介護離婚とは?義父や義母の介護を原因とした離婚や慰謝料請求ついて解説

介護離婚とは?義父や義母の介護を原因とした離婚や慰謝料請求ついて解説

義理の両親を介護している際は、さまざまな原因から心身ともに疲れてしまいストレスが限界に達してしまうこともあるでしょう。自分自身を守るため、離婚は選択肢のひとつといえます。また、夫の方も介護を理由に離婚を認めなかった判例が複数ありますので、こうした点も考慮して詳しい弁護士に相談した方が良いでしょう。

また、夫からの感謝が途絶えたときも、介護をする必要性を再検討する必要が生じるときでしょう。なぜなら、義理の両親は貴方の両親ではないからです。

この記事では、義親の介護を原因とした離婚や慰謝料請求について解説します。

介護離婚とは

義理の両親の介護をする義務はある?

基本的に法的な義務はない

例外として義務が発生する可能性がある

実の親の介護を配偶者に強制できない

介護が原因で離婚できるケース

夫婦がお互いに離婚に同意しているケース

介護が原因で夫婦関係が破綻しているケース

その他法定離婚事由に該当するケース

介護を原因とした離婚ができないケース

夫婦どちらか一方が離婚に反対している

介護に関して夫婦で協力している

介護離婚で慰謝料請求できる?

介護離婚に悩んだら早めに弁護士へ相談を

 

介護離婚とは

介護離婚とは介護に起因したストレスや夫婦間のトラブルが原因となり、離婚に発展することです。近年ますます深刻化している高齢化や医療技術の発展とともに、親の介護をする期間が長くなっていることが原因のひとつであると考えられています。支援から介護まで、いわゆる介護に関与する期間も長くなりがちです。

ここ数年、介護離婚が増えているといわれています。特に、義親の介護を理由として妻側から離婚を希望するケースが多いのです。

介護離婚に至る理由として、次のようなものがあります。

  • 義親との関係性がよくないため、介護をする気が起きず介護をしたくない。
  • 妻は自分の親の介護を名目に全く働こうとしない。
  • 被介護者の血族である夫や、夫の兄弟姉妹が介護に協力してくれない。
  • 「介護は妻がするべき」との思い込みがあるため、妻が介護することについて当たり前だと思われている。

妻は介護におけるトラブルが原因で心身のストレスが限界となり、離婚を決意するに至るのです。

他方、裁判例上見られるのは、例えば、「重度の障害を負う子の介護等を理由に有責配偶者からの離婚請求が棄却された例」(高松高裁平成22年11月26日判タ1370号199頁)のように、介護はしてもらっているにもかかわらず、夫が妻以外の女性と不倫をして離婚請求を望むという例も少なくないように思われます。高松高裁では、「妻は、離婚によって、長女の介護に関する実質的負担を1人で抱え込むことになりかねず、離婚によって精神的に過酷な状況に置かれることも想定されている」と判示されているところです。

このほか、東京高裁平成30年12月5日判タ1461号126頁が、別居して7年を経過し不倫などの積極的事情は認められないものの、単身赴任後離婚を切り出し、要介護の自分の親の世話を妻に任せたまま、妻との接触を拒否するようになった。離婚の理由や離婚後の父、妻、2人の娘の生活設計に関して全く話合いをしており、夫婦関係とはいえども契約関係であり信義誠実に反する離婚は認めないと一審を破棄して請求を棄却し、驚かれた裁判例です。その理由の一つに、自分の親の世話を妻に頼みっぱなしのまま、別居を続けたことは不誠実と見られたのではないかという意見をいう法律家が目立ちました。

義理の両親の介護をする義務はある?

「夫は外で働いているため、介護は妻がするもの」と考えている方は、まだまだ非常に多いといわざるをえません。

そもそも血のつながっていない義理の両親について、介護をする義務はあるのでしょうか。

法律的な側面から解説します。

基本的に法的な義務はない

結論からいうと、血族ではない人が介護をする法的な義務はありません。

 

介護に関連すると考えられる条文としては民法第877条があり、その1項には次のように書かれています。

 

  • 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

 

被介護者の子ども(この場合、夫は直系卑属)であり、直系血族であるため、実の親に対する扶養(介護)は義務であるとされています。

 

例外として義務が発生する可能性がある

例外として血のつながっていない義理の両親であっても、介護をする義務が発生する可能性があります。

関連する条文である民法第877条2項及び民法第752条には、次のように書かれています。

 

