パートナーによる異性の家の出入りは不貞行為になる?認められるケースや慰謝料請求についても解説

パートナーによる異性の家の出入りは不貞行為になる?認められるケースや慰謝料請求についても解説

パートナーが異性の家に出入りしていたとしたら、その行為が不貞行為として認められるかが気になるところでしょう。結論的には、夜間であるか、時間帯、滞在時間などにもよりますが、裁判所としては不貞行為があったという認定になりやすいのではないか、と思われます。

今回は異性の家への出入りが不貞行為として認められる可能性があるケースや、不貞行為として認められた場合の慰謝料請求についても解説します。

 

h2:家の出入りをしただけでは不貞行為にならない?

h2:そもそも不貞行為とは?

h2:家の出入りが不貞行為と認められるケース

h3:複数回にわたり家の出入りがあるケース

h3:長期間に及ぶ滞在や宿泊を伴うケース

h3:家の出入りの他に親密な関係があるケース

h2:不貞行為と認められるためにするべきこと

h3:家の出入りをしている日時を詳細に記録する

h3:家の出入りが分かる写真や動画を撮影する

h3:親密さが分かる証拠を集める

h2:異性とホテルに宿泊した場合も証拠集めが重要

h3:出入りしているホテルがラブホテルのケース

h3:ホテルで同じ部屋に泊まったケース

h2:家の出入りだけでは慰謝料請求できない

h2:パートナーの行動に疑惑を持ったらすぐに弁護士に相談を

h2:家の出入りをしただけでは不貞行為にならない?

結論としては、訪問先の相手が異性であっても家に出入りした事実がある場合は、入った場面と出てくる場面が押さえられていれば、裁判所においては、不貞行為であると推認が及ぶ可能性はあるでしょう。ところで、男女がふたりきりで同室におり、トランプをしていたとか、政策談義をしていたとか、言い訳をする政治家もいましたが、こうした言い分は裁判所では通る見込みはありません。

この点、異性の自宅に、「何らかの用事があったため、家に出入りしただけ」の可能性があるとの言い訳も考えられます。しかし、実際のところは、余程、合理的な「何らかの用事」を示すことが困難であることが多いと思います。例えば、洗濯やご飯を作っていてあげたという抗弁が出されることもありますが、なぜ赤の他人の洗濯やご飯を作るのか、社会的儀礼の範囲では考え難いと評価されることも少なくないのではないでしょうか。

二人きりではなく、他に家族がいたり、複数名であったりしない限り、不貞行為であると推認が及ぶ可能性は否定できないでしょう。この点は、世間の事実認定と裁判所の事実認定が異なるところですので、訴えられたときのために、不用意に男女二人きりで同室にならないようにしましょう。

では、①仕事上の所用のため顧客の家に行くことや、②日頃世話になっていることへのお礼を伝えるため知人の家に行く場合はどうなるのでしょう。しかし、不倫というのは、仕事上の関係で不倫関係に陥ることも多いので、誤解を招かないようにする必要があるでしょう。例えば、普通は、顧客の家に行く場合、玄関先までしか上がらない、廊下の応接セットまでしか通さないなどの社会的儀礼に基づく配慮が必要です。

特に夜間の立ち入りは、仕事の上司に報告したうえで、録音をしておく、ドアをしめて閉じ込められたといわせない、絶対に宿泊しないなど、特に注意が必要です。

少なくとも、日本の裁判所では、「性交渉」をしていたことの直接の立証をすることは無理であると考えているので、同一の室内に立ち入ったなどの事実を重要な事実として重視しています。確かに性交渉をしている場面を証拠提出したら盗撮になってしまいますね。

この観点からみると、①仕事上の所用のため顧客の家に行くことはあるかもしれませんが、実際はそれほど多くありません。それは、ビジネスアワーであるとか、所用であったとしても社会通念上二人きりになることは避けることも少なくないと考えられます。

また、②日頃お世話になっている方へのお礼のため訪問をすることがあるかというと、わざわざそのことだけで、訪問をすることはかえって少ないのではないでしょうか。また、訪問の時間帯が夜の場合は、そのような時間にお礼をいうために報告するとは考え難いとなるでしょう。

