離婚交渉と健康保険の扶養を弁護士が解説!

 

離婚交渉と健康保険の扶養についてポイントを弁護士が解説

 

離婚が成立したのですが,その後,夫が勤務先で健康保険について必要な手続を行わないため新たに健康保険に加入できない場合,どのように対応したら良いのでしょうか。中には,制度の問題ではなく,「会社内」の制度が障害になっている場合もあるようです。

 

一般的に,離婚した場合,夫の社会保険から,妻は自分の国民健康保険に加入するパターンが多いと思います。また,これ以外にも,妻が就労し,妻の新たな会社の社会保険に加入するパターンもあります。

 

この場合,法律上は,「被保険者資格喪失届」が必要になり,この入手に苦労するケースがあるのです。

 

夫がその勤務先に,離婚に伴い扶養が外れる事実を伝えることになります。

そして,勤務先から「被保険者資格喪失届」を受領することになります。ところが,社内の手続で,国立大学の一部では,妻の署名,押印,現在の就労場所などを夫を通じて提出しなければならないという信じられない運用をしているところもあり,プライバシーの問題から,健康保険に加入しにくい状況が生じることもあります。

 

上記「被保険者資格喪失届」を受領し国民健康保険であれば,市町村役場に提出する必要が生じます。

 

しかしながら,夫が勤務先に離婚の事実を伝えたくないなどの理由で,勤務先で手続をしようとしない場合があります。また,某国立大学の場合のように、既に別居している妻から,妻の署名,押印,現在の就労場所などの証明をとるのは難しいハードルとなっているのです。

 

今回は健康保険の資格喪失手続に夫が協力しない場合,注意すべきポイントをご紹介しますので、これから離婚を進めようとしている方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.夫が社内手続をしない又は社内手続が現実的ではない

どうして「被保険者資格喪失証明書」なんて必要なのですか?と聴かれると,バツが悪いですよね。もちろん,離婚に伴い扶養が外れるからです。

しかし,離婚の事実を報告したくないといった理由や,国立大学など,妻側に,妻の署名,押印,現在の就労場所などの証明,さらには扶養を外れる理由書の提出を求めていたところもありました。

このような場合は,相手方に,会社の措置は違法であるから,会社と直接話したいと許可を求めると,動き出すことが多いです。

この点は,夫が,妻から会社に問い合わせが入ったことを知れば,余計なトラブルを生むおそれがありますので,

 

究極的には会社に伝えざるを得ないこと

相手方には,「協力してもらえなければ,会社に対して,こちらから直接お願いすることにならざるを得ません」等と事前に伝えざるを得なくなることもあります。

合理的な理由がないのに,協力しない場合は,こどもも無保険状態が続きますし,相当ではありませんのでやむを得ないと思います。

その他の抜け道的なものとしては,市町村や自分の会社に相談するしかありません。

扶養者の要件は、被保険者により主として生計を維持されていること,被扶養者が収入要件を満たすこと,被扶養者が収入要件を満たすこと,被扶養者が配偶者・直系尊属・子・孫・兄弟姉妹以外の3親等内の親族の場合は同一世帯であることとされていますので、これらの要件を満たさないことが明らかなことを疎明して,夫の健康保険が要件に該当していないことになり得るのではないでしょうか。

 

2.離婚調停で資格喪失届を持ってきてもらう

離婚成立前に今後必要となる手続を確認し、調停期日に資格喪失届を持参してもらうことを条件としたり、協議離婚の場合,協議離婚書作成の際に交付を求めたりしたりするべきです。

 

3.DV事案の場合

DV事案の場合、病院で保険証を用いると、相手方に居場所が知られてしまうおそれがあります。そこで、早急に自分の国民健康保険などに加入した方が良いです。

しかし、DVのため、相手方と接触できないため、相手方の協力なしに健康保険に切り替えることができるものと考えられています。この意味でもDV相談はメリットが大きいといえます。

この点,依頼者及びこどもの双方について「被扶養者資格喪失手続」が必要になります。本来は、相手方の協力が必要ですが、DVの場合は、任意の協力が期待できないので、被害者女性が年金事務所で単独で入手することができることになっています。

その後、市区役所で、国民健康保険加入の手続を行うか,新たな就職先の健康保険に加入する手続をとり、同時にこどもも加入させることとなります。

 

名古屋駅ヒラソル法律事務所では離婚トラブルの解決を積極的に支援しており、協議離婚の代理交渉や公正証書の作成サポートにも力を入れています。名古屋で離婚にお悩みの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

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