面会交流禁止の審判を追認した高裁例

面会交流禁止の審判を追認した高裁例

名古屋高裁平成29年3月17日

第一 事案の概要
 一 本件は、未成年者の監護親(母親)である原審申立人(昭和四六年××月××日生)が、名古屋家庭裁判所一宮支部平成二六年(家)第一三八号面会交流申立事件に係る平成二六年九月二四日付け審判(以下「前件審判」という。)の主文により定められた、未成年者と非監護親(父親)である原審相手方(昭和三九年××月××日生)との面会交流につき、新たな協議の成立等までの間、禁止することを求めている事案である。
 原審判は、原審申立人の求めた面会交流の禁止は認めず、前件審判が、平成二九年四月以降、原審相手方から原審申立人に面会交流場所を知らせるよう命じた部分(前件審判主文一項(4))につき、同月以降とあるのを平成三〇年八月以降と変更し、また、面会交流における原審申立人の同席を平成二九年三月末日まで認めることを命じた部分(前件審判主文一項(5))につき、同日までとあるのを平成三〇年七月末日までと変更したところ、双方とも即時抗告した。
 二 原審申立人の本件抗告の趣旨は、原審判を取り消した上、原審相手方は、未成年者との面会交流につき、原審申立人との間でこれを許す新たな協議が成立するか、または、これを許す家庭裁判所の調停審判があるまでの間、未成年者と面会交流してはならない、と変更する旨の裁判を求めるものと解され、その理由は、別紙「即時抗告理由書」《略》(写し)及び別紙「主張書面」《略》(写し)に記載のとおりである。
 三 原審相手方の本件抗告の趣旨は、原審判を取り消した上、原審申立人は原審相手方の示した「子の養育フォーム2」に基づき、未成年者を原審相手方と面会交流させなければならない、との裁判を求めるものであり、その理由は、別紙「抗告理由書」《略》(写し)、別紙「反論書六」《略》(写し)、別紙「上申書七」《略》(写し)及び別紙「反論書七」《略》(写し)に記載のとおりである。
第二 当裁判所の判断
 一 当裁判所は、未成年者らと原審相手方との面会交流のうち、遅くとも平成二八年一二月分以降については、本決定書主文第三項に記載のとおり、当分の間、直接的な面会交流は取り止め、間接的なものにとどめるのが相当であると判断するが、その理由は以下のとおりである。
 二 認定できる事実
   〈編注・本誌では証拠の表示は省略ないし割愛します〉
 以下のとおり付加訂正するほか、原審判「理由」の「第二 当裁判所の判断」の一に記載のとおりであるから、これを引用する(略称については、特に断りのない限り原審判の表記に従う。ただし、原審判中の「当庁」を「名古屋家庭裁判所一宮支部」と読み替える。また、原審判中に摘示されている事件番号は、特に断りのない限り同支部のものである。)。
 (1) 原審判三頁三行目〈編注・本号後掲六三頁二段八行目〉末尾の次に、次のとおり付加する。
 「そして、少なくとも原審申立人が主張する原審相手方による上記暴行は、具体的かつ詳細で迫真性に富む後記ウの審判時の調査報告書に添付の原審申立人作成にかかる手書きのメモや《証拠略》の陳述書により事実であると認められ、後記ウ、エの審判及び抗告審の決定でも認定されているところであって、信用性の認められる上記メモ書き及び陳述書によれば、産前産後の原審申立人に対する原審相手方の暴力暴言は、その程度に止まるものではなかったことが認められる。」
 (2) 原審判三頁一六行目、五頁七行目、一一頁二一行目、一四頁一一行目、一五行目、二三行目の各「裁判官」をいずれも削除する。
 (3) 原審判三頁二六行目〈同六三頁三段一五行目〉末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「 原審相手方は、上記審判に対して即時抗告したが(名古屋高等裁判所平成二〇年(ラ)第二三五号)、平成二〇年一〇月六日、同抗告は棄却された。抗告審の決定書では、原審判の認定説示をそのまま引用した上、未成年者にとって原審相手方との面会交流が楽しい時間であれば、たとえ短い時間であっても試行の回を追うごとに原審相手方に懐くと思われるが、四回の試行面会では回を追うごとに逆の反応となっており、原審相手方との面会交流自体が未成年者の負担となっている旨の説示が付加されている。」
