やっぱり婚姻費用・養育費は算定表か弁護士を通して。

婚姻費用や養育費を甘くみていませんか。 男性で、それなりの会社にお努めの場合、強制執行がされるとこどもが20歳になるまでの分を一気に差し押さえられてしまいます。 金額でいうと相当巨額で、請求異議訴訟も立ちにくいとされています。 よくあるパターンが、やくざのような父親に脅されて、「相場や」といわれ算定表から乖離されている金額を公正証書化されてしまう例です。これは私も横浜家裁川崎支部で争いましたが,結果的に裁判官から見通しを伝えられ審判を断念しました。 では、その後、再婚などの事情の変更が生じたらどうなるのでしょうか。結論として、東京高裁平成28年7月8日は、「高めに養育費を定めたのなら、減額してもアドされている部分は残るよ」という決定を出しました。 たしかに、再婚や新たな子の出生によって、養育費の減額ができることもありますが、調停委員がいうほど簡単には変えられません。私にこれを語らせると本一冊になってしまいます。 では、江藤鈴世さんが市橋なるみさんと離婚して、緋生くんと千騎くんの養育費を負担していましたが、ココさんと再婚しその間にネネさんというこどもができました。江藤さんは、算定表では7万円となるのを12万円の養育費を支払っていました。通常より高い養育費の設定がされている場合どうなるのか、ココさんは、「当然、算定表レベルまで下げられる」と主張しているようです。 思うに、算定表で養育費を決められた場合と合意の場合で額が異なる場合はその相違につき、養育費の増減額の検討にあたり考慮する必要があるというのが東京高裁の考え方です。一度大盤振る舞いをすると、どうにもならないということですね。 翻って養育費や婚姻費用を決めるにすぎない場合でも弁護士にチェックをいれたり、離婚協議書を作成するのが後悔のない離婚につながると思います。 思うに、従来、算定表の金額より合意額の方が高い場合、その差額を固定値とするか、乖離率を計算して金額を決めるという考え方が相当とされているようです。 しかし、ここで問題が生じました。例えば、緋生くんと千騎くん、そしてネネちゃんの場合、前者には5万円が乗っかるのですが、ネネちゃんにもそれと同様の乖離率をアドしても良いのでしょうか。もしそうしないのと前妻のこどもだけ特別扱いを受けてネネちゃんが劣後する地位に置かれて、そもそも算定表以前に、民法に違反しそうです。そこで等しく分配するということとなりましたが、慰謝料的要素の上乗せがある場合など様々な事情がある一例をいえそうです。 * 第3 当裁判所の判断  1 当裁判所は,養育費の額を主文第2項記載のとおりに変更するのが相当であると判断する。その理由は,次のとおりである。  2 認定事実  次のとおりに補正するほかは,原審判の理由の2に記載のとおりであるから,これを引用する。  (1) 原審判2頁16行目の「相手方は」の次に「,平成24年□月□□日」を加え,20行目の「第3条」から23行目末尾までを次のとおりに改める。  「第3条 甲は乙に対し,丙・丁及び戊(以下「丙ら」という。)の養育費の支払義務のあることを認め,平成24年□月から丙らが20歳に達する日の属する月まで毎月□□日限り,一人につき月額金25,000円を,乙が指定する乙名義の金融機関の預金口座に振り込んで支払う」  (2) 原審判3頁5行目冒頭から19行目末尾までを次のとおりに改める。  「 その後,同調停は審判(さいたま家庭裁判所平成26年(家)第□□□□□号~□□□□□号)に移行した。さいたま家庭裁判所は,平成26年□□月□□日,相手方の申立てをいずれも却下するとの審判(以下「前件審判」という。)をし,この審判は確定した。  前件審判は,まず,本件公正証書作成後,未成年者らが抗告人の再婚相手に監護養育されるに至ったことや,当事者の経済状況が変化したことなどから事情の変更を肯定した。その上で,前件審判時の当事者双方の収入をもとに標準算定方式(判例タイムズ1111号285頁以下)により算定すると,養育費の額は月額6万円(3人分)となるが,本件公正証書で合意した養育費の額は,本件公正証書作成時の当事者双方の収入をもとに標準算定方式により算定できる額を月額5万5000円(3人分)上回っているから,かかる合意の趣旨を養育費の額に反映させるべきであり,そうすると,月額6万円に月額5万5000円を加えた月額11万5000円(3人分)が養育費の額と算定できるとした。