります。

シュシュ:そういう意味ではお金はかかるけど、エフピックなどの支援機関を使用する方が継続しやすいということはあるかもしれないね。

 

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