さまざまな事情で異性の家に訪問することは、社会常識としてあり得ないことではありませんが、裁判所は、成人男女が「同室に長時間いた」という事実から不貞を認定することはよくあります。

この場合、「離婚相談に乗っていた」「就職相談に乗っていた」「通信制ゲームをしていた」などの抗弁が出ることがありますが、いずれも説得的ではありません。

ですから、そのような認定を受けることのないように、①玄関先で用事を済ませる、②長居をしない、③友人や同僚と複数でいく、④異性の家族がいる場合、立会いをお願いする、⑤録音して性交渉がないことを証明する、⑥会社に帰宅の時間を伝え、時間をオーバーしている場合は電話をかけてもらうように依頼するなどの手法が有効といえるでしょう。

一方で、パートナーが異性の家に出入りしていた場合、特に宿泊をした場合は、裁判所が不貞行為があったと認定してもおかしくないでしょう。たしかに、法的な解釈として不貞行為は肉体関係が中心と考えられているのですが、実際、性行為非公然の原則から、被害者が、加害者らの性交渉の存在を立証することは極めて困難といえます。特に、直接性交渉を撮影したビデオは、違法収集証拠の観点から証拠として提出できるか疑問です。

したがって、実際は、男女が同室にいたかどうか、といった点が「肉体関係を持った事実」があるかどうかを推認させる重要な事実なのです。もっといえば、裁判所の立場からは、それ以上の事実解明は野暮と考えているのです。

 

また、現実に不貞行為が存在していたとしても、その証拠や疑わしい行動を証明できなければ、裁判所に不貞行為があると認めてもらうことは難しいという人もいます。しかし、現実には、探偵証拠がなくても、LINE証拠、ホテルの宿泊履歴などから判明する場合もあります。

裁判では、証拠がないからといって虚偽の答弁をすることはできません。弁護士を利用して、示談をする場合、当事者は、弁護士の道徳も守る必要があります。また、証拠がないからといって、仮に虚偽の答弁をしていても、証人尋問では嘘をつくことができませんので、現実に不貞行為が存在している場合については、「証拠がないはずだ」と居丈高に振舞うことはおすすめできません。

裁判所から嘘つきと認定された場合は、多額の賠償を命じられる恐れもあります。訴訟も見据えて、弁護士して市民社会の一員として許されない駆け引きをしていないかを見つめて、相談すると良いでしょう。

h2:そもそも不貞行為とは?

ここでは、そもそも不貞行為とはどのようなものであるかを解説します。

 

不貞行為とは、分かりやすくいえば、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことです。民法709条の不法行為の加害行為になるのみならず、民法の770条1項1号に定められている離婚事由のひとつです。夫婦はこの法律によって貞操義務を負うため、パートナー以外と肉体関係を持つことは法律に違反し、不貞行為として認められます。

自らは離婚を求めているにもかかわらずパートナーが離婚に同意しなかったとしても、パートナーに不貞行為の事実があれば、離婚理由になっていますので、調停や裁判を経て離婚が認められるのです。

 

また、たとえ肉体関係の事実がなかったとしても、肉体関係に準ずる行為(性的類似行為や裸で抱き合うなどの行為)があった場合は、不貞行為として認められることがあります。

h2:家の出入りが不貞行為と認められるケース

前述のように、たとえ異性の家であったとしても、単に家の出入りをしただけでは不貞行為として認められることが多いように思いますが、合理的理由がある場合は、認められない場合もあるでしょう。繰り返しになりますが、成人男女が同室で二人きりになった場合は、不貞行為があったと推認されても仕方ありません。

ここでは、肉体関係を持った確実な証拠がなくても、不貞行為として認められる可能性があるケースを紹介します。ただし、実際のケースではさまざまな状況や証拠を積み重ね、総合的に判断するため必ず認められるものではありません。

パートナーの行動に疑いがあれば、早めに弁護士に相談する方がよいでしょう。

h3:複数回にわたり家の出入りがあるケース

複数回にわたり異性の家に出入りしている場合、パートナーの不貞行為を疑うのが自然であり、合理的であるといえるでしょう。社会通念と照らし合わせると、既婚者が頻繁に異性の家へ通っている事実は不貞を総合的に推認させる一事情となると考えるのが一般的でしょう。

 

