面会交流事件の進め方

子の監護の事件の解決にあたっては、平成23年の民法改正後面会交流の占める重要性が高まることになりました。

明晰に整理すると,ゼロか百か、という親権判断から、充実した面会交流で週2回などの面会交流で量的な問題にパラダイムシフトを図っていくことが重要であると考えられます。

理念的には、面会交流調停の進め方には、トータル方式、ステップ方式、評価裁断型、交渉あっせん型、関係変容型、コンフリクト・エンゲージメントアプローチがあるとされています。

調停委員会・調査官に加えて、弁護士間の調整でも有意義といえるが、中には、弁護士にも「とにかく交渉相手と会いたい」と会えば成果が出ると誤解しているとみられる例も執務上散見されます。

トータル方式というのは、養育費、婚姻費用などとパッケージで解決するというものです。たしかに面会交流審判の女性側代理人を行っていると議題が面会交流を行うかについての是非しかないので、その他の事情は一切考慮されません。特に、名古屋家裁民事4係の西森みゆき裁判官などは急進的に面会交流審判をすすめようとして、かえって、離婚訴訟でいろいろな条件や和解の席上であるのでトータル方式は心理的に受け止められやすいといえます。特に西森さんがよくないのは、調停手続でのやりとりを繰り返させて、当事者の対立感情を亢進させているという点です。その上で、身勝手な審判をしても当事者が気持ちよく受け入れられるとは考えられないと思います。もうひとつ、苦言を述べておきたいのは、審判によって決着をつけるにしても、裁判官は審判ですべてを決めるという意気込みを持たないことである。審判の目的は、家裁設置法の理念のとおり親子関係の維持・構築等ですから、審判をすれば「一丁上がり」ではない。当該裁判官は、人事訴訟で和解が行われているにもかかわらず、それを無視し審判を行おうとしたが、裁判官は最終的に当事者の自発性・自律性を大事にしなければならない。当該裁判官の審判は納得性が低く、履行という問題も付きまとうことになるだろう。

次に、ステップ方式は手続の基本ではありますが、議題を積み重ねて、積み重ねたものを壊してしまうことは許さない、というアプローチです。東京家裁での調停後の争点整理の説明は、ステップ方式が基礎にあると思いますが、心情の調整という意味合いがあるのでかえってステップ方式は急進的と受け止められ、手続の主宰者である調停委員会側の都合に適っているが当事者のニーズには会わないといえるかもしれません。

評価裁断型というのは、弁護士調停委員が入っている場合に、調停の段階であっ旋の案を提示してしまうというやり方です。基本的に、法律家が示す案ですから、それがベースラインとなり、その前後を加算調整するというアプローチとなるので、本来、調停委員会による評価裁断型は望ましいものといえると思います。しかし、あくまで法曹でなければあっ旋案の作成はできないでしょうから弁護士調停委員がついているケースに限られるのではないか、と思います。ただ、調停は裁判官が構成員となっているので、ある程度弁護士調停委員に裁量を与えたりしなければ大量の事件につきあっ旋案を示すということは難しいのではないかと思います。ある調停委員は、評価裁断型といっても、独りよがりの裁判官の場合は事実上は弁護士調停委員が中心となって案をまとめるのは、不可能で合意のあっ旋に後ろ向きな調停委員もいました。ですから法曹が入っていないとただ話しを聴くだけになってしまいますね。

関係変容型ですが、調停を通じて相手方のイメージを改善するというものですが、はっきりいって調停委員にそのような能力はないと思いますので、調停に求める機能ではないと思います。
関係変容というのは、障害受容とよく似ています。これは一長一短でできることもなく心理学の得意な弁護士や家族の援助を受けて受け止めていくことで、家事事件手続法下で当事者対立構造が強まった今、理念倒れになったといえそうです。

コンフリクトエンゲージメントアプローチというのは、はっきりいって理念的なもので中身を伴うものではなく、ADRなどのメディエータ―に似ていると思います。当然、争点があるわけですから、調停委員が争点について、紛争解決に向けた取り組みをすることができるように、目の前の状態を動かしていく必要性があるとするのですが、面会交流調停や審判の場合、「引き出し」が少ないので、参考にならないといえるのではないかと思います。

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