外国人妻との間の未成年子の親権や養育費はどうなるでしょうか。

日本人で、外国人の妻とは別居中。離婚する場合、外国人妻との間の未成年子の親権や養育費はどうなるでしょうか。日本人夫が親権を得た場合、外国人妻との面会交流の必要はあるのでしょうか。日本人夫は現在別の女性と暮らしており、未成年子はその女性と協力して監護養育している。

 子どもの親権や面会交流といった親子間の関係については、通則法32条により、子どもが日本国籍を有する場合には日本法に従います。養育費については、扶養準拠法により、子どもが日本に住んでいれば日本法に基づいて養育費の支払い義務が発生します。日本の法制度上、非監護親は、原則として子どもと面会交流することが認められています。

親権

日本民法では、父母が離婚する場合、未成年の子どもがいるときは、父母の一方を親権者と定めなければなりません。しかし、冒頭事案のように夫婦の一方が外国人である場合には、離婚の際の子どもの親権の決め方について、どの国の法律が適用されるのかが問題となります。

 この離婚の際の未成年の子に対する親権・監護権の帰属・分配の問題は、離婚の効力の問題としての性格と、親子間の関係に関する問題としての性格を併せ持っているため、通則法27条(離婚)によるべきか、同報32条(親子間の法律関係)によるべきか、という考えの対立があり、判例・学説は別れていますが、最近は32条によるとする下級審判決が多いようです。

 戸籍実務でも、「法例の一部を改正する法律の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて」と題する民事局長通達(以下「基本通達」)の第2の1の(2)により、「法例の第21条による」とされました。

 通則法32条は、子どもの本国法が父親又は母親の本国法と同一の場合はその本国法により、それ以外の場合には子供の常居所地の法律によると規定しています。これによると、冒頭事案のように妻が外国籍で夫が日本国籍の子どもの親権の決定は以下のようになされると考えられます。

  • 子どもが日本国籍である場合→日本法による
  • 子どもの国籍が妻の国籍と同一である場合→妻の本国法による
  • 上記①②どちらにもあたらない場合→子どもの常居所地法(日本法)による

子どもが重国籍の場合については、通則法38条1項に従って本国法を気亭することになりますが、同項但書に、日本国籍を有する場合には日本法が本国法になると定められています。したがって、冒頭事案で、子どもが父母の両国籍を有する場合には、日本法が本国法となります。

 

養育費

 冒頭事案では、両親の一方が外国人であるので、養育費の請求権について、どの国の法律が適用になるかを決めなければなりません。

 日本民法では、養育費請求の法律構成としては、①子ども自身の扶養料請求②子供を養育している親の監護費用請求との2方法に分けて考えられていますが、国際私法ではそのような分類では論じられておらず、親子間の扶養義務に関する問題として取り扱われています。そして、親族関係から生ずる扶養義務については、扶養準拠法という特別法が制定されており、通則法の適用はありません。

 具体的には以下のような基準で準拠法が決定されます。

  • 扶養権利者の常居所地方
  • ①の常居所地法では扶養を受けることができないときは、当事者の共通本国法
  • ①②によっては扶養を受けることができないときは、日本法

 以上のような基準から、設問では、扶養を受ける権利を有する子どもの常居所地法が日本であると考えられ、日本法によれば、未成年の子は親に対して扶養を請求する権利を有していますから、これに従って養育費の請求をすることができます。

 なお、扶養の請求を申し立てることができる者の範囲及びその申立をすることができる期間並びに扶養義務者の義務の限度についても、同法によるとされています。

 具体的な養育費の金額の決定においては、子どもがどこの国で養育されるかによってその国の物価水準などにより影響を受けることが多いといえます。

 また、扶養義務者が外国へ行ってしまった場合や扶養義務者の財産が外国にある場合には、日本で裁判が行えるのか、日本で出された判決又は審判を当該外国で執行することができるのかそれともその外国であらためて裁判を起こさなければならないのか、といった問題があります。それらについて結論を出すためには、具体的に当該外国の法律制度がどうなっているのかを調査する必要があります。

 面会交流

 外国人である母親と子どもとの面会交流についても、通則法32条が適用され、親権についてと同様に日本法が適用されます。したがって、離婚後に父親が子どもの親権者になった場合には、母親には原則として子どもとの面会交流が認められます。

 冒頭事案では、原則として母親と子どもとの面会交流が認められますが、例外的に認められない可能性がある場合として考えられるのは、子どもが父親と同居する女性のもとで監護養育を受けていることから、仮に実の母親が面会交流を行った場合、子どもの心理的な混乱を招く恐れがあると裁判官が考えた場合や、父親が同居女性と再婚し、子どもと再婚相手の女性が養子縁組して円満な親子関係を築いているような場合が考えられます。

国際裁判管轄

 なお、親権や養育費、面会交流についても、裁判所で解決しようとする国際裁判管轄が問題となります。

親権者の指定については、離婚の附帯請求として申立てる場合は、離婚の国際裁判管轄に従う裁判例が一般的であり、離婚とは別に申立てる場合は、子どもの住所地国に国際裁判管轄を認める裁判例が一般的だと言われています。養育費については、学説、実務ともに、子どもの住所地国及び相手方の住所地国の両方に国際裁判管轄を認める見解が有力だと言われています。

冒頭事案の場合、夫婦と子どもがともに日本に住んでいるということですので、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められると考えられます。

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