親権をとるために子どもの養育環境としてはどうするべきですか
名古屋の離婚弁護士のコラムです。
子どもが健全に発達するためには、生活基盤が確保されていること、精神的に安定して生活が送れる環境が必要である。
一般的には、養育能力、心身の健康・性格、子に対する愛情・熱意、監護の実績、経済力、居住条件・居住環境、監護補助者その他の援助態勢の有無などを整備しておくとよいと思います。
やはり頼りになるのは親ということになりそうですが、監護補助者として両親がご健在の方が有利であることは明らかです。
監護補助者の重要性を指摘している裁判例もあります。広島家庭裁判所呉支部平成18年11月8日審判です。
それによると、今後の未成年者らの人的な養育環境を考えると、母親は当面はひとりで現在の住居において、未成年者を養育し、いざというときは友人の援助も期待している・・・一人で未成年者らの監護を全うするのは現実的に困難という外なく、友人の援助なるものも具体的に乏しくこれを安易に期待することはできない。
たしかに法律相談をしていると、「友人ではダメですか」と尋ねられることがありますが、いわゆるママ友など、保育園の送迎程度の補助を受けることはできるとしても、友人の場合は自分の生活を犠牲にしてまで、お母さんのために働こうという利他の精神を持っている人はいないというのが、裁判所の考え方です。
そこで実家の父母は登場しますが、やはり両方いる方が好ましいと言わざるを得ません。しかし、両親との葛藤があって、現実には同居できないケースも散見されます。
裁判所でも、母親は、転居して実家の母を監護補助者として、その援助を受けることをも期待しているが、これまでの経緯にかんがみると、その現実的な可能性には疑問を差し挟まざるを得ないし、その具体的な態様も明らかではない。これに対して、相手方に関しては、現在の人的な養育環境に大きな変化のないまま安定的に推移するであろうことが期待される、とされています。
法律相談でも、一人暮らしの女性が、友人たちが助けてくれる、ということを述べられたことがあります。たしかに助けてくれることもあるでしょう。しかし、友人たちは、自分が結婚したり出産したりした場合は、ナンバーワンの優先順位で援助してくれるということはありません。ここが血縁関係があり、優先度高く援助してくれる父母や兄弟姉妹との違いといえるかもしれません。
現実としては、監護者としての適格性として監護補助者がみられる面がありますが、やはり同居しておくと、監護者や親権の指定で有利といえます。