配偶者のうつ病を理由に離婚できる?離婚のための条件を詳しく解説

パートナーのうつ病を理由に離婚できる?離婚のための条件を詳しく解説

さまざまなきっかけでパートナーがうつ病になると、支える側に大きな負担がかかります。大きな負担から逃れるため、離婚を考える人も少なくありません。

この記事では、うつ病のパートナーとの離婚を考える際に理解しておくべき点を詳しく解説します。

うつ病のパートナーが離婚を反対している場合は難しい

パートナーが同意していれば離婚できる

パートナーが離婚に反対している場合

「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」に当てはまるか

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるか

その他の法定離婚事由に当てはまるか

うつ病のパートナーと離婚する条件

これまでパートナーをしっかりと支えてきたこと

離婚後うつ病のパートナーが生活に困らないこと

うつ病のパートナーと離婚する際のポイント

子どもの親権について

養育費の額について

財産分与について

うつ病を理由とした慰謝料請求は難しい

うつ病を抱えるパートナーと離婚を考えたら早めに弁護士へ相談を

 

うつ病のパートナーが離婚を反対している場合は難しい

結論としては、日本においてパートナーが反対しているケースでは、離婚が難しいかは、ケース・バイ・ケースであると思います。

その理由を、詳しく解説します。

パートナーが同意していれば離婚できるが・・・。

日本では、夫婦お互いが合意していれば離婚が可能です。これを協議離婚といいます。

例えパートナーがうつ病であっても、しっかりと話し合いができる状態であれば、問題ありません。

話し合いの結果、双方が納得の上で離婚に合意すれば、離婚届に署名捺印し役所へ提出することで離婚が成立します。

しかし、経験的には、金銭面への不安から、あっさり合意には至らないというケースもないわけではないという印象を受けます。

パートナーが離婚に反対している場合

例えば、妻が夫に対して、気に入らないことがあると、夫の頭部やみぞおちを蹴ったり包丁を突き付けたり食器を投げつけたりして、夫の所有物を破壊する、暴言を浴びせる、自宅から締め出し土下座させる、家事を強要し、夫がうつ病になったというケースでは、妻は離婚及び慰謝料の支払いが認められています(東京家裁立川支部平成31年1月31日決定)。

このように、有責性が認められる場合は、不倫をした場合と同じように、簡単には、うつ病になった配偶者との離婚は認められないでしょう。

離婚には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類があります。協議離婚と調停離婚は、パートナーが反対している限り成立しません。

いずれにせよ、例えば、調停になった場合は、当事者は、うつ病などの精神的疾患を発症したり抑うつ状態に陥ったりすることもあります。

この点は弁護士とよく話し合いながら、裁定機能のない調停を延々と続けるのが良いか、調停それ自体、当事者出頭を伴うものであり、当事者にも負担が重たい手続であることに照らすと、一定程度の時期で調停の打ち切ることも検討に入れる必要があります。

裁判離婚は、夫婦間に法定離婚事由に当てはまる事実があるかが争点になります。法定離婚事由とは民法第770条に定められている離婚要因であり、夫婦間においてこの要因に当てはまる事実があれば裁判で離婚が認められるのです。

 

法定離婚事由は、次の5つが定められています。

 

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

うつ病の場合は、今日では、「婚姻を継続し難い重大な事由」を検討していくことの方が多いと思います。

いずれかに該当する事実があれば、夫婦の一方が反対していたとしても離婚できるかもしれませんが、うつ病にさせた原因が他方配偶者にある場合は離婚が認められない可能性もないとまではいえないでしょう。

一方、夫婦の一方が終始離婚に反対しており、法定離婚事由のどれにも当てはまらないケースでは離婚することはできません。

次に、うつ病が法定離婚事由に当てはまるかについて解説します。

「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」に当てはまるか

 

最近の判例では、うつ病が「強度の精神病」かを検討するケースはありません。強度の精神病の「強度」の定義もさることながら、回復の見込みがないという精神疾患が余り我が国では見られなくなっているということが理由のように思われます。

例えば、東京地裁平成15年8月26日Q&ADV事件の実務125頁は、以下のような事例でした。

 

  • 結婚14年
  • 夫がうつ病
  • 自宅療養するように
  • 長男をしつけと称して殴るように
  • 妻が骨折した
  • 警察や女性センターに保護された
  • 保護命令が出されたが、夫は脅迫行為を止めなかった。

これは、夫は、「うつ病」ではありますが、離婚原因は、「夫」の暴力を中心に把握されています。

以上の事実関係で、東京地裁は、夫がうつ病に罹患している事情があるとしながらも、夫の暴力により婚姻関係は破綻しているとして、妻の離婚請求は認められています。

したがって、法定離婚事由には、「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」があります。表面的に、法定離婚事由に該当すれば離婚が可能ですが、うつ病はこれに当てはまりませんので、実態を見ることが大切です。

