離婚夫婦の葛藤レベルが見立てを決める!
名古屋市の離婚弁護士のコラムです。 さて、面会交流調停・審判では、父母間の葛藤も考慮要素として汲み取られています。 したがって、葛藤レベルによって、離婚後も行き来のある家族か、断絶家族になるのか、などの見立てが決まります。もちろん心情などその他の要素もありますが、離婚夫婦の中で別居時が最も葛藤が高まります。 協力レベル―実は、世の中で、最もスポットライトを浴びるべきなのに、あまりとりあげれないポジティブな関係を形成している父母です。こどもの最善の利益のために協力関係にあり、お互いの意見を尊重し、些細な問題や判断で争うことはありません。また、些細な問題で相手を詮索することなどはしません。そして、意見は異なりますが、相手に自分のスタイルを押し付けません。争うことなく相手の意見を受け入れるということになります。もっとも、ここまで仲が良いのであれば、そもそもパートナーシップも維持されており、ひょっとしたら架空の想定かもしれません。 低葛藤―協議離婚で離婚したケースはこれにあたると思います。協議離婚の場合、調停離婚と比較して、いろいろな援助を離婚後も話し合う必要があります。しかし、仲の悪さゆえに両親の意見は一致しません。もっとも手に負えないということにはなりません。一時的にこどもの利益を見失うことがありますが、最終的にはこどもにとっての最善を考えます。面会交流のスケジュールの変更にも柔軟で、バーターを好み、公平を重視する離婚父母といえます。 中葛藤―多かれ少なかれ調停離婚の場合は中葛藤の場合が多いように思われます。たしかに、一時にすべてのことを決めて、あとは、「断絶」ということも可能にするほど将来のことも決めてしまうので離婚後はやりとりをすることがなくなるからです。そうした心情は理解することもできます。ですから、離婚後のやりとりを希望しない人ほど調停離婚の方が向いているといえるかもしれません。そして、父母の意見は頻繁に衝突して自分の意見が正しいことを証明しようとしたり自分の不利益を避けるようになります。そして、「元妻、元夫の言いなりにはならない」が口癖ということになります。こうした中葛藤の父母は、つまらない論争に労力を費やします。中葛藤の親は、場合によっては争い依存症となり、争いの中で自分が見えなくなることがあります。つまりすごい行動をしてしまっているケースがあります。こうした場合は弁護士を付けて、自分を注意してくれる存在が必要でしょう。お互いを威圧し、また威圧されることに反発して、しばしば相手に敵意を向けます。このような親には共通の目標などを持たせると良いと思われます。もっとも、面会交流の場合、中葛藤の場合が調停では普通ですから、葛藤状態をどのように鎮静化していくのか、弁護士に間に入ってもらうとよいかもしれません。 高葛藤―高葛藤となると、離婚後紛争も絶えない、ということになりかねません。両親はおおっぴらに争います。水平関係、支配・被支配の関係を問わず高葛藤は生じます。しかし、その危険性の分類は、むしろ高葛藤というだけでは意味がないですが、水平関係でも高葛藤状態になることに注意しましょう。そして、お互いに話し合うことができず話し合おうともしません。何度も法的な申立てを繰り返します。そして情報のやりとりにこどもを使います。そして、相手に知られたくない情報については、こどもに秘密を守らせます。相手と言葉を交わす時は、軽蔑的かつ侮蔑的になりがちです。皮肉、見下した意見、毒舌などの傾向がみられます。いずれにせよ、軽蔑的かつ侮辱的になり、協力はできません。こどもたちは相手の欠点のみ聴かされています。そして、相互の行為が汚いと確信しています。例えば、父親が小さな女の子をお風呂にいれただけで性的虐待と主張されることもあります。鳥居貴美子家庭裁判所調査官などは、こうした調査結果を書いたこともあり極端に偏頗な調査官が高葛藤事案に「仕立て」あげることもあります。 高葛藤の場合は互いに希望を持てないケースがあり、「勝ち」「負け」にこだわり「争い依存症」になっており離婚後紛争も絶えないということがあります。しかし、まずは自らが変かしてその希望を方向付ける必要性があります。配偶者が変わらなくても、自分の振る舞いは変化させることができます。そうすると、味方が増えていき、知らないうちに争いを続ける相手方は孤立化して、不毛であることを悟ることになるでしょう。まずはどちらからか、争う依存症から脱却することが大事といえます。