 (4) 原審判一一頁七行目の「施行」を「試行」と改める。
 (5) 原審判一三頁六行目〈同六六頁三段二四行目〉の「主張するが、」の次に「確かに、原審相手方は、原審申立人を面会交流に非協力的であると非難し続けており、面会交流を実施していく上で原審申立人との信頼関係・協力関係を築いていく意識に乏しい面が窺われる。しかし、面会交流における信頼関係は、連れ去りの危険がないことや取り決めたルールを守って実施すること、子の前で相手の悪口を言わないことなど、面会交流を行う上で必要な範囲で確保されていれば足り、これまでに実施された試行面会や原審申立人が面会交流の具体的方法を提案していたこと等に照らすと、本件において、」を付加する。
 (6) 原審判一三頁八行目〈同六六頁三段二七行目〉の「相手方は、」の次に「原審相手方との面会交流が未成年者にとって心理的負担となっていることが明らかな状況を踏まえても、これを原審申立人による悪影響によるものとして、原審申立人に対する批判的態度を崩さず、原審申立人の悪影響を弱めるために頻繁な面会交流を行うべきである旨主張している。しかし、原審申立人が未成年者に対して片親疎外を招くような悪影響を及ぼしているとはいえず、原審相手方は、同性の監護親の影響を受けやすいという」を付加する。
 (7) 原審判一三頁九行目から一〇行目にかけての「相手方」を「原審申立人」と改め、一三行目および一八行目の各「申立人」をいずれも「原審相手方」と改める。
 (8) 原審判一四頁二一行目〈同六七頁一段二八行目〉末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「 上記各決定が繰り返されたのは、未成年者がその強固な意思で原審相手方との面会交流を拒絶していることによるものであるが、これら決定書のうちには、原審相手方が未成年者を面会交流の指定場所に連れて行った様子がないこと(上記平成二七年四月三〇日付け決定)、身体症状が出たのであれば医師を受診させて相談したり、面会交流変更の申立てをしたりすべきであるのにしていないこと(上記同年九月八日付け決定)を指摘したものがある。」
 (9) 原審判一四頁二六行目〈同六七頁二段四行目〉末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「 この決定では、末尾の付言として、原審申立人に向けて、未成年者が面会交流を嫌がり履行が困難であるというのであれば、原審申立人において未成年者を強く説得して引渡場所まで連れて行き、その反応を原審相手方に目の当たりにして理解してもらう必要がある旨説示し、他方、原審相手方に向けては、裁判所で決定された事項であるとはいえ、未成年者との面会交流は、監護者の理解を得て行うことが未成年者や当事者双方の心身の安定と利益にもっとも適うから、原審相手方としても、より良い面会交流実現に向けて、原審申立人代人理人と十分に協議し、監護親である原審申立人の理解を得るような柔軟な振舞いが求められる旨説示している。その上で、「当裁判所は、いたずらに間接強制の増額の紛争を繰り返すことなく、当事者双方の相互理解の努力の上に、面会交流が実現できるように期待するところである。」と結んでいる。
 しかるに、原審相手方は、この決定に執行抗告し、平成二八年八月二三日、上記抗告は棄却された(名古屋高等裁判所平成二八年(ラ)第一九七号)。
 抗告審の決定では、「一件記録によれば、これまでにも再三にわたり、抗告人(原審相手方)と未成年者との面会交流が試行されてきたこと、相手方(原審申立人)も、本件審判で定められた面会交流の実施に応じるよう未成年者に対する働きかけを行ったことが認められ、未成年者と非監護親との面会交流を実施することの意義については、相手方(原審申立人)も、一般的な知識理解を有していることがうかがわれる。」と判示されている。
 原審相手方は、上記各間接強制の決定に基づき、実際に何度も間接強制の手続を踏んでおり、その度に、原審申立人に対し、その所属する県教育委員会や勤務校の校長から電話がかかってくるが(給与等の差押えに関してのことと思われる。)、間接強制のことを原審申立人が未成年者には極力隠そうとしても、聡明な未成年者はそのことを鋭く察知し、「嫌がったのは自分なんだ。母親は関係ない。自分のせいだ。」と叫んだり、「絶対にお金は払わせないから。」と言って車の中に立てこもったり、間接強制のお金は自分が支払うと言って、布団の上にお金を並べ「足りない!足りない!」と取り乱したりしたことがある。
