得する離婚で離婚後お金に困らない!(財産分与、養育費)

「得する離婚」で困窮しないようにする方法(女性、こどもの立場から)

 

離婚案件を多く扱っていると、東京と比較して、愛知県、名古屋市、三重県などはまだまだ女性は専業主婦やパートタイム労働が多く、経済的に対等である、と思われる事案は必ずしも多くありません。

 

離婚後は、こどもを女性が引き取るケースが多いものの、その後経済的に不安定になりやすく、経済的自律を図っていくことも離婚では要素となります。これを「経済的離婚」といいます。

 

女性はこどもを引き取るケースが多い点がありますが、8割~9割ほどは女性が親権を有することになります。全国の母子世帯数は75万世帯に対して、父子世帯は8万世帯となっています。(父子世帯は、こどもの監護の質の問題があるなど別の問題がありますが、父親がフルタイムで勤務し続ける例が多く経済的不安はないという例が多いように思います。)

 

私も、母子家庭から弁護士になったのですが、どうして、女性の場合、困窮しやすいのでしょうか。

 

私の母親の例でいえば、1)もともと教師であったものの、いったん退職して専業主婦になってしまった場合、安定して年収350万円くらいもらえる職場がそれほど多くないこと、2)育児環境は母親が提供するものという社会的実態があること、3)経済的支援は養育費のみによって行われ、それ以上の支援、とりわけ公的支援が不足していることなどが考えられます。

 

もっとも、私は弁護士事務所の事業主でパートの女性を雇っていますが、お子さんがいらっしゃり、急な病欠や必要火急とは言い難い理由での欠勤もありますが、経営者自体がこどもの愛着(アタッチメント形成)形成のためには、親子が一緒にいる時間が必要との社会的な考え方が広がらないと、なかなか女性の雇用も安定しないという面があります。

 

では、養育費が毎月安定的に支払われるという前提が崩れると、養育費も生活費に組み込んで生活している母子は困窮せざるを得なくなります。

そこで、養育費問題に専門的に取り組んでいる弁護士などに相談しましょう。

 

今回は、離婚に詳しい弁護士による、母子のための離婚講座の総論を考えていきたいと思います。是非参考にしてみてください。

 

1.養育費の不払い

養育費は、離婚後に子の生活費として支払われるお金のことです。厚生労働省の平成28年度のある調査によると、「養育費の取り決めをしていない母子家庭」は、54.2パーセントと半数を超えています。

現在は、養育費の目安として、最高裁が公表している「算定表」が広く普及していることもあり、協議離婚の際も、算定表を参考にすることが増えてきており、「養育費の取り決めは算定表通りで」という取り決めがしやすい状況もあり、養育費の取り決めそれ自体は増加したのではないかと推測されます。

そもそも、養育費の取り決めをしていない場合、1)養育費の取り決めをするよう打診→2)養育費額を協議→3)養育費額を決定というプロセスが必要になります。

 

名古屋家裁の離婚部の部長だった方に以前うかがったことでも、算定表にある幅は意識して、1~3万円程度は事情によって調整しているのが裁判所の考え方のようでもあります。

このような調整が「相手方と関わりたくない」「相手に支払う意思がないと思った」「相手に支払う能力がないと思った」と思わせ、養育費の取り決めが進まないようです。

たしかに、私の経験でも、DVの例では、こじれにこじれることがあり、高葛藤事例では、あまり、金員にこだわらない方が、法的離婚がしやすいこともあり、法的離婚と避難を優先するため養育費の取り決めにこだわらないようアドバイスをする例などもあります。

また、養育費については、一度、取り決めをしても、裁判上の債務名義ないし公正証書にしておかないと、2~3年で途絶えるケースも少なくありません。

実際、離婚した父親からの養育費を「現在も受け取っている」のは、24.3パーセントとなり、養育費の取り決めをしても、数年後に養育費が、なお支払われているケースは、およそ半分になってしまうことが分かります。

他方で、夫が、大企業務めというケースは名古屋では少なくありません。退職しないと思われる場合、養育費は、民事執行法の規定で執行力が高められているので実効性が高いのです。

「お得に離婚」するには、弁護士に依頼して、離婚調停、公正証書を作っていくと良いと思います。少なくとも過去分の不払いについて、民亊裁判を起こせるように、弁護士が作成した離婚協議書を用意しておくと、「お得に離婚」できると思います。

 

2.離婚後を見定めた「経済的離婚」を達成するために

離婚には、「法的な離婚」があります。ここに法律家が介在するわけですが、他にも、「心理的離婚」、「経済的離婚」があります。

心理的離婚というのは、少なくともこれまでは曲がりなりにも夫婦として、互いに助け合ってやってきたという面があります。それが離婚後ゼロになる、相手方に対する心理的依存関係は互いに断ち切らなければなりません。

