財産分与

名古屋ヒラソル離婚法8ー財産分与

1 財産分与とは、離婚する際に、夫婦が婚姻生活の中で協力して築き上げた財産を公平に分配することをいいます。

  弁護士:基本的には、離婚をする前に取り決めることになります。

  シュシュ:離婚後でも請求することはできるんだよね。

  弁護士:はい。除斥期間として、原則2年間がありますので、注意が必要です。

      財産分与の対象財産は調停で対象になるものは、以下のものがあるよ。

       ・不動産

       ・預貯金

       ・有価証券

       ・保険

       ・自動車

       ・退職金

 2 財産分与の対象にならない財産

  シュシュ:結婚前に蓄えた預貯金や結婚前に相続や贈与により得た財産、結婚中に相続や贈与により取得した財産は特有財産となり、財産分与の対象になりません。わかりやすく言うと、結婚期間中に増加した財産を半分に分けるというイメージだね。

  弁護士:特有財産性の証明は困難が伴いますが、あきらめず離婚弁護士に依頼して、その有無を調べて対象財産から除外する必要性があります。

  シュシュ:例えば、夫名義の財産が、金3000万円、妻名義の財産が、金1000万円あった場合、単純な合計は4000万円になります。この事例で夫が父の相続で500万円をもらっているとしましょう。この500万円は婚姻関係とは無関係に形成された特有財産となります。したがって、証明ができれば対象財産から除外することができます。この場合は、3500万円が夫婦共同財産となるということになります。

  でもさ、特有財産っていろいろあるよね。

  弁護士:うん。具体的には、以下のようなものだね。

      ・独身時代に貯めた預貯金、有価証券

      ・ただし、名義が自分のものであり、独身時代のものかどうか明確に区別できることがメルクマールになります。

      ・嫁入り道具、結婚前に購入した家具や家電製品

      ・結婚後に相続や生前贈与などで得たお金、不動産、お金

3 財産分与の2分の1ルール

 不動産や預貯金などは、登記名義などが自分のものとなっていると、自分のものと思いがちです。特に、DINKS(ダブルインカムノーキッズ)などではこういう意識が強いように感じています。しかし、どちらの名義だけで判断してしまうと、分与の割合が一方に偏ってしまうことが多くなります。そこで、基本的には、分与の割合は夫婦それぞれが2分の1ずつ後見したという2分の1ルールを採用しています。

  例えば、夫名義の財産が、金3000万円、妻名義の財産が、金1000万円あった場合、単純な合計は4000万円になります。この事例で夫が父の相続で500万円をもらっているとしましょう。この500万円は婚姻関係とは無関係に形成された特有財産となります。したがって、証明ができれば対象財産から除外することができます。この場合は、3500万円が夫婦共同財産となるので、離婚に際しては妻は、夫に対して1750万円の財産分与を請求できることになるね。

4 分与の方法

  上記のように、1750万円を分与する場合、どのようにして分与すべきでしょうか。遺産分割協議と非常に似てくる論点です。一例を挙げればすべてがキャッシュならば、夫は妻に対して、1750万円を渡せば良いということになります。しかし、現実にこれだけのキャッシュを一括で支払える人はなかなかいません。

  多くの事案では、いろいろ論点はありますが、不動産との関係が問題になりやすいといえます。例えば、1500万円の不動産があり、それを妻が取得する場合、夫が妻に支払うべきキャッシュは残り150万円というように分けることになります。

5 離婚前に別居している場合

  離婚が成立する前に、既に別居しているというケースもあります。例えば、夫が自宅を出てマンションを借りるといった事案です。別居期間が例えば平成23年ということのように長くなりますと、その間に、夫婦の財産に増減が生じます。この場合、いつの時点を基準として財産分与を確定すべきかという問題があります。基本的には、各裁判体の裁量にゆだねられていますが、家裁実務は、通常は別居時と理解しています。

6 別居時以降の浪費

 シュシュ:別居時に300万円あった夫名義の預貯金を夫が浪費し、現在100万円しか残っていない場合は、別居時基準説だと300万円で分割することになるから、妻は夫に150万円請求できるのかな。

 弁護士:そうだね。裁判体の考え方によっては、離婚時と考える見解もありますが、シュシュのいうとおりということになりそうだね。ただ、現実問題として浪費されてしまった財産について、分けるのは難しいことから、離婚時の財産を明らかにするよう求めて、個々の事案に対応する裁判官もいます。神戸家裁部総括判事の永井尚子さんなどは、そういう考え方のようです。

7 財産分与の割合は常に2分の1か

 シュシュ:最近は、男子フィギアスケートが人気だけど、例えばスポーツ選手とか、会社経営者で個人の特殊な能力や努力によって高額の資産形成がなされた場合でも、2分の1なのかな、と思ってしまいます。例えば、男子フィギアだとコーチや宇野昌磨選手だと弟の樹さんのサポートなども有名だよね。形式的に2分の1ルールを適用すると、かえって公平性を欠くような気がします。

 弁護士:そもそも、財産分与は夫婦が結婚中に協力して、形成・維持してきた共同財産を夫婦の貢献度に応じて分けるというものです。ですから、2分の1というのは「推定」にすぎないので、証明があれば打ち破られるものです。特に宇野昌磨くんのケースをみると、彼がフィギアスケートで得た賞金などは、もともと彼が幼稚園のころから努力したり、両親の経済的サポートがあっての立場なので、夫婦が婚姻中に協力して直ちにフィギアの選手になれたというわけではないのですよね。もっとも、こういうスポーツ選手の例のようなケースは過度の一般化はできませんが、実際の裁判例では医師などに適用されるケースが多いように思います。