結論からいうと、あてはまらないといわれています。

ここにいう「強度の精神病であり、かつ、回復の見込みがないというのは、昭和の時代でいうところの統合失調症及び躁うつ病を指すものといわれていました。

たしかに、事実上、「妻を介護するだけ」となるだけですから、民法の利益較量上、父母の監護下に返した方が良い場合もありますし、福祉の支援下に置いた方が良いので、昭和の時代は妥当ということができました。

しかしながら、現在、たとえば、会社をメンタルヘルス不調で休んでいても買い物は普通に行っている人々がほとんどです。

したがって、薬理コントロールの発達により、統合失調症や躁うつ病の陽性症状もだいたいコントロール下に置くことができるようになったといえるから、婚姻の本質である夫婦の精神的結合が失われ、夫婦の同居協力扶助義務を果たすことができない重症なものは、なかなか見られないようになりました。

したがって、回復の見込みがないという要件を満たすことが困難になったといえるのです。

ただし、精神疾患といえるか不明であるものの、アルコール依存や認知症などの疾病で、それにより婚姻関係が破綻していると言える場合は、婚姻破綻していると評価することもできるようになっています。

うつ病は一般的に軽度の精神病といわれており、回復する可能性がある病気と考えられています。裁判離婚において裁判所がうつ病を「強度の精神病」と判断する可能性は低いのは、その通りなのですが、裁判官としては、うつ病であろうが、アルコール依存症であろうが、婚姻破綻をしている証拠を持ってきて欲しいとなると思いますから、夫婦間の慈しみ合いが失われているといえるのであれば、直ちに離婚事由に当てはめることは難しいと悲観する必要もないでしょう。

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるか

 

民法第752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められています。

病気になった際にも夫婦はお互いに助け合わなければならず、パートナーがうつ病になったというそれだけで「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるとはいえないでしょう。その結果、夫婦の精神的結合にどのような影響が出たかが重要なように思われます。

 

一方、うつ病をきっかけに家庭内暴力や長期間別居している事実があれば「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるため、離婚が認められる可能性があります。

その他の法定離婚事由に当てはまるか

うつ病になったパートナーが不倫をしている、生活費を渡さないなどの事実があれば、法定離婚事由に当てはまるため離婚できる可能性が高いでしょう。意外とメンタルヘルス休職をしている方が不倫をしているということは、しばしば見られるように思われます。

 

さらに、このようなケースではパートナーや不倫相手に対して慰謝料の請求ができる可能性があります。

うつ病のパートナーと離婚する条件

うつ病を患うパートナーとの離婚は健康なパートナーとの離婚と違い、把握しておくべき信義則上の観点があります。

ここでは、うつ病のパートナーと離婚する条件と条件をクリアするためには、信義誠実に行動しなければならないのです。この信義誠実も法律家が考えるものですから、弁護士の監修を受けながらやると良いでしょう。

これまでパートナーをしっかりと支えてきたこと

民法第752条において、夫婦はお互いに助け合って生活しなければならないと定められています。

パートナーがうつ病になった場合、病気の回復のために夫婦で協力しなければなりません。つまり、パートナーがうつ病になったからといって、すぐに離婚が認められる訳ではないのです。

 

離婚を成立させるためには、うつ病を患ったパートナーをしっかりと支え続けてきた実績が必要です。将来ありうる裁判に備えて、実績を次のような記録で残しておくとよいでしょう。

 

  • 日々の出来事をメモする。
  • 一緒に通院した日時や交通費などの記録を残しておく。
  • 自分自身の悩みやストレス、心身の疲れなどを日記として残しておく。

 

将来的に離婚を考えている場合は、早めに弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

離婚後うつ病のパートナーが生活に困らないこと

うつ病のパートナーにとっては、離婚後の生活は経済的・精神的に大変厳しいことが予想されます。

 

したがって、強度の精神病であろうが、それに準じる場合であろうが、配偶者の今後の療養、生活等についての具体的方策が講じられていない場合、判例では、病者の今後の療養、生活についての具体的な方策についての見込み如何が問題とされています(最判昭和33年7月25日判時156号8頁)。

 

裁判離婚において裁判所は、うつ病のパートナーが離婚後の療養や生活などの目処が立っているかを見極めるのです。裁判所に離婚を認めてもらうためには、うつ病のパートナーが離婚後もしっかりと生活を営めるよう、次のような対策が取られていることが望ましいとされています。

 

  • 財産分与はパートナーが受け取る割合を高める(療養生活費に見合うこと)。
  • 離婚後はパートナーの親族に生活を支えてもらえるよう手配する。
  • パートナーが障害年金を受給できるよう手配する。
  • 精神障害者保健福祉手帳を交付してもらえるよう手配する。
  • 国や自治体の費用による入院の目途をつけること
  • 原告も離婚後であっても、一定程度、扶養協力の表明をすること