たまにこうした心理的依存関係から、法的離婚を迷っているケースがあります。

私は離婚問題の専門家の弁護士ではありますが、離婚を迷っている心理的アドバイスは経験を話すことはありますが行うことはありません。心理的離婚のケアは、国家資格を持った精神保健衛生福祉士や公認心理師などの領域と考えており法的問題ではないからです。もちろん弁護士は色々なことを知っているので、折に触れてアドバイスを求めることはあっても良いかもしれませんが、離婚を考え始めた理由などの整理は、時に心理職のサポートを得て自分で行う必要があります。

一般的には、「こどもがいるから」というだけを理由とせずに、「夫婦関係を修復できないのか、自分の気持ちに冷静に向き合い、紙に書きだすなど言語化する」など、心理的離婚と呼ばれる心の棚卸をする必要があります。

心の棚卸が十分ではないと、相手方と充分に話し合うこともできません。「相手方と関わりたくない」「相手に支払う意思がないと思った」「相手に支払う能力がないと思った」という考えの中には、心理的離婚が十分にできていないこともあります。

他方、財産分与でどれだけの財産を分けてもらえるのか、それと養育費はいくらか、自らの稼働による給与はいくらかなどの当面の生活が成り立つかを考えるのが経済的離婚です。こうした点は、ときに弁護士とともに、養育費などの目安を聴いて、家計をシュミレーションすれば、離婚する前に一定の経済的不安を取り除くことができます。

この点、お子さんの大学進学など多額のお金の出費が予想されるような場合は、そもそも養育費の取り決めにあたり、公平な分担を相手方に申し出るべきです。

また、私も母子家庭で育ったのでいうのですが、大学は国立大学並みの学費の私立大学に進学しましたし、ほぼ毎日アルバイトもしていましたし、奨学金も借りていましたので、そうした努力をこどもに求める冷静さも必要である、と思います。

こうした点で、冷静さを欠いていると、現実さを欠いて高額請求にこだわるということがあります。もちろんこうした交渉が結実すればそれに代わることはないのでしょうが、交渉にこだわるあまり交渉が長期化するだけで、結局、想定していた金額がもらえないというケースもあります。

想定していた金額がもらえないというのは、「足りないと考える金額をもらえない」とは異なるのです。経済的離婚について、大学の学費や高額な私立高校に通っているといった特別な事情がある場合は、フィナンシャルプランナーに一度相談して、離婚後を見据えた経済設計を立てるよう依頼者にはアドバイスをしています。

 

離婚については一人で抱え込まず、弁護士に相談していれば、そこから、フィナンシャルプランナーやカウンセラーにつながることもあります。日本では一人で抱え込む方が多く、また弁護士がすべての領域を扱っているわけでもありませんから、弁護士、国家資格を持つカウンセラー、フィナンシャルプランナーなどに相談してみてください。

 

3.離婚後のために準備すること―感情的離婚の立場から

なぜ離婚したいのか、いつからしたいと考え始めたのか。

離婚したい場合、少なくとも、離婚後の経済的プランを決めた上での判断であれば、後悔のある離婚になることは少ないと思います。

法的離婚には離婚原因が必要ですが、多くの離婚が占める協議離婚や調停離婚は相手方が同意している限り、明確な法的離婚原因は必要ありません。ただし、調停は裁判所であり、法律に則って話しをする場所であるので、裁判離婚を踏まえ弁護士と協議し、法定離婚事由とその裏付けになる証拠を集めておくと良いと思います。

離婚したい!と考えると、それ以上、第三者としては、アプローチする必要はないので、離婚すべきか、離婚しないべきかというよりかは、離婚後の経済的な安定さがあるかという観点から検討されるべきように思います。

先ほども述べたように、純粋に、この人とパートナーとしてやっていけるのかどうかという観点からの相談は、心理的な相談であり、国家資格を持つカウンセラーなどに相談した方が良いかもしれません。

弁護士が経験することとして多いこととしては、離婚を急ぎたいというようなことです。心情的な事情のみの場合については、弁護士は心理的ケアの専門家ではないので難しいところですが、結論的にいうと、友人や家族が離婚問題について真剣に真摯なアドバイスをくれるというようなことは、私は少ないと思っています。

昔から、「夫婦喧嘩は犬も喰わず」というように、離婚問題や夫婦問題については、家族や友人は必要以上に関わらないようにしていると考えます。そのため、個人的に弁護士を持ち上げるわけではありませんが、弁護士が一番客観的にも主観的にもその人のためを思ったアドバイスをしているのではないか、と思っています。

弁護士は職業上、多くのモラハラ被害者等も見ているため、「精神的支配」から抜け出すのに時間を要するケースなどを見分けることがあります。

このように、様々な離婚のケースを扱っていることから見えてくる一手もあるのです。

そのように思ったのは、ときどき離婚事件をしていると、親から電話がかかってくることがあるからです。

しかし、必ずしも依頼者の利益と親の思惑が一致するとは限らないものです。

例えば、高齢の夫妻の下に、幼少の子を抱えて戻ると生活リズムが乱されるうえ、生活資金を援助しなければならないのではないか、と考えて、突き放す、という考え方の親もいないわけではないのです。