 シュシュ:お医者さんも、医学部に通うのに、おカネが必要で、別に結婚中の協力で医師になったわけではないという論理だよね。

 弁護士:そうだよね。裁判所の判断は、夫が多額の資産を有するに至ったのは、妻の協力もさることながら、夫の意思ないし病院経営者としての手腕・能力によるところが大きいと認定しています。この場合は2分の1ではなく5分の1とされています。ただ、この時代はまだ医師の人数も少なかったので、こういう判断だと思いますが、今後は、婚姻期間中の手腕・能力というよりも、その職業に就いて資産形成したサンクコストを考慮するという方向性になるのではないかな、と思います。

8 住宅ローンがある場合

  住宅ローンが残っている場合、財産分与は複雑になりますが、なるべく弁護士をつけて、調停での解決を目指すのが望ましいと思います。

 シュシュ:不動産の評価は難しいよね。流動的というか、相手方が自分に有利な査定を時価として算定することもあるの。

 弁護士:それはありますね。露骨な法律事務所の場合だと不動産業者と通謀して任意売却案件を振る代わりに、依頼者の言い値に沿った希望額を提示しているケースもありますね。例えば、妻が自宅の取得を希望しない場合は、妻は査定が高いか、低いかどちらが得をするかな。

 シュシュ:高い場合。だって、自分は不動産を取得しないのだから、自宅の価値を釣り上げた方が、多くの財産を夫が取得したことになるので、実質的に妻が得をするよね。反対に査定を低くすれば、夫は、不動産を得ても取得している財産が多いとはいえないから、実質的に、まだ取得できる財産がある、ということになりそうだよね。

 そうなると、適正な査定であるかがポイントになるので、弁護士さんに依頼するメリットにもなるね。

9 夫が自宅を取得する場合

 シュシュ:夫が自宅を取得する場合はどんな場合なの。

 弁護士:日本の場合、女性の所得が高くないので、住宅ローンが終わっている場合は女性、そうでない場合は男性がいったん取得するケースが多いような気がします。

 シュシュ:夫が不動産を取得する場合、ローンを通算してプラスがあればそれを妻に半分分与することになるんだよね。反対にオーバーローンの場合はどうなるのかな。

 弁護士:オーバーローンの場合は、妻の財産分与請求権が法律上発生しません。このことを知らない弁護士も多いので専門性のある弁護士に依頼した方がいいですね。三重の弁護士でそういう人がいて、裁判官からあきれられていましたね。

 シュシュ:男性だとインカムもあるだろうし、ローンの支払いも困らないことが多いかな。

 弁護士:ただ、30代くらいの夫婦の離婚はほとんどがオーバーローンで、40代くらいでトントンな状態が多いかな。日本では、莫大な住宅ローンを組んで自宅を購入するケースが多いんだ。日本では、自宅を持つことは投資と考えられていた時期の名残があるんだね。

 シュシュ:現実には、投資といっても、不動産価値の上昇がみられず、建物の経年劣化が進むので急激に価値が減少することが多いんだよね。

10 妻が自宅を取得する場合

 シュシュ:フランスでは女性も働いているのが普通だので、あまり、日本ほど多くの問題ではないと思いますけど、離婚後の残ローンは妻が支払うことになることになりますが、現実的に難しそうですよね。

 弁護士:日本では共働きや女性のクレジットで住宅ローンを組むことが少ないので、金融機関は、あくまで夫のクレジットで住宅ローンを組んだ、と主張することが多く、名義書き換えに協力してくれないことが多いんです。

 シュシュ:その場合、銀行に対する返済義務者、つまりクレジットは夫のままにしておき、妻が夫に毎月の住宅ローンを支払うなどの約束をしてその所有権を分与することも考えられるけど、日本の女性はインカムが少ないケースが少ないから嫌がる男性が多いだろうね。

 弁護士:そのとおりで、日本では、妻の多くは専業主婦やパートタイマーで年収100万円程度です。このような現状からすると、不動産の時価が残ローンを上回る場合に、妻が評価額の半分を支払うことが無理なケースもあります。また、住宅ローンで債務不履行を起こして離婚した夫のクレジットに傷がつくということも予想されます。こういう場合は、相互の信頼に基づき弁護士を入れて話し合っていく必要があるのです。考えられるのが、夫側に負担を大きくしてもらうとか、夫が自宅を取得し一定期間賃貸借ないし使用貸借するなどです。

11 売却の場合

 シュシュ:売却の場合はあっさりしているよね。入ってきたキャッシュでローンを返して残りをイーブンにすればいいのだから。

 弁護士:問題なのは、そもそも売却できるかということです。離婚では、オーバーローンも多いので、自宅を売却する場合、第一抵当権者であるメインバンクの承諾が必要になります。この場合、メインバンクは強制競売でも債権回収が可能な場合、あまり任意売却に積極的にはなりません。オーバーローンの物件については、銀行との交渉が必要で弁護士を挟む必要性が出てくるのです。

 シュシュ:不動産登記にも注意すべき点があるんだよね。

 弁護士:うん。不動産名義については、基本的には住宅ローンを完済しないと所有権を移転できないという内容の条項がある場合が多いんです。ですから、住宅ローン完済時に登記名義を変更できる条項にしておく必要があるね。

お金に関するお悩み