離婚と子どもの氏(姓)について
離婚と子どもの氏(姓)、学校について
誤解をされている方が多いのが「子どもの氏」についてです。お母さんが親権者となり離婚が成立したとしても、自動的に「子どもの氏」に変更は生じません。 例えば、神田さん夫婦が離婚した場合、お母さんが婚姻前の氏である「蒲池さん」に戻ってしまうと、子どもの苗字とお母さんの苗字は違うということになります。また、とても分かりにくい話なのですが、神田さん夫婦が離婚した場合、お父さんの方を「神田さんA」とします。みなさんもご存知のとおりお母さんが続称の届けを出すことによって、結婚していたときの苗字である「神田さん」を名乗ることができます。ただし、これは法律上「神田さんB」になるのです。 従って、親権者になるだけでは、苗字が法律上違う状態ということになります。
離婚で氏(姓)を変更するには
そこで氏の変更の申立を行うことになります。申立が許可されますと、お子さんは「蒲池さん」か「神田さんB」になりますのでお母さんとも苗字は一緒ということになります。 この手続は比較的簡単なので離婚成立後、本人の申立で行っていただくことが多いです。お子さまが15歳以下の場合についてはお母さんが法定代理人として申請することになります。申立に対しては収入印紙800円、郵便切手80円×10枚、子どもの戸籍謄本、子どもが入る予定の新しい親の戸籍謄本、子どもが出頭する場合は身分証明書を持って行くことになります。 名古屋家裁の運用であれば即日審判で即日に審判書の交付を受けられます。弁護士に依頼すると子どもに対して意向照会が行きますので時間がかかるため手続はご本人の方が早いかと思います。ですから早朝に申し立ててお昼を挟んでもらうということが一般的です。ですから、申立の際は午前中に申請を行うようにしましょう。 そして、審判書を持って役所に入籍届を出すことになります。既にお母さんの戸籍ができていますから、その戸籍に入るので「入籍」といいます。届出地は、入籍する者の本籍地、所在地(主には住所地が無難)の役所に提出します。 早く戸籍が欲しい場合は本籍地、早く住民票が欲しい場合は住所地に提出すると、役所内での回付の手続が長くかからないので良いといえます。本籍地と住民票の所在地が離れている場合は1週間程度反映に時間がかかることがあります。
名字が変わる時は慎重に
なお、お母さんの苗字に名前が変わることは思春期のお子さんにとっては、情操を傷付けることがあります。小学校卒業、中学校卒業、高校卒業などのタイミングで、友人関係作りに支障が出ないように配慮が必要なこともあるかもしれません。お母さんが夫の氏を名乗り続ける婚氏続称を希望する理由としては、学校に通っている間は、苗字を変えたくないと子どもにいわれたからということもあります。親権者となられた方はお子さんの情操を傷付けないように、子どもの立場にたってきちんと説明をしてあげる必要があるでしょう。