 

などが考えられます。

 

パートナーの生活のため、現時点でできることを可能な限りしておきましょう。

うつ病のパートナーと離婚する際のポイント

うつ病のパートナーと離婚する際に、重要なポイントを確認しておきましょう。

一般的な離婚時とは異なる要因があるため、しっかりと把握しておくことをおすすめします。

子どもの親権について

一般的に「子どもの成長や社会的利益のためには、どちらの親と一緒に暮らす方がよいか」が親権を決める際のポイントです。

 

通常、子どもが幼い場合は母親が親権を持つことが一般的です。妻のうつ病が比較的軽度である場合の親権は、妻に有利と考えられるでしょう。

妻のうつ病が重度であり生活に支障をきたす程度であれば、その限りではありません。監護の熱意を持っているかがメルクマールともいわれます。

養育費の額について

うつ病のパートナーとの離婚であっても、自分が子どもの親権を持った場合にはパートナーに対して養育費を請求できます。パートナーはうつ病を理由として養育費の支払いを拒否できません。

 

養育費の金額は、夫婦それぞれの収入が大きく影響します。

パートナーがうつ病を原因として休職していたり会社を退職して収入がなかったりなどのケースでは、養育費を支払ってもらえない可能性が考えられるでしょう。

財産分与について

財産分与とは、夫婦が結婚後共に築き上げてきた財産を分け合うことをいいます。

 

基本的には半分ずつ財産を分けますが、現実としてはケース・バイ・ケースです。財産を築いた際のバックグラウンドによって、分与の割合は大きく異なると考えられます。特有財産の主張や証拠の有無、不動産のローンの残などに左右されやすいといえるでしょう。

 

また前述の通り、うつ病のパートナーが離婚後においても問題なく生活できるよう配慮しなければならないため、財産を分与する割合を変えるケースも存在します。あるいは、離婚後2年間は婚姻費用を支払うといった提案もあるでしょう。

うつ病を理由とした慰謝料請求は難しい

パートナーがうつ病を患いそれが原因で離婚に至った場合、パートナーに対して慰謝料を請求できるでしょうか。

 

慰謝料とは、相手方が起こした不法行為によって被害を被ったことによる損害賠償のことをいいます。

パートナーがうつ病を患ったことについて、一般的にパートナー自身には非はないと考えられます。そのため、このケースでは損害賠償は請求できないでしょう。

 

一方、パートナーに何らかの不法行為があれば慰謝料が請求できます。例えば、次のようなケースです。

 

  • うつ病になったパートナーから何度も家庭内暴力を受けた。
  • パートナーが自身の不倫によって社会的制裁を受けた後、それが原因でうつ病になった。

 

慰謝料請求には専門的な法律の知識が必要なため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

うつ病を抱えるパートナーと離婚を考えたら早めに弁護士へ相談を

法律は、夫婦は助け合いながら生活することを求めています。

もっとも、うつ病などは、ASDなどの二次障害の併発として生じている可能性もあり、必ずしも話合いが資するケースとは認められないものもあります。

 

一方で、うつ病のパートナーを支えることは心身共に辛く、大変なことも多いでしょう。うつ病のパートナーを支えることで自分自身の心身に限界が来た場合には、自分を大切にしてください。自分を守るための離婚も選択肢のひとつでしょう。

 

パートナーのうつ病だけを理由とした離婚は難しいといわれていますが、多かれ少なかれ、一次障害の上の二次障害の併発という場合は夫婦関係がもともと悪化しているケースも少なくないと考えられます。

 

こうしたケースでは、家裁でも「困難事例」に位置付けられているケースは珍しくありません。二次障害を併発している人は、対応もラディカルであることが少なくありません。

 

そこで、法律問題は、早めに弁護士へ相談することで離婚できる可能性が高くなる可能性があります。また、精神的に負担があれば、心理職の対人援助業や行政にも継続的に相談をされると良いでしょう。

 

率直に申し上げれば、人生の困難なときは、カウンセラーの料金などは支払うのは仕方ない、自分の裁量のメンタルヘルスケア―を図るためと考えていただいた方が良いと思います。

 

うつ病のパートナーとの関係に悩んだら、お気軽に法律的観点からの無料の法律相談をお申し込みください。

 

名古屋駅ヒラソル法律事務所では、夫婦間トラブル対応の経験が豊富な弁護士が親身で迅速な対応を行います。なお、名古屋駅ヒラソル法律事務所では、東京、千葉、神奈川など東京家庭裁判所に係属している離婚調停・婚姻費用分担調停、離婚訴訟も積極的に受任しています。

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