現在の高齢者は、「団塊の世代」であり、核家族の申し子でもあり、自分自身に余裕がないというケースも十分考えられるのです。

弁護士としての経験上、家族や友人関係には、相談しにくいという方もいますし、守秘義務があり秘密が洩らされることがない安心感が法的な裏付けある弁護士に相談している方が安心感があるという方もいます。

このように、離婚後どのような生活を思い描いているのか、具体的にシミュレーションをすることを欠かせませんし、離婚後の想定した家計簿を作ってみるなど、安定した生活ができるか考えてみることも大事です。

こうした経済的不安が解消されると、離婚の心配や離婚以外の選択肢をとる理由の有無などが分かるようになってくるようになります。

 

4.離婚後のために準備すること―経済的離婚の立場から

離婚への気持ちが固まったら、具体的な準備をすることになります。

ざっくりいうと、離婚後の生活は、

① 結婚前からある自分固有の預貯金

② 財産分与ででもらった資産

③ 養育費

④ 慰謝料等の紛争解決金

⑤ 自らの給与及び児童扶養手当

―で経済的に家計を賄っていくことになります。

 

こうしたことを踏まえて、財産分与で分ける財産を決めることになります。

一般的には、共有財産を把握しておかなければ、根拠に基づく話合いはできません。

そこで、預貯金などの資料を必ず集めておくようにします。また、離婚を急ぐあまり、性急に話しを切り出してしまったり、切り出されたために別居したりすると、その後、相手方の通帳などを物理的に触ることが不可能になることがしばしばあります。

話合いの前から、保険契約書や不動産の権利証(登記識別情報)など、入手した資料はスマートフォンで写真に撮ったり、コピーをとったりするようにしましょう。

5.生活費を具体的に計算し、離婚後の経済的プランを立てる

離婚後も安心して、経済的安定を得るためには、収入と支出を整理することが大切です。

 

こどもがいる専業主婦の場合、就職や保育園の段取りが大変なのは当然です。もっとも、こどもがいない場合は、離婚後、「養育費」のような継続的な経済給付は夫からは得られなくなります。

共働きのケースでも、住居を変えたり、こどもの住環境を整える準備、家賃、水道光熱費などの固定費がどれくらいになるか、などのコストを考える必要があります。

 

例えば、私の母親は、家政婦兼ベビーシッターを雇っていた時期がありましたが、公務員としてフルタイムで働いている場合、こどもはベビーシッターなどに任せる時間があって良いという考え方や雇わざるを得ないケースもあるかもしれません。

 

弁護士と主に、財産分与の話しをするのと、並行して、ずばり、

① 離婚後はどこに住むのか

② 家賃などの固定費はいくらかかるのか

③ 仕事はあるのか

④ こどもの生活環境は変わるか

⑤ こどもの教育費はいくらか

⑥ 離婚後の1か月の生活費はいくらか

―をまとめておくと、後悔をしない離婚をすることができるようになり、安心にもつながると思います。

 

6.教育費についての話合いは時機を改める覚悟を持って

離婚後、しばらくすると、男性側から、養育費を減額したいと打診されることがあります。

女性やこどもの側で新しい生活が始まっているように、男性も新しい生活に入っているわけです。

ここは、理由は分からないのですが、面会交流が充実していた方が養育費が支払われる傾向があるとはいえ、実際は、面会交流をしているか否かに関係なく、再婚をしたり、新たに子をもうけた場合などには元夫が養育費の減額を求めてくることもあります。

ですので、養育費も、必ず変わらない、あるいは、増額しかあり得ないものと決めつけず、ある程度は、適正な手続きを踏めば増減額し得るものであることは理解しておきましょう。

また、現在、多くの日常生活に占める支出で割合のものは、「こどもの学費」ではないか、と思います。

しかし、こどもが例えば5歳くらいのころに離婚してしまった場合、18歳の大学進学がそもそも見込めるのかどうかも分かりません。こうした場合は、裁判所もしかるべき時期に話合いをし直してもらうという形式をとっています。

 

8.離婚は弁護士へご相談を

モラハラなどが背景にあって、離婚する場合、被害者お1人では対応が困難なケースがあります。

そもそも相手との力関係があるので、話し合っても対等に条件交渉しにくいでしょう。また,新しい出発をするために,福祉の利用を考えるべきときもあります。

そんなとき、弁護士に離婚交渉を任せると、意外とスムーズに協議離婚できる可能性があります。法的離婚、経済的離婚、心理的離婚を考える場合、当事者は、経済的な事情を優先しがちです。

しかし、法的に離婚しなければ離婚ではありません。調停を申し立てる際にも、法律家の支援があると安心できるでしょう。また,引き時などのアドバイスも得ることができます。

 

当事務所では離婚問題に積極的に取り組んでおり、初回のご相談は60分まで無料とさせていただいています。離婚問題にお困りの方がおられましたら、別居前でも別居後でもかまいませんし、経済的離婚や心理的離婚に絡んだ相談でも構いません。

 

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