  • 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
  • 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

 

つまり、夫婦はお互いに協力し合わなければならず、親を介護するパートナーをサポートする義務があるのです。

また、妻は、この場合、「一親等」の姻族に該当するので、特殊例外的な場合は扶養義務を自分の義務として法令によりその履行が命じられる場合があります。

 

もっとも、直系の姻族には家庭裁判所の裁判がない限り、当然に扶養の義務はありません。

「LAW IS LAW」というしかありませんが、夫からすれば、当然面白くないことです。

直系の姻族に法的に直接的な扶養義務がないのはその通りなのですが、それだけで、介護をするパートナーをサポートしなかったり介護に協力しなかったりなどの態度は、やがて夫婦間の感情的対立を深める恐れがあります。この点は、複雑で、①義両親と妻が仲が良いケース、②義両親と妻が仲が悪いケースでも判決の帰趨は変わるでしょう。

直接的な離婚理由となるかは別として、離婚理由のきっかけとして認められる可能性があります。

実の親の介護を配偶者に強制できない

義親の介護は義務ではないため、直系血族ではないパートナーに対して実の親の介護を強制することはできません。「自分は外で働いているから」との理由だけで、実の両親を扶養するための介護一切を妻に任せっきりにすることは相当ではありません。それは、「昭和の価値観」です。

親の介護はあくまでも直系血族である実の子がメインとして行い、その介護を配偶者であるパートナーが支えることが理想でしょう。

介護が原因で離婚できるケース

義親の介護に疲れ、心身ともに限界に達したことを理由として離婚できるのでしょうか。

ここでは、介護が原因で離婚できるケースを解説します。もっとも、介護に関しては、介護保険の利用や老人ホームの利用などを兄弟間で話し合うのが現実的な解決ということもでき、例えば夫が全く介護に参加していないのに、妻のみが介護に当たるという場合は、上記のとおり、妻には、義理の両親への介護義務は特殊な場合を除きありませんから、これ以上の介護はできないとあらかじめ別居し、役所に相談のうえ、別居するというのが現実的なもののように思われます。

実務上は、こどもが成人をしているものの、日常生活全般にわたり介護が必要な状況である子についてどうするかという議論の方が目立っているように思われます(東京高判平成19年2月27日判タ1253号235頁)。

夫婦がお互いに離婚に同意しているケース

 

最もシンプルに離婚できるのは、夫婦がお互いに同意しているケースです。

離婚をすれば、妻は介護を補助する必要もなくなりますので、あとは金銭面で協議がまとまれば離婚に前向きというケースもあります。

日本では、夫婦がお互いに同意していれば問題なく離婚が可能です。これを協議離婚といいます。基本的に、協議離婚は離婚届にお互いが署名捺印して、役所に提出するだけで離婚が成立します。

しかし、東京では、感覚的に半分以上のケースで法律職が離婚を監修しているケースが多く、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。

もっとも、妻と義理の父母が同居し、夫が別居しているという特殊なケースで介護が必要な場合は別居の時期についても話合いが必要になる可能性は否定することはできないでしょう。

離婚にあたっては財産の分配方法や子どもの親権をどちらに与えるかなどについて、夫婦が争うケースもあるでしょう。

そのようなケースでも、裁判所が関与する離婚調停を経て合意すれば離婚が可能です。

介護が原因で夫婦関係が破綻しているケース

介護を原因として夫婦関係が破綻しており、裁判所がその事実を認めれば離婚が可能です。

夫婦関係破綻の事実は、民法第770条に書かれている法定離婚事由のひとつ「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するためです。もっとも、昭和の価値観の「モラハラないし昭和の裁判官」からすれば、親の介護は特別の寄与ではないと遺産部ではいっているのでしょうから、介護で揉めたか直ちに離婚できると軽信しない方が良いでしょう。

例えば、次のようなケースが考えられるでしょう。

 

  • 介護トラブルが原因となり、夫婦が長期間別居している状態である。
  • 夫の実親の介護をしている妻に対し、夫が一切感謝せず「介護をするのは当たり前」との思い込みから「こんなこともできないのか」「しっかり介護しろ」など、妻へのハラスメントと受け取れる言動を繰り返す。
  • なお、夫が妻に義理の父母の介護を任せつつ、濫りに別居した場合は、信義誠実の原則に反し、離婚が認められない場合がありますから、十分注意しましょう。このような事実関係の下では、別居期間が3年になったという事実は重視されないとされています。
  • 妻に実質介護の重要な役割を果たさせるのであれば、遺言書で一定の取り分を与える合意をするなど、実効的な話合いをするのは東京では主流であり、「長男の嫁」だからというのは昭和の話しです。