 原審申立人に科せられた間接強制金は、少なくとも平成二七年三月から平成二八年七月まで累増する五回分の合計一七二万円にのぼるが、原審申立人は、これらを親族から借りるなどして支払っており、これにより母子の経済生活は逼迫している。」
 (10) 原審判一六頁八行目〈同六七頁三段二五行目〉の「実施すれば、」の次に「未成年者を更に追い詰めることとなり、家出を誘発したり、更に重い身体症状や疾患を生じさせ、これらが常態化、深刻化しかねないこと、未成年者は「自分のために、自分がいるから母が苦しめられる」と悩んでいるが、これは過酷な現状をそのまま受け入れられず、自分を悪者にすることで現状を受け止めざるを得ないためであり、被虐待児やいじめの被害児の心の動きと同様であって、自信喪失や自己否定などが高じて抑うつなどを引き起こしやすいなどともいわれ、子の健康な自己肯定感の形成が疎外されることに加え、」を付加する。
 (11) 原審判一八頁一行目〈同六八頁二段三行目〉の「写真」の次に「(原審申立人によれば、そもそもそのような写真は存在しないとのこと)」を付加する。
 (12) 原審判二〇頁三行目〈同六八頁四段三〇行目〉末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「 なお、調査官は、この時点では間接強制にまつわる未成年者の尋常でない反応が記載された原審申立人提出の平成二七年八月二〇日付けの陳述書を読んでいるはずであるが、未成年者が自ら敢えて「嫌がらせ」の語を用いたにもかかわらず、上記の点を念頭に置いた上での質問を行った形跡はない。」
 (13) 原審判二一頁二一行目〈同六九頁三段六行目〉末尾を改行した次に、次のとおり付加する。
 「(6) 本件の原審判後の状況
 ア 平成二八年九月一六日付けでなされた原審判に対し、双方が抗告した。
 イ 原審申立人は、これまで未成年者に面会交流を働きかけるだけで心情が不安定となり、発疹が生じるなどの身体症状を呈する経験から、依然として面会交流には消極的であったが、前記のとおり、間接強制の各決定において、原審申立人が未成年者を引渡場所に連れて行ってすらいないことを再三指摘され、現実に面会交流をさせて身体症状が出たら医師を受診させればよいといった示唆もなされていることを踏まえ、代理人とも協議の上、未成年者を全力で説得して同年一二月一八日の面会交流に臨んだ。
 未成年者は、面会交流に向かう途中で、「頭が痛い。気持ち悪い。」と訴え、泣き出したりし、面会交流場所近くの駐車場に到着しても、車から降りようとせず、降りた後にも態度や行動で抵抗したため、決められた時間に約一〇分遅刻した。原審申立人と同代理人は、原審相手方と未成年者が何とか円滑に会話できるように双方に促すなどしたが、原審相手方は、久々の面会に際しても、未成年者に対し直接声をかけることはなく、話しかけを促した原審申立人代理人に対して反発し、長い間面会交流がなされなかったとの不満をぶつけた。未成年者は、原審相手方に対し、拒否的な態度を終始貫き、フードコートの席についてアイスクリームを一緒に食べることになっても、原審相手方と口をきこうとせずに席を離れて居なくなり、双方で探し回るところとなった。原審相手方が未成年者を見つけ、元の席に戻るよう声をかけて上腕をつまんだところ、未成年者は泣き出した。その後、原審相手方と未成年者は、元の席で一五分ほど向かい合ったが、未成年者は、アイスを食べ続けるのみで声を発することはなく、原審相手方は、「Aちゃん、お父さんにご挨拶は?」、「できないの?」、「学校で習ってないの?」などと詰問口調で話しかけたので、未成年者は押し黙ったまま泣き、やがて「トイレ」と言って席を離れ、またもや居なくなった。未成年者は、トイレ内に籠って、面会交流が終わるまでここにいる旨を泣きながら訴えたので、原審申立人は、これ以上の継続は無理だと判断し、原審相手方に対し、面会交流の終了を申し入れ、挨拶をして帰宅した。この日、未成年者と原審相手方が再会してから面会交流を終了するまでの時間は、約一時間強であった。
