離婚後の財産分与はできますか。
『離婚をすることについては夫婦で合意していますが、財産分与の話がまとまりません。先に離婚をしてしまうと後から財産分与はできなくなってしまいますか』
まず、離婚自体に揉めそうな場合は財産分与は後からでもできます。ですので離婚を先行することもできます。ただし、財産分与は裁判と変わらず個人的に後悔のない財産分与とするには、弁護士関与は欠かせないと思いますし、ひいてはお子様の最善の福祉にもつながると思います。
この点、離婚後も財産分与を請求することができます。ただし、離婚後2年経つと、財産分与の請求を裁判所で行うことができなくなります。これは絶対にできなくなるので注意が必要です。ただし、財産分与をする前に、離婚についての条件を整えてから離婚されるケースの方がメジャーのように多います。
ただし、財産分与自体は、調停や裁判で1年間くらいかかりますので、セカンドライフを早く始めるため、離婚だけ先行して財産分与調停を申し立てるということが考えられます。請求する側には特段不利な要素はありません。請求される側にとっては、不意打ちとなることや予想外の支出を迫られることになります。ですから、請求される側にとっては離婚時に精算をしておきたいところです。
財産分与について
夫婦間で、離婚の際に決めなければならない事項のすべてに話し合いが成立していればよいのですが、実際には財産分与の仕方などで話がつかず、離婚自体ができないケースも多くあります。離婚の条件についてほとんど決まっていなくても、これ以上一緒にいれば身に危険があるなどの理由で、一刻も早く別々になりたいという人もいると思います。
法律上は離婚の日に財産分与について合意が成立していなくても離婚することができ、離婚した後で協議を続けて財産分与を決めることができます。離婚後の協議でもまとまらなければ、離婚の時から二年間は、裁判所に財産分与の請求をすることができます。二年を過ぎたらあきらめるしかありません。
もっとも、財産分与、慰謝料などの条件を有利にするためには、充分な離婚の条件がなければ、離婚しないということも考えられるので、注意が必要です。離婚をすることについては、当事者の考えは同じでも、条件面で対立し、調停などでも長い間対立してまとまらないということはよくあるケースです。
離婚の条件・親権者の定め
協議離婚をするときは、協議により夫婦のどちらか一方を親権者と定めなければならず、離婚届にどちらが親権者になるか記載しなければなりません。財産分与は後回しにできても、親権者については後回しにすることはできません。したがって、未成年の子どもがいるときは、離婚の合意のほか最低限どちらかが親権者になるか定めなければなりません。決まっていなければ、離婚届自体受け付けてもらえません。
- その他の事項について
その他にも離婚の際に決めておく事項について、いつ決める必要が、いつまでに決める必要があるか、主として以下のとおりです。
- 離婚後の氏
離婚の日から三か月以内
- 離婚後の住居
定め無し。ただし、別居開始までが望ましい
- 離婚後の仕事(生計の目途)
定め無し。ただし、離婚前が望ましい
- 財産の清算(財産分与)
裁判所での請求は離婚の時から2年以内。以降は双方の合意・話合いによる。
- 親権者の定め
離婚届提出まで
- 子の養育費の取り決め
定め無し。必要な時に適宜取り決め
- 面接交流の取り決め
定め無し。必要な時に適宜取り決め
- 婚姻中の不法行為への慰謝料の取り決め
不法行為を知った時から3年。但し、不法行為より20年