 

離婚を成立させるためには夫婦関係の破綻を裁判所に認めてもらう必要があるため、その具体的な証拠をできるだけ多く残しておきましょう。日記やメモ、パートナーから受けたハラスメントについての録音や映像など、あらゆる証拠を残しておくことをおすすめします。もっとも、介護の場合は、夫は介護していないのであればその旨、自分が行った介護の旨などを記載しておくと良いかもしれません。

 

裁判において証拠として採用されるために、証拠集めの具体的な内容や方法は弁護士に相談して適切なアドバイスを受けましょう。

その他法定離婚事由に該当するケース

夫婦が揉めているため離婚ができないケースについては、夫婦間に法定離婚事由と呼ばれる離婚原因があれば裁判で離婚が認められます。法定離婚事由は民法第770条に定められており、これに当てはまればパートナーが離婚に反対していても離婚が可能です。

 

法定離婚事由として定められていることは、次の5つです。

 

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

 

妻が夫の両親を介護している期間中に夫が不倫をしていた場合は、妻からの請求に限り法定離婚事由の不貞行為に当たるため離婚が可能です。他方、その逆は、極めて厳しい結論が待っている可能性も否定できないことから、弁護士を入れて話合いをされるのが良いと思います。

また、このケースでは不倫をしていた夫に対して慰謝料請求もできる可能性があります。

介護を原因とした離婚ができないケース

介護におけるストレスやトラブルだけが原因であれば、離婚できないケースも少なくありません。それらの影響により夫婦としての慈しみ合いが失われていると評価できることが必要です。

夫婦どちらか一方が離婚に反対している

日本で離婚する方法には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚があります。

 

協議離婚と調停離婚は、夫婦の一方が反対している場合はできません。また裁判離婚は、前述した法定離婚事由に当てはまらないとできません。

 

つまり、パートナーが終始離婚に反対しており、5つある法定離婚事由のどれにも当てはまらない場合はどれだけ離婚を希望してもできないのです。もっとも、日本は、長期の別居を「婚姻を継続し難い重大な事由」の一つとして類型化しているところ、信義誠実の原則に反する特段の事情がない限り、これらをとっかりとして話合いを求めていくことになります。

介護に関して夫婦で協力している

義親の介護が原因で心身ともに限界を感じた場合、離婚をしてこの現実から逃れたいと思う方もいるでしょう。

 

一方で、パートナーとの関係は引き続き良好であり、介護についても夫婦で協力している場合には離婚は難しいと考えられます。もっとも、一般的には、夫がマザコンで、妻からすれば、夫は何もしてくれない、文句ばかりあるなら自分で介護をすれば良いとなることが多いです。現在は、「令和」ですので「昭和」の価値観をこじらせている場合、「パートナーとの関係は引き続き良好」と評価できるケースはそれほど多くないように思われます。

日本の法律は、夫婦が単位であり、そこに祖父母などは入ってこないのですが、台湾などと同様、祖父母の支配が大きい家庭、とりわけ沖縄県など特殊な文化を持つところもありますから、父母、つまり夫婦の協力・扶助で乗り越えられない場合は弁護士に相談した方が良いでしょう。

介護離婚で慰謝料請求できる?

慰謝料請求とは、不法行為による損害賠償請求のことをいいます。

もっとも、一般的に厳密に考えると、祖父母が介護をしてくれなかった嫁を不法行為に基づく損害賠償請求で訴えると定義する方が正確でしょう。

結論からいうと、民法上、嫁には義理の父母について介護をする義務が家庭裁判所の命令がない限りありませんので、そのような請求は、刑法上の保護責任者意義罪が成立するなどの特殊なケースを除いては、認めることはできないでしょう。

夫が妻に、不法行為が存在しない一般的な介護問題のみでは、パートナーに対して慰謝料を請求できない可能性が高いでしょう。そもそも、夫婦間の問題であるのかという定式からも少し疑問を感じます。なぜなら、祖父母は、相続財産を残すでしょうが、妻は推定相続人ではありません。将来的に利益を得るものが負担を負うべき、というのが近時の社会通念であり、兄弟で話し合うべき事柄のように思われます。