 ウ 未成年者は、同日(平成二八年一二月一八日)の帰宅後、感想を聞いた原審申立人に対し、「前代未聞だ。」、「会ったこともない変な人だ。私の周りにはあんなのはいない。」、「気持悪い。腕をもみもみした。」などと述べた。また、両手足の甲に湿疹ができ、痒みからなかなか寝付かれず、就寝後もうなされ、目が覚めては泣き、翌一九日の朝には三七・九度の発熱も生じた。食欲もなく、朝食は食べられなかったが、解熱したので登校はしたものの、下校後、のどの痛みを訴え、依然、両手足の甲の痒みからボリボリ掻くので、かかりつけの小児科医を受診し、痰などの薬や湿疹の塗り薬の処方を受けた。
 未成年者は、同月一九日の後も食欲がなく、就寝中うなされることが続いた。
 エ 原審申立人は、平成二八年一二月二四日、かつて乳幼児精神医学を専門とする大学教授として診断書(P2診断書)を作成してもらったことのあるP2医師のいるB病院へ未成年者を連れて行き、P2医師の診察を受けさせた。P2医師は、同月一八日の面会交流の状況を聞いた上、一時間ほど未成年者を診察し、診断書(以下「P2診断書二」という。)を作成した。
 P2診断書二には、「診断名」として「ストレス反応・退行状態」と記載され、「附記」として「1.拒否する能力は育ってきている。2.しかし、意に反することが行われることで、自律神経を巻き込んだ反応を起こし、身体症状を引き起こしている。3.それに対して、抱っこ要求等退行反応を起こすことで身を守ろうとする反応を起こした状態である。4.自分を守ってもらえない体験を繰り返すことになっていて、この影響がこの後に一番心配される。5.夢では、まだうまくいかない体験にとどめることができているが、それでも悪夢で眠りを中断されている。6.このまま、自分の意思が尊重されない体験を繰り返すことは社会に対する不信感を増大させていくと考えられる。その結果が、身体反応になるのか、情緒的反応になるのかはわからないが、より大きな反応を起こす可能性が大きくて、精神保健的には、明らかに危険な状況である。」と記載されている。
 オ 他方、原審相手方は、平成二八年一二月一九日、その前日にもうけられた場における状況は、未成年者を引き渡したとはいえない状態であり、時間が守られない、挨拶や会話がない、未成年者の同席が一~二分しかないなど、面会交流が実現したとはいえない状況であったので、予備日に面会交流をやり直してもらいたい、として、名古屋家庭裁判所一宮支部に履行勧告の申立てを行った。
 なお、原審相手方が当審において提出した「上申書七」において、一〇年にも及び父子関係断絶をさせた末、挨拶させない、会話させない、一~二分しか同席させないといった原審申立人の態度は、面会交流がさも困難であるかの演出であって誠意を欠くものであること、父親と挨拶も会話もしようとしない子の対応は、しつけの問題であり、原審申立人の監護親としての適性を疑うものであること等、縷々原審申立人を非難する内容の記載がなされている。」
 三 面会交流実施についての検討
 以上の認定事実を基に検討するに、未成年者が当初から原審相手方を頑なに拒否し続けていることは明らかであり、前件審判より以前においては、そのような未成年者の状況や、度重なる試行面会によってもこれが実際上改善されないこと、原審相手方には、面会交流を実施することの困難さや、原審申立人が産前産後の事情に対するわだかまりを超えて面会交流実施のために努力していることに対する理解が不足していることを指摘するなどして、将来における未成年者の成長発達段階に応じた直接的面会交流実施の余地を残しながらも、再三にわたる原審相手方の面会交流申立ては家庭裁判所において認められてこなかったものである。そして、前件審判においては、片親疎外を作出しているわけでもなく、むしろ具体的に面会交流の方法を提案し、試行面会にも協力してきた原審申立人に対する理解を欠き、同人に対する非難を止めないなどの原審相手方の問題点を指摘しつつも、原審相手方には未成年者の心身を害する対応はなく、未成年者の心理的負担の程度は面会交流を禁止しなければならないほどのものではなく、未成年者の年齢が八歳に達する段階にあって、ストレス耐性能力や環境適応能力により克服可能な状況になってきているとして、直接的な面会交流を認めるに至ったものである。
