配偶者との死別後の再婚

心理的に異なる配偶者との死別後との再婚

 

 当事務所でも、死別後の再婚の法律相談を受けたことがありますが、死別の場合は、必ずしも諍いがあって前夫又は前妻と死別をしたわけではありません。そのようなことですから、心理的な整理ができているかということもフォーカスをあてるべき問題かもしれません。また、元夫又は元妻の姻族との関係を終了させるのか、お子さんの問題もあるでしょうから、気持ちの問題と姻族との関係が悩みを抱えることもあるようです。しかし、そういうだからこそパートナーに支えてもらえるということは頼もしいことでもあります。タイミングを大切に、再婚を検討するようにしましょう。また、死別した人は団体保険や生命保険、遺族年金の関係で金銭を持っていることから、残念ながらそういうインテンションで近づいてくる方も大勢見てきました。まずは、お子さんがいる場合は、お子さんも配偶者との死別に傷ついているはずですのでキュアをしつつタイミングをみるとともに、その人の人となりを知る機会を持つことも大切でしょう。

死別後の再婚は可能

 配偶者が死亡すると婚姻関係は終了することになります。ゆえに再婚することになります。ただし、姻族関係が当然に終了するはずではないので、婚姻関係が終了していることを意識していない方も多いかもしれません。次に、再婚禁止期間の適用があります。法律家の間では、嫡出推定制度や再婚禁止期間のすべてが憲法13条、14条に違反するとの見解が有力であり、山浦裁判官反対意見でも表明されています。しかし、現在は100日の期間を置く必要があります。

 もっとも、49日を過ぎるまでは、配偶者という立場の方はいろいろなことに奔走するのが普通です。遺産分けが必要でこどもが幼いケースでは特別代理人の選任が必要な場合もあるでしょう。そうすると、最愛の夫や妻を亡くして悲嘆に暮れているでしょうし、その中で手続的な問題の渦中にもいます。

 そういう意味では、離婚と死別とでは、「心理学的離婚」の難しさの程度が全く異なり状況が異なるといえるといえます。他方、我が国では、判例がどうであれ少なくとも当分の間は再婚することは考えられないというのが通常かもしれません。

 よく、「三回忌が済むまでは再婚できない」「七回忌を一つの区切りとしたい」という方もおられて、良縁を断られます。法律上は、そのような規則はありませんが、愛離といって愛する者との別れは人生における苦難の一つに数えられています。法律上は、規則は一切ありませんという本を読んでそのとおりにしがちですが、姻族と揉めることもあり得ます。あまり姻族との関係がよくなかった場合は、代理人を立てるということがあっても良いかもしれません。

死別と離婚との違い

 死別の場合も、婚姻関係がなくなる点では同じなのですが、相続が生じること、故に財産分与が論理的にあり得ないこと、姻族関係は終了させる意思表示をしない限り離婚と異なり存続することになっています。

 姻族との諍いが絶えないなどの事情や再婚に際して子が小さい場合は姻族関係を終了させるか否か、メリットとデメリットを比較考量して、検討されるべきではないかと思います。なお、複氏していたり再婚により氏が変更していても、前配偶者との姻族関係は当然には終了しません。

祭祀の主宰者

 再婚の際、前旦那のお墓をどうするか、という問題を離婚の場合は生じさせます。つまり、離婚によって氏を改めた夫や妻が祭祀財産を承継した後に離婚をしたときには、祭祀財産の承継者を定める必要がありますが、一般的には成人男子又は介護など密接な関係を築いている子どもがいる場合はその子に指定していることが多いように思われます。これに対して祭祀財産の承継の問題は死別の場合は、姻族関係終了の時にしか生じません。

新設される配偶者短期居住権等

 

 平成7年の最高裁は、激論のすえ、非嫡出子の相続分差別を合憲としましたが、共同反対意見や尾崎裁判官追加反対意見がつき、法学の世界では違憲が当たり前とされていたところ、平成25年最高裁大法廷が裁判官全員一致の意見により、判例が変更されました。

 しかし、憲法学でのバランスを評価されていた芦部信喜東大名誉教授(故人)も合理的な仕組みといえないこともないとされていました。それは、非嫡出子がいる場合に、遺産分けの場合、2分の1としないと配偶者が居住物件を手放さなければならないという社会的実態を指して不合理と指摘されておられたのです。

 こうした点をケアするため、平成25年最高裁大法廷決定がきっかけになり、「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」を新設することにしたのです。

配偶者短期居住権(施行日に注意してください。改正法です。)

 生存配偶者は、居住していた建物について遺産分割が行われる場合にも、配偶者以外の者が相続・遺贈等により無償で当該建物を取得する場合にも短期居住権を取得します。被相続人が明らかにこれとは異なる意思表示をしていても生存配偶者を保護するために強行法規となります。これは相続分とは扱われませんが、明渡し猶予の意味合いが強いといえます。

法律要件

 ①被相続人の財産に属していた建物であること

 ②相続人開始時点であること

 ③無償であること

 ④居住していたこと

―この居住要件を満たす場合は以下の法律効果が生じます。

法律効果

生存配偶者は遺産分割が行われる場合には、分割による建物の帰属確定の日、又は、相続開始から6か月経過する日のいずれか遅い日までの間、無償でその建物を居住することができます。

配偶者居住権(施行日に注意してください。改正法です。)

 これまでは、生存配偶者が従来の居住建物に住むためには、自ら相続する必要性があったものと解されています。しかし、この方法は、生存配偶者の居住権の保障という意味合いが大きく、一次相続と二次相続で相続税が課税される場合もないとはいえないことや後継ぎ遺贈の実現が難しいという側面があるというべきです。

 今回、相続法改正により、生存配偶者は、相続開始後も終身ないし一定期間にわたって、住み慣れた我が国に居住を続けることになったのです。これを配偶者居住権といいます。

法律要件

①被相続人の財産に属した建物であること

②相続開始時に居住していること

③遺産分割や遺贈等により配偶者が配偶者居住権を取得することになったこと

―が必要です。

配偶者居住権は、居住権の譲渡はできませんが、登記により第三者に対抗できます。

また、居住建物の所有者の承諾を得れば、適法に第三者に建物の使用収益をさせることができるようになりました。

また、財産的価値に相当する金額を相続したものと扱われる点も異なっています。

 

 

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