一方で、パートナーに不法行為が認められれば慰謝料請求が可能です。

例えば、自分が義親の介護をしている間に、パートナーが不倫(不貞行為)をしていたケースが考えられます。不貞行為は不法行為のため、慰謝料請求が可能です。この場合、夫が妻に義理の父母の介護を押し付け、弁護士の安易な法律相談を信じ、こどもが成人してから離婚請求をした事例でも、請求が棄却された例があります。

別居は離婚のステップの一つですが、自分の義父母の面倒をみてもらいながら、というのでは信義則上別居期間がカウントされるのか、疑問な点もありますので、注意しましょう。

その他、介護中におけるパートナーからの心無い言動や暴力、ハラスメントなどが原因でうつ病や精神疾患を発症した場合も、慰謝料請求できる可能性があると考えられます。

慰謝料の請求については自分で判断せず、専門家である弁護士に相談しましょう。

介護離婚に悩んだら早めに弁護士へ相談を

親の介護による身体的な疲れや親族の不理解などでストレスが溜まると、心身に悪い影響を与えます。介護による心身の不調が続くようであれば、離婚の検討もやむを得ないでしょう。

また、介護で悩んでいるケースは、役所の適切なサービスを利用していないケースがほとんどです。役所にも併せて相談しましょう。

パートナーが離婚に承諾せず揉めているケースや慰謝料請求をするケースでは、すべての手続きを個人で行うことは非常にハードルが高いといえます。

離婚を考えた際には、適切なアドバイスを受けるために早めに弁護士へ相談しましょう。悩むよりも先に、無料相談をご利用ください。

名古屋駅ヒラソル法律事務所では、離婚トラブル対応の経験が豊富な弁護士が親身で迅速な対応を行います。東京家庭裁判所をご利用の方からのご相談もお受けしております。

「長期の別居」は介護絡みや交渉態度によると3年ではないとする判例

ここで問題となった事例で、東京高判平成30年12月5日判時2427号16頁を紹介します。

 

シュシュ:夫は単身赴任後、妻に離婚を切り出したというものである。そして、要介護状態の自分の父を妻に任せて、家を出て行ってしまった。ちょっとこの人ひどいね。

 

弁護士:やはり裁判所も色々いっているけど、義理の父の世話を妻に任せたまま、という点に力点を置いているといわれているね。そもそも話合いを拒み、離婚理由、離婚後の義理の父の介護、2人の娘の養育費についても話合いができなかった。

 

シュシュ:そして、きっと弁護士さんから「3年経過したら離婚できる」といわれ信じて離婚訴訟を提起したということだね。

 

弁護士:一審では、それでも離婚を認めてくれた。まあ「令和的価値観」だよね。夫婦としては終わっているというわけだけど・・・。

 

シュシュ:東京高裁を怒らせたのは、夫の弁護士が、一定期間経過すれば離婚は裁判所が認めるというお手紙だったみたいだね。介護の実情を無視して、有責配偶者類似と捉えられると「昭和の価値観」の東京高裁に火がついてしまった。

 

弁護士:まあ、東京高裁も色々とはいえ、不貞に関する昭和62年最高裁判決が、信義則一般に妥当すると言及し、一般論だけで請求を棄却しているが、やはり、まともに義理の父の介護問題について話し合っていれば、こうなることはなかったと思いますね。判決文を読むと、箸にも棒にもかからないという理由で、具体的な話しを一切せず、一審を破棄しているね。

 

「婚姻も契約の一種であり,その一方的解除原因も法定されている(民法770条)が,解除原因(婚姻を継続し難い重大な事由)の存否の判断に当たっては,婚姻の特殊性を考慮しなければならない。殊に,婚姻により配偶者の一方が収入のない家事専業者となる場合には,収入を相手方配偶者に依存し,職業的経験がないまま加齢を重ねて収入獲得能力が減衰していくため,離婚が認められて相手方配偶者が婚姻費用分担義務(民法752条)を負わない状態に放り出されると,経済的苦境に陥ることが多い。また,未成熟の子の監護を家事専業者側が負う場合には,子も経済的窮境に陥ることが多い」としています。

 

シュシュ:「性格の不一致」でもデュー・プロセスな話合いが必要ということだよね。この部分。

 

