中高年の結婚でおこりやすいこと
法定相続人の相続分の割合
民法は、法定相続人の組み合わせごとに、相続分の割合に変化を持たせています。
- 相続人が配偶者と子(第1順位)の場合には、2分の1が配偶者、残りの2分の1が子です。子が複数ある場合は、子の相続分は、2分の1を子の数で等分し合います。つまり、子が2人であれば子1人の相続分は4分の1です。
- 相続人が配偶者と直系尊属(第2順位)の場合には、3分の2が配偶者、残りの3分の1が直系尊属です。直系尊属(親)が複数(両親)ある場合の直系尊属の相続分は3分の1をその数で等分し合います。つまり、親が2人(両親)であれば父母は各6分の1ずつを相続します。
- 相続人が配偶者と兄弟姉妹(第3順位)の場合には、4分の3が配偶者、残りの4分の1が兄弟姉妹です。兄弟姉妹が複数ある場合には、4分の1を兄弟姉妹の数で等分し合います。つまり、被相続人の他に兄弟姉妹が2人の場合は、兄弟姉妹1人の相続分は8分の1です。
- 法定相続人が配偶者のみであれば、配偶者が全てを相続します。
逆に、配偶者がいなければ、第1、第2、第3の順位にしたがった法定相続人が全てを取得します。
配偶者の法定相続分は、他の相続人と比較して大きめです。夫婦が協力しあって作り上げた財産ですから当然とも思えます。ただ、結婚の時期にかかわらず配偶者の法定相続分は同じ割合ですから、中高年での結婚を考えると、他の相続人が不満を持つ可能性があります。この問題への対処が大変重要になります。
中高年の結婚でおこりやすいこと
配偶者の法定相続分は他の相続人と比較して大きめです。ある程度の機関の共同生活の中で作り上げた財産であることを考えると、一方の配偶者の死後、残された他方にそれ相当の相続分のあることは十分納得がいくものと思われます。
ところが、中高年での結婚となると事情は違ってきます。例えば極端なはなし、80歳になった男性が65歳の女性と再婚するとしましょう。そして男性には死別した妻と一緒に作り上げた財産があり、55歳と52歳の子があるとします。ものごとのなりゆきから考えれば、男性の余命は長くはありません。財産形成への女性の貢献度はほぼ0です。にもかかわらず、新しい妻に法定相続分2分の1があるというのでは、2人の子は釈然としないかもしれません。
まして遺産の中に2人の子が育った思い出の自宅が含まれ、それが乙に相続されてしまう可能性があるとなると、内心穏やかではいられないはずです。しかし、法律的には、2分の1なのです。よく臨終婚などロマンチックに語られますが、臨終するときだけ結婚していたのでは、財産形成に対する寄与はゼロであるにもかかわらず、相続分が2分の1ということになります。このような場合は、名古屋駅ヒラソル法律事務所でも扱ったことがあり婚姻無効確認の訴えや不当利得返還請求などをすることになります。