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未婚で妊娠!子どもができたら養育費を請求できる?

未婚で妊娠!子どもができたら養育費を請求できる?

 

未婚のまま妊娠し、子どもが生まれたら相手の男性に養育費を請求できるのでしょうか?母子家庭や離婚家庭問題のみならずひとり親問題に取り組む法律事務所であるからこそ疑問に思う論点です。

 

法律上「認知」が成立していれば養育費を払ってもらえますが、認知が行われなければ請求できません。反対に認知が成立していなければ父子関係は生じていませんので、そのままでは養育費を支払ってもらう権利はありません。

 

今回は未婚で妊娠した場合に「認知」を成立させて養育費を払わせる方法について、離婚に詳しい弁護士が解説します。認知というのは父子関係を生じさせる一方的な法律関係をいいます。

 

1.未婚のまま生まれた子どもは、父親に養育費を請求できない

法律上、養育費を請求するには子どもと男性との間に「父子関係」が必要です。

「父子関係」って当たり前と思うかもしれませんが戸籍を介する以上、未婚の母の場合は認知が必要なのです。

養育費とは、親が親であるがゆえに子どもに対して支払わねばならないお金です。父子関係が明らかでない以上、男性は子どもに養育費を払う義務がありません。法的な請求はまず認定からという整理になるのです。

したがって、未婚のまま子どもが生まれた場合、子どもと父親の親子関係は当然には認められないので養育費の請求が難しくなります。まずは認知の検討をすることになります。例えば芸能人の隠し子相談もほとんどは婚姻をしていませんので、父子関係を生じさせる認知が問題になるのです。

 

原則的な形態ともいえる、婚姻中の夫婦の間に子どもが生まれた場合、子どもの父親は当然に「夫」と推定されます。これを「嫡出推定」といいます。離婚後300日もこの一方未婚の場合、嫡出推定が及ばないので子どもの父親は「不在」となり、戸籍上も「父親」の欄に記載がない状態になります。内縁関係の夫婦の間に子どもが生まれた場合も同じです。

 

このままでは実の父親であっても養育費を請求できません。父子関係は面会交流や扶養などの前提となるものですので、生じさせるかはきちんと検討しましょう。

 

2.認知とは

未婚のまま生まれた子どもも、一生父親へ養育費を請求できないわけではありません。法律上の「父子関係」さえ明らかになれば養育費を請求できます。

 

法律上の父子関係を明らかにする手続きが「認知」です。認知とは、父親が子どもを「自分の子ども」として認めたり、裁判所が父子関係を認定したりする手続きです。

 

認知が成立すれば戸籍上も子どもと父親の関係が明らかになり、子どもから父親への養育費請求が認められます。

 

3.認知の方法

父親が生きている間に認知を成立させる方法は、以下の2種類です。

3-1.任意認知

父親が自ら行う認知です。父親が自分の子どもと認め、市町村役場で「認知届」を提出すれば認知が成立します。実務上はDNA鑑定をしたうえで、肯定的な結果が出た場合は任意認知してもらえることが多いかと思います。

 

子どもが生まれる前の胎児の状態でも認知できますが、その場合には母親の同意が必要です。子どもが成人すると、子ども本人の同意が必要となります。

 つまり胎児の間は、母親が本当の生来の父親を知っているため、その同意が必要となります。

 

3-2.強制認知

父親が認知しない場合、子どもの方から父親へ認知を裁判で請求できます。この場合、裁判所を通じて認知の手続きを行わねばなりません。子どもが訴えることによって裁判所で行われる認知を「強制認知」といいます。子どもが未成年の場合には、親権者である母親が強制認知の手続きを行います。認知訴訟は行ったことがありそうでなさそうな類型です。離婚訴訟などに詳しい弁護士に依頼すると良いでしょう。

 

強制認知の手順は以下の通りです。

 

認知調停

まずは家庭裁判所で認知調停を申し立てます。認知請求では、まずは調停をしなければならず、いきなり裁判(訴訟)はできません。このように「必ず先に調停をしなければならない制度」を「調停前置主義」といいます。未婚の母といわれると婚姻をしていないのですが、家裁を経由することになります。

 

認知調停を申し立てると、通常は父親と子どもとのDNA鑑定を行います。父子関係が明らかになり、父親も認知に同意すれば裁判所が「合意に相当する審判」を下します。審判により認知の効果が発生するので、役所に「審判書」を持参して届出をすれば戸籍を書き換えてもらえます。「審判」になっていますが親子関係の確定は公益目的であるため、当事者間に処分がないため「審判」という形式がとられるだけで実質は調停と変わりません。

 

