前妻が親権を得て離婚した後に再婚をしたら、前夫の養育費はどうなるか。

前妻が親権を得て離婚した後に再婚をしたら、前夫は養育費の支払い義務はどうなるのでしょうか。逆に、養育費支払い義務のある前夫が別の女性と再婚した場合の支払い義務はどうなるのでしょうか。

 

 再婚しただけでは原則として、養育費の減額は認められません。ただし無職の場合は0歳から14歳の生活指数で考慮される場合があります。また、再婚に伴い、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合など、第一次扶養義務者や扶養義務者が増えることにより、減額が認められることもあります。また、前夫が再婚した場合にも、養育費の減額が認められる可能性があります。これは、主にこどもが増えたことにより、同居しているフィクションにおける養育費の割り付けが変化するからといわれています。

 子どもと再婚相手が養子縁組をした場合

 子どもを連れて親が再婚しても再婚相手と連れ子との間には当然には親子関係は発生しません。再婚相手と連れ子が養子縁組をして初めて法律上の親子関係が発生します。したがって、法律上は、このような場合、審判に移行した場合は、減額が認められるのはつらいものと考えられます。

 養子縁組は子の福祉のためを基本理念としており、養子縁組により子は養親の子としての身分を取得しますので、養親が未成年の養子に対して扶養義務を負うのは当然ですが、それにより実親の扶養義務が当然になくなるわけではありません。もっとも、近時は養親といえども嫡出子であるのですから、第一次扶養義務者は養親であり、実親の扶養義務は収縮するという考え方の方が有力になっています。

通常再婚により子は養親と共同生活をしながら扶養されることになりますので、子に対する関係では法律上は養親と実親は共に扶養義務者ではあっても、その順位は養親が一次的、実親は二次的な義務者になると解されています。

 父母が離婚し、父母双方が離婚後別の相手と再婚し、子が再婚相手と養子縁組したケースで、実父からの養育費減額請求に対して事情の変更を理由に請求を認めた審判例、子が母の再婚相手と養子縁組をした後に、前夫に協議離婚の際に定めた養育費の支払いを求めたケースで、前夫は母や養父に劣後する扶養義務を負うにすぎないとして、前夫に対する養育費の請求を却下した審判例があります。

子どもと再婚相手が養子縁組をしない場合

 養子縁組をしていなくても、減額請求が認められる可能性があるという見解もある。この点は、養子縁組を意図的に避けているカップルに対する信義則違反として機能するといえます。

 再婚相手が連れ子と養子縁組をしない場合は、前夫が子どもに対して第一次的な扶養義務を負うことに変わりはありません。しかし、その場合でも、意図的に前夫に養育費を負担させるために、後夫が意図的に養子縁組をしないこともあります。しかしながら、養育費減額請求の調停では、再婚後の家庭の状態、扶養義務者の社会的地位、経済的余力等諸般の事情が考慮されますので、例えば、再婚相手が子どもの養育費を含め、新しい家族の生活費全般を負担する意思も経済力もあるような場合には、養育費を取り決めた離婚時に予測し得なかった個人的事情に変更があるとして前夫の養育費減額請求が認められる可能性があります。ただし一般的にはかなり難しいので離婚弁護士に相談しましょう。

 非監護者(養育費の支払い義務者)の再婚

 前夫が再婚した場合にも、養育費の支払い義務が当然なくなるわけではありません。調停調書や公正証書がある場合は債務名義の変更をしなければなりません。

 しかしながら、前夫は再婚相手やその間に生まれた子供に対して扶養義務を負うことになり、経済状況が変化している可能性があります。したがって、養育費を取り決めた時点から事情が変更したとして、前夫が養育費の減額を請求すれば認められる可能性があります。

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