配偶者の親族の所有する土地上に建てた不動産の処理はどうしたら良いかメリット・デメリットや注意点を解説!

配偶者の親族の所有する土地上に建てた不動産の処理はどうしたら良いかメリット・デメリットや注意点を解説!

 

  • 土地の所有者が一方配偶者の親族のもの
  • 他方配偶者が夫婦共有財産である建物名義人かつ住宅ローンの債務者である場合相手と離婚協議をしようとしても無視されてしまう
  • 直接話し合うと、どうしても感情的になってしまう

江藤鈴世さんとなるみさんは,平成26年に結婚し,平成28年に長男が生まれ3人で生活していました。

夫婦は、平成27年になるみさんの両親が居住している土地(相手方父の所有)に自宅不動産(建物のみ:3000万円)を立てて居住しました。

鈴世さんは,なるみさんとの生活に耐えられず、実家に帰ってしまいました。

この場合、住宅ローンはどのようになるのでしょうか。

 

協議離婚が難しい状態なら、離婚調停を申し立てましょう。調停を利用すれば、調停委員に話し合いを調整してもらえますし、相手と直接話す必要もありません。もっとも調停委員さんについては、必ずしも法律の専門家ではない場合もあります。確実に自分の言い分を知らせるためには、調停に弁護士を就けることも考えましょう。

 

今回は離婚調停を利用すべきケースや申し立て方法、注意点などの基本知識をお伝えしますので、離婚協議が難航してお困りの方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.配偶者の親族の所有する土地上に不動産を建てる場合

本件では、鈴世さんとなるみさんが,なるみさん父所有の土地を使用貸借し、その土地上に夫婦共有財産としての自宅不動産を建築しています。

もちろん、親族関係が円満であれば良いのですが,鈴世さんとしては,なるみさんとの関係が悪くなってしまうと,建物の土地利用権がなくなりかねないという不安定な状況となります。

また,鈴世さんとしても、なるみさんと離婚するにあたり、鈴世さんが,わざわざなるみさんの実家に隣接する土地上の建物に居住するメリットはないといえるでしょう。

そのため、鈴世さんとしては,「相手方が不動産を取得したうえで、相手方が申立人に対してその価額の2分の1を支払うことによる解決」が考えられます。

これに対して、なるみさんは、相手方に対する不動産の分与及び申立人による不動産ローンの支払を要求されてしまいました。

 

本件不動産は,購入したばかりですので、「オーバーローンの不動産」です。

なるみさんには、保育士のパート収入しかなく、住宅ローンの借り換えができる見込みはありません。そこで、相手方は、相手方の資力では住宅ローンの借り換えを行えないことを回答してきました。

 

2.不動産を売却しようとしても

実質無価値物の不動産を売却するのも簡単ではありません。なぜなら、土地は、なるみさんのお父さんのもので,なるみさんのお父さんと一緒に売らない限り、売却できないからです。

2-1.調停で冷静に話し合う

売却の話しになっても、「使用貸借」ないし「賃貸借」の土地上の建物のみの売却は多くの場合、買い手がつきません。このまま、離婚訴訟になってしまうと、申立人が不動産の所有権を有しているまま離婚が成立する可能性が高いといえます。

したがって、離婚調停の段階で弁護士を就けた方が良い事案といえるでしょう。

離婚調停を利用すると、基本的に相手と直接話すことはありません。相手と同じ空間に居ると、「売り言葉に買い言葉」ということもあるかもしれません。

相手の意見は調停委員を介して伝えられますし、こちらの意見は調停委員を介して伝えます。

お互いが顔を合わさないので感情を抑えやすく冷静な判断が可能となるメリットがあります。

自分たちで話し合うと言い合いになってしまうご夫婦でも、離婚調停を利用すれば離婚を成立させられるケースが少なくありません。

ただし、第三者が挟まるため、真意が伝わりにくい可能性もあります。これは弁護士がポイントを突いた主張をすることで解消するということができるでしょう。

2-2.法律的に妥当な解決を目指せる

一方配偶者の親族の土地のうえのローン建物については、土地の権利関係は「使用貸借」であるため、出ていくような場面においても、鈴世さんは、なるみさんの父に対する「建物買取請求権」すら有さないことになります。

つまり、なるみさんら、相手方が任意的に建物を引き取らない限り、最終的に申立人である鈴世さんが建物を撤去して土地を返還する必要性が出る可能性もあります。

もっとも、なるみさんは長男もいることから、なるみさんが本件建物に住み続けることを希望する一方、申立人の負債超過により継続的な住宅ローンの支払に期待が持てない場合もあります。

話合いで,法律的に妥当な解決を目指しやすい点も離婚調停のメリットといえるでしょう。

 

2-3.具体的な解決策

この場合は、建物の存続を前提とするならば、夫婦のうち、土地所有者の親族である側、今回でいえばなるみさん側が建物を全面的に取得するのが望ましいと考えられています。通常、土地所有者は建物の敷地利用を認めるからである。

相手方親族が住宅ローンの借り換えができないかを検討することになります。また、鈴世さんがなるみさんに対して、財産分与を原因として、当該建物を分与するということが考えられます。

 

2-4.なるみさんが建物の所有を希望しない場合

当事者双方の意向、夫婦の財産状況、住宅ローンの設定状況からして、なるみさん側が取得を希望しない場合もあります。

つまり、相手方父が土地所有者の場合であっても、相手方が申立人名義の建物の取得を望まないということがあります。

このような場合、建物の名義割合や利用状況次第では、土地所有者による好意による「使用貸借」ができず、建物が存立できない可能性が出てきます。

最悪の場合、土地所有者から建物の名義を有する元配偶者に対して建物収去土地明け渡し請求訴訟が起こされる可能性があります。

また、土地に対する借地権の設定なども検討してみる価値があるかもしれません。

離婚調停を有利に進めたいなら離婚に専門性のある弁護士へ依頼するようお勧めします。

弁護士に依頼すると申し立てや裁判所とのやり取りなどの手間が省けますし、調停委員に的確に主張を伝えられます。相手からの提案に対しても適切な判断ができて、不利益を避けやすくなるでしょう。精神的な安心感も得られます。

 

当事務所では離婚をお考えの方へ向けて、アドバイスや調停の代行など、積極的なサポートを提供しております。離婚にお悩みの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

依頼者様の想いを受け止め、
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問題解決へ導きます。

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