一定の期間において、パートナーが何度も異性の家に出入りしている事実があれば、不貞行為におよんでいる可能性があると考えられます。また、基本的に1日であっても宿泊した場合は不貞行為があるものと認定されます。

h3:長期間に及ぶ滞在や宿泊を伴うケース

一般的に、異性の家に長時間滞在したり、宿泊したりしたことが確認されたケースでは、「不貞行為を行っていると推認される可能性が高まるでしょう。性交渉時間は、2~3時間で行うことも十分可能であることから、宿泊しなければ、不貞と推認を受けないと軽信することもよくありません。

可能性があるのではないか」と推定できます。

そもそも、①挨拶や②お礼という弁明自体が不自然であることが少なくありません。特に、異性の自宅には、簡単には上がらず、カフェや玄関先で済ませたり、お礼はカフェや電話で済ませたりすることができます。

本当に、①挨拶、②お礼という弁明自体が不自然なこともあるでしょう、

それくらい異性の自宅を訪問することは慎重にして、トラブルにならないように、録音機を回したり、ドアを開けて置いたりして、密室性を緩和しておくなどの自衛策をとるべきでしょう。

数分から長くても1時間から2時間程度の滞在が妥当と考えられます。しかし、夜間などは短時間であっても不相当です。普通の人は訪問しない特に夜の時間は異性の家に数時間以上の長時間滞在することは考えられません。したがって、裁判所としても、肉体関係を持った可能性があると推定できるでしょう。

 

さらに、既婚者が異性の家に宿泊することは通常考えられず、肉体関係を持った可能性がより高いと推定できます。

h3:家の出入りの他に親密な関係があるケース

家の出入りの事実しか把握していない場合、他の証拠を積み重ねることで、不貞行為として認められる可能性がより高くなると考えられます。

例えば、パートナーが日頃から相手と親密なメッセージをやりとりしていたり、2人だけで写っていたりする写真があるなどのケースです。特に京都旅行など遠方に旅行に行っている場合は、不貞があるという認定を受けやすいといえるでしょう。

 

この点、異性と食事にいったり、LINEを交換したりするだけで、不貞の決定的な証拠になるわけではありません。しかし、2人だけで頻繁に出かけている事実や、手をつないでいたりした事実、車の中でキスをしたりするなどの行為があれば、親密交際と認められ、不貞行為が認定されなくても損害賠償義務が認められる可能性があります。

h2:不貞行為と認められるためにするべきこと

あなたのパートナーが異性の家に出入りしており、不貞行為が疑われる場合には不貞行為と認定されるための正しい行動を取りましょう。間違っても感情に任せて、自らの考えのみで行動してはいけません。

あなたの行動を不安に思ったパートナーが、不貞の証拠を隠滅したり相手と口裏を合わせたりするなど、証拠隠滅の危険性が考えられます。

 

不貞行為の証拠集めは、専門的な知識を持つ弁護士へ相談の上で行う方がよいでしょう。

h3:家の出入りをしている日時を詳細に記録する

パートナーが異性の家を出入りした頻度は、とても重要な証拠です。

出入りの回数が多い場合、一般的な要件であるとは考えにくいため、回数が多いほど不貞行為として認められる可能性が高いと考えられます。

 

パートナーが複数回にわたり異性の家への出入りをしている場合には、把握し得るすべての出入りを詳細に記録しておきましょう。写真を撮っておくとさらに良いでしょう。

 

さらに、滞在時間の長さについても重要で有効な証拠になり得ます。滞在時間を正確に把握するため、相手の家に入った時間と出た時間を可能な限り詳細に記録しましょう。乗ってきた自動車の写メを保存しておくなども考えられます。

h3:家の出入りが分かる写真や動画を撮影する

家の出入りの頻度や滞在時間の記録をさらに信憑性の高い証拠にできれば、不貞行為として認められる可能性がさらに高くなるでしょう。そのための1つの手段として、パートナーが異性の家へ出入りをしている際の写真や動画を撮影する方法があります。

 