「一般に,夫婦の性格の不一致等により婚姻関係が危うくなった場合においても,離婚を求める配偶者は,まず,話し合いその他の方法により婚姻関係を維持するように努力すべきであるが,家事専業者側が離婚に反対し,かつ,家事専業者側に婚姻の破綻についての有責事由がない場合には,離婚を求める配偶者にはこのような努力がより一層強く求められているというべきである。また,離婚を求める配偶者は,離婚係争中も,家事専業者側や子を精神的苦痛に追いやったり,経済的リスクの中に放り出したりしないように配慮していくべきである。ところで,第1審原告は,さしたる離婚の原因となるべき事実もないのに(第1審原告が離婚原因として主張する事実は,いずれも証明がないか,婚姻の継続を困難にする原因とはなり得ないものにすぎない。),南品川に単身赴任中に何の前触れもなく突然電話で離婚の話を切り出し,その後は第1審被告との連絡・接触を極力避け,婚姻関係についてのまともな話し合いを一度もしていない。これは,弁護士のアドバイスにより,別居を長期間継続すれば必ず裁判離婚できると考えて,話し合いを一切拒否しているものと推定される。離婚請求者側が婚姻関係維持の努力や別居中の家事専業者側への配慮を怠るという本件のような場合においては,別居期間が長期化したとしても,ただちに婚姻を継続し難い重大な事由があると判断することは困難である」としている。

 

弁護士:この判例は、あまり話題になっていないのですが、誠実に話し合わないと離婚自体不利になるという裁定をする裁判官もいるということですね。

 

シュシュ:たしかに、「話し合いを一切拒絶し続ける」という点を取り上げて、別居期間の多寡は関係ないというスタンスだよね。

 

弁護士:そのうえで、大上段の議論を展開しているね。

 

「離婚請求は,身分法をも包含する民法全体の指導理念である信義誠実の原則に照らしても容認されることが必要である。離婚請求が信義誠実の原則に反しないかどうかを判断するには,①離婚請求者の離婚原因発生についての寄与の有無,態様,程度,②相手方配偶者の婚姻継続意思及び離婚請求者に対する感情,③離婚を認めた場合の相手方配偶者の精神的,社会的,経済的状態及び夫婦間の子の監護・教育・福祉の状況,④別居後に形成された生活関係,⑤時の経過がこれらの諸事情に与える影響などを考慮すべきである(有責配偶者からの離婚請求についての最高裁昭和62年9月2日大法廷判決・民集41巻6号1423頁の説示は,有責配偶者の主張がない場合においても,信義誠実の原則の適用一般に通用する考え方である)」としている。

そして、裁判官が、弁護士のやり方にコメントすることはほとんどないけど、「第1審原告代理人による「別居が一定期間継続した後に行われる離婚の訴訟では(中略)日本の法律のもとでは離婚が認められてしまう」という極端な破綻主義的見解は,当裁判所の採用するところではない」としています。

とはいうものの、第1審の弁護士さんのいっていることは、それほどおかしいことともいえず、では、「極端な破綻主義的見解」といわれても、東京高裁の感想じゃないですか、実際、東京家裁はそれじゃ動いていませんよね、といわれる感じがします。

 

シュシュ:あとは、裁判官の和解も断ったとかかな。

 

「婚姻を継続し難い重大な事由(話し合いを一切拒絶する第1審原告による,妻,子ら,病親を一方的に放置したままの7年以上の別居)の発生原因は,専ら第1審原告の側にあることは明らかである。他方,第1審被告は,非常に強い婚姻継続意思を有し続けており,第1審原告に対しては自宅に戻って二女と同居してほしいという感情を抱いている。」というのですが、あまり説得的であるとは思わないですね。7年も別居して今さら同居なんて再開できるわけないよね。

 

究極的にいうと、自分の両親の介護の必要性が生じたのは、その人の責任であり、息子の責任でもありません。たしかに扶養義務があることはそうでしょうが、こどもの年齢も説示に照らすと高校生に達しているとうかがうことができますから、なぜ、妻は働かないのか、「令和的価値観」から理解を求めるのはいささか難しいかもしれません。どちらかというと、「悪意の遺棄」に近いような感じがしました。

 

もっとも、この判例が出た当時、自分の親を他方配偶者に介護させたままでは、不倫がなくても離婚できないとした判例があると指摘されましたし、実際その通りになったわけです。

 

判決には、賛成する論者は少ないと思いますが、気を止めておいて良い判決だと思いますね。

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