偽装離婚って有効なの?-内縁に戻る権利の保障

●事業に失敗した多額の借金から配偶者を守るために、妻と協議して便宜上協議離婚届けを出しました。しかし、借金を整理したので復縁しようとしたところ妻がそれを拒否した場合、夫は離婚の無効を主張して婚姻関係を復活させられるでしょうか。実際には児童扶養手当の受給の問題などからこのようなことになることが多いように思われます。偽装結婚は困難ですが、偽装離婚は判例上承認されています。 双方の意思で離婚届けを提出した以上、離婚は有効であり、離婚無効を主張して婚姻関係を復活させるのは難しいです。妻が任意に再婚に応じない限り、復縁は難しいと思われます。このように考えるのは、離婚は届出意思が中心に把握されていますので、実質的な離婚意思は婚姻と異なる不要と解する見解も有力だからだと思われますが、最高裁の立場が明確というほど明確ではありません。  (1)離婚の意思     協議離婚が有効となるには、離婚当事者に離婚の意思が必要です。協議離婚は離婚届が戸籍役場で受理された時に成立するのですから、離婚の意思も届出の時に存在することが必要です。その為、届け出の際に離婚の意思の無い偽装離婚は無効とされます。この点、この「離婚の意思」とは何をいうのかについて学説がわかれます。あくまで届出意思は必要です。     実質的意施設では、離婚の意思とは「実質的に離婚をする意思」であり、届出の際にこのような意思の無い離婚は無効であるとします。     他方、形式的意思説では、離婚の意思とは「離婚の届出をする意思」であるから、届出の際に届出の意思さえあれば、それが便宜上のものであっても有効とします。     判例は、一般的に、形式的意思説をとっているものと理解されています。もっとも、異論反論もあるところであり、個別具体的事情によって事実認定も伴い判断しているのが実際ではないでしょうか。わたくしも形式的意思説が不当であるという論証をしたこともありますが、やはり、離婚届けの作成経過が強迫である、といった事実認定の方が重要のように思われます。  (2)裁判で離婚意思があると認められたのは、     ① 強制執行を免れるために、債務整理の解決までということで協議離婚をした事案     ② 債権者の追及を免れ、家産を維持するための方便として協議離婚をした事案     ③ 戸主権(旧民法)を妻から夫に移すための方便として協議離婚をした事案     ④ 生活保護費の支給を受ける手段として協議離婚をした事案     などです。     いずれの事案でも「法律上の婚姻関係を解消する意思」をもって離婚意思と捉えたうえで、離婚の届出がそのような意思の合致に基づいてされたものである以上、離婚を無効とすることはできない旨判示しています。この点、養子縁組の方便でも有効とした最高裁との整合性も注目されるところと思われます。     なお、②の事案では、「離婚の届出をする意思を有していた以上、真に法律上の婚姻関係を解消する意思を有し」ていたものとの認定がなされています。これをみると、必ずしも形式的意思説になっているとも限りません。  (3)離婚が無効とされた具体例     離婚意思がないと判断された例としては、次のようなものがあります。     ① 離婚届への署名を拒否した妻に対し、夫が茶碗等を手あたり次第投げつけるなどの乱暴な振る舞いをしたので、妻がその場を収拾するためにやむなく離婚届に署名・押印したところ、夫がそれを役場に提出し、受理されていまったという事案。      裁判所は、協議離婚届の作成・届出当時妻には離婚の意思は全くなく、離婚届けの署名も険悪な事態を収拾するための方便としてなされたものにすぎず、一方、夫も妻の意思を知悉していたのであるから、夫婦間に協議離婚の合意が成立したものとは認められず、離婚は無効である旨判示しています。     ② 妻が離婚に同意せず「そんなもの自分で書けばいいじゃないの」と口走って離婚届の署名押印を拒んだところ、夫が他人に妻の氏名を代署させ、代署の離婚届が受理された事案。      妻が夫との離婚に同意したものでないことが明らかであり、離婚意思を欠き無効とされました。     ③ 夫が、離婚届作成時点では一旦離婚を承諾して署名押印したが、その後まもなく市職員に対し離婚届が出された場合には止めるよう依頼し、妻が作成から約6カ月後に離婚届を提出したことを知った後すぐ裁判所等に相談に行くなどした事案。      届出時点での夫の離婚意思の存在が推認されないとして離婚は無効とされました。 離婚無効が争われるケースは親権問題もからみ少なくなく、少なからず参考になるものと思われます。

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