家の出入りをしている姿がはっきりと写っていれば、信憑性の高い有効な証拠となるでしょう。

ところで、加害者であるAさんであると断定できないのに、Aさんと断定するのは止めましょう。

撮影の際に注意しておきたいのは、写真や動画の撮影日時を記録することです。カメラの設定を確認し、日時が記録されるよう準備します。

設定が分からない場合は、撮影のたびごとに撮影場所と時間をメモして保存しましょう。

h3:親密さが分かる証拠を集める

家の出入りは記録できますが、それだけでは直接的な証拠とはならないかもしれません。

この場合は間接的な証拠を積み重ねることで、パートナーの不貞行為が認められる確率を上げます。前述したような証拠以外にも、パートナーが相手と外出した記録や、クレジットカードの明細などの情報があれば保存しておきましょう。

 

ただし、情報の収集方法には十分に注意をしてください。たとえ配偶者であっても、別居後に、パートナーのスマートフォンや会員サイトを勝手に覗き見ることはプライバシーないし不正アクセスとなり得るため、前もって弁護士に相談しアドバイスを受けましょう。

h2:異性とホテルに宿泊した場合も証拠集めが重要

不倫の場合、家ではなくホテルで密会をするケースが多く存在します。しかし、異性とホテルに宿泊した場合でも、すぐに不貞行為と認定されるのでしょうか。

 

h3:出入りしているホテルがラブホテルのケース

一般的には、ラブホテルは肉体関係を持つことを目的として利用する場所であると認識されています。つまり、ラブホテルを利用した場合は肉体関係があると推定できるのです。

そのため、パートナーが異性とラブホテルに出入りしている様子を収めた写真や動画があれば、非常に強力な証拠となり得ます。強い証拠があれば、パートナーは言い逃れが難しく、肉体関係を認める可能性が高いでしょう。

 

また、依然として不貞行為を認めない場合でも、強い証拠があれば裁判で第三者にから不貞行為として認定される可能性が高いといえます。

 

なお、ラブホテルは最近は、飲食店が少ない地区では、アミューズメント施設として利用されている実態がありますが、そうであるとしても、裁判官の常識的な認定では不貞があったとされることになるでしょう。

h3:ホテルで同じ部屋に泊まったケース

同じホテルに泊まっただけでは、有効な証拠として認められません。

その理由は、例えば仕事上の同僚と出張先で同じホテルに宿泊することは、非常に一般的だと考えられているためです。しかし、同じ部屋に泊まった事実があれば、とても有効な証拠になります。

また、相手と別々にホテルに出入りした場合でも、さまざまな証拠を積み上げた中の1つとして効力を発揮することもあり得るでしょう。

 

1つ1つは有効な証拠といえない場合でも、関連する複数の証拠を組み合わせることによって非常に有力な証拠になるのです。

h2:家の出入りだけでは慰謝料請求できない

パートナーが単に異性の家へ出入りしただけでは法律上の不貞行為とは直ちに断定はできませんが、その可能性は高いといえるでしょう。

 

客観的な証拠を積み重ねて不貞行為と認定される例もあります。

 

またはパートナー本人に不貞行為を認めさせられれば、民法709条に定められている「不法行為に基づく損害賠償請求権」を行使できる可能性もあります。不倫による慰謝料請求のケースでは、請求額はおよそ50万円から多くても200万円程度が相場です。

 

また、慰謝料の請求先については、離婚をする場合としない場合で異なります。

離婚をしない場合は、相手にのみ請求します。パートナーへ慰謝料請求をしても同一生計内でお金が移動するだけのため、通常は行いません。

 

離婚をする場合は、一般的にパートナーと相手方双方に慰謝料を請求します。

h2:パートナーの行動に疑惑を持ったらすぐに弁護士に相談を

パートナーの行動に疑いを持っているにもかかわらず不貞行為の事実が掴めない場合、個人での解決や解決は難易度が高いといえます。特に探偵が職場に連絡をしていると脅迫している場合なども散見されますが、これは告訴されれば恐喝罪に該当する恐れがあります。弁護士を通して、紳士的に請求をしましょう。なお、探偵が弁護士のように交渉をすることは、弁護士法で禁止されており、違法行為です。探偵にそのような依頼をしないようにしましょう。

 

パートナーの行動に疑いを持ったら、すぐに弁護士に相談しましょう。将来の離婚や慰謝料請求に向けて、第三者に提出するための証拠を集める段階でも、弁護士はあなたに寄り添って専門的なアドバイスを行います。悩むよりも、弁護士への無料相談をご検討ください。

 

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