ポイント方式による退職金の算定例

退職手当の計算方法がポイント方式になっていて、退職一時金部分と退職年金部分が合算されています。財産分与の対象財産となるのはどの部分でしょうか。

 

さて、大企業では、退職金の算定方法が従業員の成果・業績に連動するポイント方式に移行しているのです。基準時(別居時)の累積ポイントの単価(おおむね1万円)をかけて、退職金額を算出することができます。

 

三宅瞬:パパがモトグチに勤務しているから、ポイント制のことを聴いたら「お前は知らなくていい!」っていわれて怒られちゃった。パパも退職金もらうの先だからあんまり興味がないみたいだね。先生は、社会保険労務士の登録もしているし、学校の課題だから教えてください。

 

弁護士:昔は退職金は一括払いが多かったんだけど、最近はすっかり様変わりしました。従来の退職時の基本給を算定の基礎とする方式から、ポイント方式への移行だね。1000人以上の会社では51%がポイント制です。

 

三宅瞬:僕もコンビニでポイント集めるの大好き。飛行機のマイレージにも変えられるんだよ。

 

弁護士:まあ似ているところがあるんだけど、退職金のポイント制は、大きな流れとしては、退職金を減らしたり企業の責任を減らすことが目的なんだ。

 

三宅瞬:そうなの?じゃあ、あんまりお得じゃないね。

 

弁護士:退職金の一時払いでは、企業が資金繰りに窮することが多くて、退職金の支払い方法を分割払いを併用し、かつ、企業内積立ではなく企業外の積立制度にするということが主流になったんだ。つまり、退職金は、自分のところでは管理しないということだね。

 

三宅瞬:パパに調べてきてもらったんだけど、ママに見せないって約束で(笑)。

 モトグチでは、退職金は退職一時金と退職金の一部を年金化した二本立てにしているよ。

弁護士:本当だね。会社の給与規定に定められている退職手当は、退職一時金と退職年金を合計したものになっているね。パパの会社では年金部分は確定給付企業年金を採用しているからもらえる額も決まっていることになるね。老齢給付の受給権もあるから、一時払いを求めることができる内容だね。

 

三宅瞬:パパの会社だと勤続20年以上の退職者が55歳未満で退職した場合には、脱退一時金の受給権がありますね。

 

弁護士:ポイント制は、今までの年功序列ではなくて成果主義を取り入れることで、退職金の総額を減らすことも最初は目的としていたんだ。今は景気がよくなって忘れられちゃったけどね。だから管理職について退職金の算定はポイント方式を採用しているね。

 

三宅瞬:パパの給与明細にもポイントが書いてあったよ。

 

弁護士:能力給だからポイントに種類があるんだよ。そして基準時の累積ポイントに1万円を乗じた金額のうち、同居期間に相当する部分が財産分与の対象額になります。

 

三宅瞬:パパの会社では、一般職に対する退職金の算定はポイント方式を採用していないね。一方で一般職の社員も確定拠出年金の対象者になり、退職金は退職時の一時金と確定給付企業年金による年金支払いの二本立てになっているね。退職金の60%に相当する金額が年金による分割払いになるんだ。

 

弁護士:瞬のパパは課長さんだから管理職だからポイント制の対象なんだね。

 

三宅瞬:そうなんだ。よくわからないけど、ママに教えてあげよ。

 

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