認知の訴え

認知調停をしても父親が出頭しなかったり認知を拒絶したりするなら調停は不成立となって終わってしまいます。子どもは家庭裁判所で「認知の訴え」という訴訟を起こさねばなりません。当事務所では何件か係属したことがありますが、認知の訴えを経験した弁護士は最近ではめずらしいかもしれません。

認知の訴えは話し合いではないので、父親が無視しても認知を拒絶しても、強制的に手続きが進められます。子ども(母親)が父子関係を証明できれば、裁判所が認知の決定を行い強制的に認知が成立します。

訴訟でもDNA鑑定を行って父子関係を明らかにするケースが多数です。

 

なお、ここではあまり説明しませんが、前の夫からの嫡出推定は離婚後300日及びます。ですから、戸籍上、前の夫が父親とされている可能性もあります。そうした場合、訴訟選択も必要になります。つまり誰と誰との間で申立てをするかということになります。

訴訟で認知の決定が出たら、判決書を役所に持参しましょう。戸籍を書き換えてもらえて子どもと父親の関係が明らかになります。

 

4.父子関係を証明する方法

調停でも認知の訴え(訴訟)でも、認知させるには「父子関係」を証明しなければなりません。具体的な証明方法をご説明します。

4-1.父親とのDNA鑑定

もっとも確実で手っ取り早い証明方法は「DNA鑑定」です。科学的な方法を使って高い精度で父子関係を証明できるので、調停でも訴訟でもまずはDNA鑑定を試みます。

申立人や原告がDNA鑑定を申し出て、相手が同意すれば裁判手続き内でDNA鑑定を行い、父子関係が証明されます。

 

4-2.親族とのDNA鑑定

父親がDNA鑑定を拒絶する場合には、父親の親族とのDNA鑑定を行うことによって父子関係を推定できるケースがあります。親族間でもかなり高い精度で親族関係を明らかにできるので、父親が非協力的でもあきらめる必要はありません。

 

4-3.メール、SNS、手紙や証言

妊娠や出産前後に父親と母親が交わしたメール、SNSや手紙などの記録も父子関係推定の資料となります。母親自身による詳細な証言も証拠になります。

 

4-4.内縁の場合、父親と推定される

内縁関係の男女に子どもが生まれた場合には、特段の事情がない限り子どもは夫の子どもと推定されます(最一小判昭29121日)。妊娠した当時、内縁の夫婦であった事実を証明できれば認知が認められやすいといえるでしょう。

 

4-5.拒否したことが父親推定の材料となる

父親がDNA鑑定を理由なく拒絶する場合、その態度自身が「父子関係推定」の材料とされるケースも少なくありません。DNA鑑定は人の身体にとってほとんど負担がなく時間もかからないので、あえて拒絶する必要はないと考えられるからです。父親が不合理にDNA鑑定を拒絶する事案では、DNA鑑定なしに父子関係が認められる可能性があります。

 

父子関係を証明するにはまずは「DNA鑑定」が有効ですが、拒否されたとしても対処方法がたくさんあります。未婚で子どもが生まれて養育費を払ってもらえなくても、あきらめる必要はありません。

 

5.未婚の子どもの養育費を請求する手順

未婚の子供の養育費を請求するには、以下の手順で進めましょう。

5-1.任意認知を求めて養育費の取り決めをする

まずは相手に任意認知を求め、役所で認知届を提出するよう要求しましょう。相手が認知届を提出したら、養育費についての話し合いを行います。養育費には裁判所の定める相場があるので、参考にして金額を定めてください。

合意ができれば「養育費に関する合意書」を作成し、公正証書にしましょう。公正証書にしておけば、相手が不払いを起こしたときにすぐに給料や預貯金などの差押が可能となります。これで養育費を払ってもらえるようになります。

 

5-2.認知調停を申し立てる

相手が任意認知しない場合、家庭裁判所で認知調停を申し立てましょう。DNA鑑定などを行って「合意に相当する審判」が下されたら認知が成立します。その後、養育費についての取り決めをすれば、養育費を払ってもらえるでしょう。

 このように認知調停を提起した後、養育費調停を起こす例が多いといえます。この場合、裁判手続きも長くなるため、弁護士に委任される方もいます。

5-3.認知の訴えを提起する

調停も不成立になったら、家庭裁判所で認知の訴えを提起します。訴訟に1人で対応するのは難しいので、弁護士までご依頼ください。

弁護士が代理人として訴訟を進めれば認知の判決を獲得しやすく、その後の養育費請求もスムーズに進められます。

 

当事務所では認知調停や認知の訴えを担当したことがあり、離婚・男女問題・シングルマザーの問題の解決に力を入れています。未婚のまま子どもが生まれてお悩みの方がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。

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