面会交流の調査官調査はどんなことが聴かれますか。
名古屋の離婚弁護士のコラムです。
さて、面会交流の調査官調査ですが、やはり一般的な設例でいきましょう。
松浦遊さんと光希さんの間には、朔と立夏というこどもがいます。
光希さんは、遊さんがロンドンに留学した際に、現地でかつての同級生と浮気をしたことが発覚して、光希さんは朔と立夏をつれて実家に帰ってしまいます。
遊さんは、光希さんとの離婚も希望しておらず修復を求めていますが、とりあえず朔と立夏と逢いたいということで面会交流調停を起こしました。
光希さんからは婚姻費用分担調停と離婚調停が提起されました。
さて、婚姻費用については、算定表をベースに決まり、離婚は合意の一致点が見いだせず不調となり、面会交流調停が進行し調査官調査が行われることになりました。
朔は、成績優秀で建築に興味を持っており落ち着いた雰囲気を持っており物事を冷静に判断する傾向がある小学校2年生です。立夏は、明るい性格ながら成績はそれほど優秀ではないのですが誰からも好かれるタイプのようです。
立夏は、遊のことも大好きだったので両親の別居には心を痛めているようです。他方、朔は、クールに自分で遊と連絡をとって勉強を図書館で教えてもらったりしているようです。
光希さんは、かつての大親友と不倫をされたということで怒り心頭でこどもには絶対会わせないとしています。そして別居後は、かつての幼馴染の須藤さんとの関係を深めるようになりました。
光希は須藤との再婚を考えているようです。
調査官調査では、お子さんの生活状況が調査されることになりました。住居の状況、同居家族、監護補助者の有無、保育所等への出欠確認、日常生活のリズム(起床、朝食、登園、昼食、退園、夕食、入浴、就寝の時刻や世話をする人です。)
お子さんの心身の状況としては、意向、発達状況、健康状況、好きな遊びや好きなテレビ番組、習い事の有無や内容などです。
そして、父母の紛争についての認識、遊さんについての記憶や父親イメージ、面会交流中止についての説明の有無や内容についての具体的状況などのようです。
朔は、健康状態も問題ありませんし、父母間の紛争も自分には関係ないとクールにとらえているようです。そして、建築に興味があるので、むしろ父の設計事務所に遊びに行くなど、裁判所の実施要領に基づかない自分の意向での面会交流をしていました。しかし、光希さんがこれを止めるようになり、面会したらお小遣いなし、夕食もなし、と朔に迫るようになり、朔も次第に、紛争に巻き込まれないように、遊と距離を置くようになりました。
とはいうものの、遊さんと朔、立夏とのアタッチメントには何も問題はなさそうです。ただし、立夏は、光希の憤りの気持ちも分かる心情で遊さんを責める背反する心情も持っているようです。
朔は、面会は構わないけれども、立夏と一緒よりも建築の話しがしたいとこどもふたりでの面会を嫌がるようになりました。また、朔は光希が、教師である須藤さんと再婚するのに静かに反対しています。朔はこうした心情も遊にケアしてもらっているようです。このため、自由に携帯で連絡をとれるようにしたいようですが、光希さんは朔と須藤さんとの関係構築のため、遊との面会交流禁止を申し立てました。
このような場合、調停が開かれ、調停委員会として、遊さんとの面会をどうしているかを考えるため、お子さんの生活状況、心身の状況、父母の紛争についての認識、遊の記憶やイメージを調査するようです。しかし、こどもは光希さんに生活を依存していますからなかなか本音をいえません。朔は京都大学に将来進学するため、高額な学習塾に行きたいという希望もあるようです。遊さんが京都大学出身だからです。そのために、板挟みのような状態になってしまっている、ということもあります。
調査官調査で、子の意向として拒絶が報告されたものの、弁護士調停委員が粘り強く調停を進めた結果、面会が実現したということがありました。実は司法面接は20分なのです。20分ですべてを見てきたようにいうのですが、実情はその「断面を見てきたに過ぎないのです」というべきです。
結果的に調査官調査に反する弁護士の弁護活動のおかけげ朔は真意に沿って、遊と月1回宿泊付きで面会することになりました。立夏は、宿泊はせず短時間で日帰りということで、面会交流もニーズに応じて柔軟に行うべきように思われます。