 しかしながら、現実の問題として、従前から通算して一〇回にわたる試行面会を経ても、未成年者の原審相手方に対する拒否的態度が緩解することはなかったものである上、その後も、未成年者の原審相手方に対する拒否的態度はより一層強固なものとなっており、原審申立人が未成年者に対し、原審相手方との面会交流の話をしたり、これを促したりするだけで、心身の状況に異変を生じてきたことは前記認定のとおりである上、法的に認められている措置であるとはいえ、原審相手方によりなされている間接強制の措置につき、いかに原審申立人がこれを隠しても、学業が顕著に優秀で聡明な未成年者がこれを鋭く察知し、原審相手方が金目当てで面会交流を求めているなどと敵意を抱き、そのような事態に及んでいるのは自分のせいであるとして自らを強く責め、原審相手方を拒否する心情を一層深めるに至っていることが認められる。
 しかるに、原審相手方は、上記のとおり、原審申立人の原審相手方に対する過去のわだかまりや、未成年者の頑なな態度にもかかわらず、原審申立人の努力により通算一〇回にもわたり試行面会が実施されてきていることに対し、何ら感謝の念すら示すことなく、現在に至るまで、原審申立人が父子断絶をもたらした旨非難する偏狭な態度を改めず、前記認定のとおり、原審相手方が一回につき五〇万円の間接強制金を九〇万円に増額することを求めたのを却下した間接強制の決定書において、裁判所が原審相手方に対し、監護親である原審申立人との協議と、その理解を得られるような柔軟な対応をするよう勧告したにもかかわらず、これに敢えて抗告し、かかる裁判所の勧告を一顧だにしない態度を示した挙げ句、その抗告も棄却されており、その後、原審申立人が未成年者の心身に異常が生じて未成年者との信頼関係に支障を来す懸念を押してまで、やむにやまれぬ心境で平成二八年一二月一八日の面会交流に臨んだ努力に対しても、何ら感謝の念をも示さないどころか、自らを嫌悪していることが明らかな未成年者に対し挨拶をしないなどと詰問するといった不適切な対応をして、一層未成年者からの顰蹙を買った末、原審申立人が挨拶のしつけもできず、監護親として不適格であるなどと、一方的に非難している。
 そして、未成年者は、実際、上記面会交流後、発疹、不眠、食欲不振、発熱等の身体症状を生じて、医師の診察と薬の処方を受けた上、乳幼児精神医学の専門家であるP2医師の直接的な診察により、ストレス反応、退行状態と診断され(P2診断書二)、未成年者にこのまま原審相手方との面会交流を続けさせることは、精神保健的に明らかに危険であるとされており、これら医学的措置や診断を疑うべき事情は存しない。
 なお、未成年者と原審相手方との面会交流実施につき、既に平成二七年一二月の時点で、臨床心理学的立場から子の福祉に反するとしたP1意見書の内容や、乳幼児精神医学の立場からその実施をやめるべきとしたP2診断書の内容は、その後、現に実施したことによる弊害状況によく合致しており、そのような事態を的確に予見したものというべきであって信用性が高いものと認められる。これらを否定するP3意見書は、原審相手方との面談は経ているが、未成年者とは面談しておらず、また、判断の基礎とすべき事実関係に偏りないし誤りがあり、抽象的かつ観念的に面会交流の必要性を言うものにすぎないから、採用し難い。
 以上述べたところによれば、遅くとも平成二八年一二月に一部実施した面会交流において、未成年者と原審相手方との面会交流をこれ以上実施させることの心理学的、医学的弊害が明らかとなったものと認められ、それが子の福祉に反することが明白になったというべきであるから、同月以降の直接的面会交流をさせるべきでないことが明らかとなったものということができる。
 他方、原審相手方が父親として未成年者のために手紙や品物を送ることまでを否定する理由はないから、この点については従前の取り扱いを変更する必要がない。
第三 結論
 よって、以上と異なる原審判を変更することとし、主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 藤山雅行 裁判官 上杉英司 丹下将克)

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