もっとも,抗告人の再婚相手と抗告人との身分関係や未成年者らの生活関係に照らし,抗告人の再婚相手が未成年者らの扶養に一定の責任を負うことは否定できないとした上で,抗告人の再婚相手がその前妻との間の子に係る養育費の支払義務を負っているが,これらの子に対する義務と未成年者らに対する義務とが異なるものであること,抗告人の再婚相手の収入は相手方の収入より多いものの,抗告人の再婚相手は上記子ら及び抗告人との間の子に対する一次的な生活保持義務を負っていること,その他の各当事者の身分関係,収入,当事者等の間における債務の負担状況及び生活環境といった諸事情に照らし,相手方は,上記月額11万5000円のうちの3分の2(月額7万6666円)を負担するのが相当であるとし,結論においては,変更の必要がないとした。」  (3) 原審判4頁6行目の「収入は」から7行目末尾までを次のとおりに改める。  「収入は,給与収入が286万3383円,営業等収入が107万3000円(同所得は84万3000円であり,社会保険料控除は58万2407円),不動産収入が126万円(同所得が38万8048円)であった。」  3 以上の認定事実を前提に検討する。  (1) 事情の変更の有無  前記認定事実によれば,前件審判後,相手方が,再婚し,かつ,再婚相手との間に長男をもうけ,これらの者に対する扶養義務を新たに負うに至ったといえるから,前件審判後に養育費の額を変更すべき事情の変更が生じたといえる。  (2) 双方の収入により算定される未成年者らの養育費の額  当事者双方の現在の収入(抗告人は0円,相手方は自営業による総収入年額約219万円)をもとに,標準算定方式により算定すると,次の計算式のとおりとなる。  ① 平成27年□月(本件審判申立て)から平成28年□月まで  相手方の基礎収入:年額219万円×52%(家庭裁判月報62巻11号57頁参照)=年額113万8800円  抗告人の基礎収入:0円  生活費指数:相手方100,相手方の再婚相手及び同人と相手方との間の子各55,未成年者C90,未成年者D及び未成年者E各55  未成年者らの生活費:年額113万8800円÷(100+55+55+90+55+55)×(90+55+55)=年額55万5512円(月額4万6293円。1円未満四捨五入。以下,(4)までにおいて同じ。)  ② 平成28年□月(未成年者Dが15歳に達する。)から平成30年□□月まで  相手方及び抗告人の基礎収入:上記①に同じ。  生活費指数:相手方100,相手方の再婚相手及び同人と相手方との間の子各55,未成年者C及び未成年者D各90,未成年者E55  未成年者らの生活費:年額113万8800円÷(100+55+55+90+90+55)×(90+90+55)=年額60万1389円(月額5万0116円)  ③ 平成30年□□月(未成年者Eが15歳に達する。)以降  相手方及び抗告人の基礎収入:上記①に同じ。  生活費指数:相手方100,相手方の再婚相手及び同人と相手方との間の子各55,未成年者ら各90  未成年者らの生活費:年額:113万8800円÷(100+55+55+90+90+90)×(90+90+90)=年額64万0575円(月額5万3381円)  (3) 本件公正証書における合意の趣旨の反映  ア 前記認定事実によれば,本件公正証書における養育費の合意額は客観的に見て標準算定方式により算定される額に月額5万5000円を加えた額であったことを認めることができ,現在における養育費の額の算定においてもこの合意の趣旨を反映させるべきである。もっとも,上記合意は,未成年者ら以外に相手方が扶養義務を負う子を未成年者らより劣後に扱うことまで求める趣旨であるとまで解すことはできないから,上記加算額を,未成年者らと,相手方とその再婚相手との間の子に,生活費指数に応じて等しく分配するのが相当である。  そうすると,次の計算式のとおりとなる。  ① 平成27年□月から平成28年□月まで  加算額:月額5万5000円÷(55+90+55+55)×(90+55+55)=月額4万3137円  加算した結果:月額4万6293円+月額4万3137円=月額8万9430円  ② 平成28年□月から平成30年□□月まで  加算額:月額5万5000円÷(55+90+90+55)×(90+90+55)=月額4万4569円  加算した結果:月額5万0116円+月額4万4569円=月額9万4685円  ③ 平成30年□□月以降  加算額:月額5万5000円÷(55+90+90+90)×(90+90+90)=月額4万5692円  加算した結果:月額5万3381円+月額4万5692円=月額9万9073円  イ なお,相手方の基礎収入の額に,上記合意の趣旨を考慮した加算額(月額5万5000円)を加えた上で未成年者らの養育費の額を算定するという方法は,計算上,上記加算額を相手方自身にも配分する結果となってしまい,相当でない。  (4) 抗告人の再婚相手の存在の考慮  ア 前件審判は,前記認定のとおり,抗告人の再婚相手と抗告人との身分関係や未成年者らの生活関係を含む諸事情を考慮して,相手方は,当事者双方の収入及び本件公正証書の趣旨を踏まえて算定される養育費の額の3分の2を負担するのが相当であると判断したものであるが,前件審判が前提とした諸事情がその後大きく変化したと認めることはできない。したがって,相手方は,上記(3)で算定した額の3分の2に相当する額について,養育費の支払義務を負うとするのが相当である。そうすると,次の計算式のとおりとなる。  ① 平成27年□月から平成28年□月まで  月額8万9430円÷3×2=月額5万9620円  ② 平成28年□月から平成30年□□月まで  月額9万4685円÷3×2=月額6万3123円  ③ 平成30年□□月以降  月額9万9073円÷3×2=月額6万6049円  イ この点,抗告人は,(ア)上記(3)の加算分を抗告人の再婚相手にも負担させる計算となっており不当である,(イ)抗告人の再婚相手の現在の収入は前件審判時の収入の約43%にまで減収しており,これを考慮しないのは不当であると主張する。  しかし,(ア)につき,本件公正証書における合意が,未成年者らの生活費を増大させる趣旨と解することはできるものの,その後の抗告人の再婚といった事情の変更を経た現時点において,相手方が負担すべき養育費の額の算定において上記合意の趣旨を反映させるに当たって,上記の事情の変更を考慮することを禁じているとまで解すべき根拠はないし,前件審判においても,上記アと同趣旨の算定をしており,前件審判後に,これと異なる算定をすべき事情の変更が生じたとはいえない。したがって,抗告人の主張は採用できない。  また,(イ)につき,そもそも,前件審判は,抗告人の再婚相手の収入状態のみならず,その他の種々の事情を考慮して相手方が養育費の額の3分の2を負担すべきであると判断したものであるし,抗告人の再婚相手の不動産収入のうち生活費に充てることができる部分がどの程度であるか判然としない面があるなど,同人の収入のうち生活費に充てることができる部分が抗告人の主張する程度まで減少したとまで認めることは困難であることなどからすると,抗告人が主張する事実は,前件審判の上記判断を変更するに足りる事情とまではいえない。したがって,抗告人の主張は採用できない。  (5) 結論  以上からすると,相手方が負担すべき未成年者らの養育費の総額は,上記(4)のとおりであり,これを,未成年者らの生活費指数に応じて按分すると,次の計算式のとおりとなる(なお,平成27年□月から平成28年□月までの未成年者Cの養育費に限ってみれば,本件公正証書において合意した額より増額しているが,裁判所は減額を求める申立ての趣旨に拘束されるものではなく,また,同期間における未成年者ら3名の養育費額の合計は減額しており,相手方が本件を申し立てた趣旨に実質的に反するものではない。)。  ① 平成27年□月から平成28年□月まで  未成年者C:月額5万9620円÷(90+55+55)×90=月額2万7000円(1000円未満四捨五入。以下同じ。)  未成年者D及び未成年者E:月額5万9620円÷(90+55+55)×55=月額1万6000円  ② 平成28年□月から平成30年□□月まで  未成年者C及び未成年者D:月額6万3123円÷(90+90+55)×90=月額2万4000円  未成年者E:月額6万3123円÷(90+90+55)×55=月額1万5000円  ③ 平成30年□□月以降  未成年者ら:月額6万6049円÷3=月額2万2000円  4 よって,未成年者一人につき,養育費の額を,平成27年□月から平成28年□月までは月額1万6000円に,同年□月から平成30年□□月までは月額1万8000円に,平成30年□□月以降は月額1万9000円に減額することとした原審判は失当であるから,原審判を取り消した上で,養育費の額を主文第2項記載のとおりに変更することとして,主文のとおり決定する。

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