裁判すれば必ず離婚できるのか

裁判すれば必ず離婚できるのか

 シュシュ:裁判すれば必ず離婚できるの?

弁護士:法社会学的には、裁判をすれば離婚できる可能性は高いかなあとは思います。ただ、弁護士も「勝訴の見込みがないとはいえないこと」というメルクマールで受任しているので、有責配偶者などは受任を断られることもあるかもしれないですね。

シュシュ:基本的には、日本は破綻主義ではないから、法定離婚原因が必要だよね。

弁護士:そうです。裁判官と話したことがあるのですが、結婚して3日で離婚したいというような訴訟もあったけど、法定離婚制度の趣旨に照らして是認できないとして棄却したといっていましたね。基本は法定離婚原因がないと離婚できないと考えましょう。

『夫と性格が合わず、離婚したいと考え離婚調停を申立てましたが調停はまとまりませんでした。離婚の裁判をすれば必ず離婚できるのでしょうか。離婚したくても離婚できないということがありますか。』

 

「性格の不一致」は婚約破棄原因になったとしても、離婚原因にはなりません。夫婦間の話し合いや裁判所での調停の場合と違い、裁判では法律(民法)で定められた離婚原因が認められなければ離婚することはできません。

シュシュ:僕と叔父さんだって、似た者同士だけど、性格は違うよね。

弁護士:ここでいう「性格の不一致」というのは価値観の不一致だと思います。一番多いのは、自分の両親との不和・スタンス、こどもの教育の価値観、性生活の価値観、金銭感覚の価値観、こどもの数の価値観などでほぼ網羅されるのではないでしょうか。

 

  1. 裁判で離婚するには

 離婚をする方法には、大きく分けて、夫婦間の話し合いで離婚を合意する、裁判所の離婚調停で離婚する、離婚裁判で裁判所に離婚を認めてもらう、という3つの方法があります。

 このうち、話し合いや離婚調停で合意して離婚する場合には、離婚の理由がどんなものかは問題とならず、夫婦間で合意さえできれば離婚することができます。これに対して、離婚裁判では、法律(民法)に定められた離婚原因があることを裁判所に認めてもらわなければ離婚することができません。

 結婚は当事者の合意で行われるものですから、夫婦関係を解消することも当事者の合意がある限り自由にすることができます。これに対して、離婚裁判は、当事者の一方が離婚を希望していない場合にも裁判所の判決で夫婦関係を強制的に解消してしまうものですから、たとえ当事者の一方の意思に反しても夫婦関係を解消してもやむを得ない理由が必要とされているものです。

  1. 離婚原因
    • 配偶者に不貞な行為があったとき

 不貞な行為があったときとは、夫婦の一方が他方とは別の人物と性的な関係をもった場合です。

  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき

 悪意で遺棄するとは、正当な理由なく、夫婦が負うお互いに助け合って生活する義務(同居・協力・扶助義務、婚姻費用分担義務)に反して、自分勝手な生活を営むことをいいます。勝手に家を出て行くだけでなく、夫婦の一方を無理に追い出したり、生活費を渡さないような場合も含みます。

  • 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき

 3年以上の生死不明とは、3年以上生存も死亡も確認できないことを言います。所在不明であっても、生存がわかっているような場合は含みません。ただ、実際は1年程度の行方不明でも婚姻期間によっては、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとした判決もあります。

 

  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

 正常な婚姻共同生活の係属を期待できないほど重い精神的障害にかかっており、回復の見込みがない場合。精神的障害の重度や回復の見込みは裁判所が判断しますが、ケースとしては統合失調症の例が多いといわれています。もっとも、統合失調症は薬理コントロールで日常生活が可能になっており、現在は寝たきりのようなケースが念頭にあるのではないかと解されます。

 

  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

 婚姻を継続しがたい重大な事由があるとは、婚姻関係が深刻に破綻していて回復の見込みがないことをいいます。前述の①から④に該当しない場合でも、婚姻関係を維持しておく必要がなくなっているケースも多くありますが、それらはこの離婚原因に該当するかが問題となります。例えば、別居がすでに相当長期間にわたって継続しており、全く交流が失われているといった場合が考えられます。

  1. 婚姻を継続しがたい重大な事由

 実務上、離婚訴訟では、⑤「婚姻を継続し難い重大な事由」が主張されるケースが多いといえます。それではどのような事情があれば「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められるのでしょうか。

 まず、配偶者に対する暴力が挙げられます。昔は、多少の暴力は我慢するという風潮もありましたが、最近はDV防止法なども制定され、家庭内の暴力の問題が認識され、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたることに異論はありません。身体的暴力のみならず、暴言を吐いて精神的に追い詰めたり、生活費を渡さず経済的に困窮させたりするなど、精神的虐待や経済的虐待も、この事由にあたることがあります。ただし、夫婦間の暴力や虐待は外にはわかりにくいものです。

 訴訟で離婚を認めてもらうためには、暴力や虐待があったことを証明する必要があります。

 働けるはずなのに働かない、浪費癖がある、多額の借財があるなどの事情も、そのために生活自体が困難になる場合は、離婚原因になり得ます。ただし、住宅ローンや事業のために借り入れをした場合は、借入金が多額でも生活のためのものですので、それだけで離婚原因になるものではありません。

 宗教活動や、舅姑との不仲、性格の不一致なども離婚原因として主張される場合があります。これらはそれ単体では離婚原因とはなりにくいとはいえますが、程度が極端で結婚生活に支障をきたしたり、他の理由と合わさるなどして、婚姻を継続しがたい重大な事由があると認められる場合があります。

  1. 長期の別居

 ⑤の「婚姻を継続し難い重大な事由」として実務上、多く主張されるのが長期の別居です。夫婦は同居して共同生活を営むのが一般的なので、別居が長期にわたっていると婚姻関係が破綻していると推測されるのです。どの程度の期間、別居していると⑤とされるかというと、事情にもよりますが、3年程度が一応の目安になると考えられているようです。ただし、有責配偶者からの離婚請求の場合は、異なる基準があるので当てはまりません。

 もっとも、最近では、別居の判断が難しいケースも散見されます。同じ家に暮らしていても家計や生活の別れた家庭内別居であると主張されるケースがある一方で、単身赴任など物理的に離れていても、家族として交流があり精神的に支え合っていたり、家計を共にしているなどであれば、破綻しているとは考えられません。

  1. いくつか離婚原因がある場合

 このように、離婚裁判では法律で定められた離婚原因を主張して、裁判官に離婚原因があることを認めて貰う必要があります。ですから、自分のケースに合った離婚原因を主張し、証拠を提出して裁判官に認めて貰う必要があります。

 もっとも、①から⑤の離婚原因はまったくことなるというものではなく、相互に関連している場合があります。例えば、配偶者が不貞をして家を出てしまった場合には、配偶者には不貞な行為がある上に、悪意で遺棄したとも評価できますので、離婚原因の1号と2号に該当する可能性があります。このように複数の離婚原因に該当すると思われる場合は、該当すると思われる離婚原因をすべて主張しておく方が良いです。

 特に離婚原因の⑤「婚姻を継続し難い重大な事由」は抽象的な離婚原因であるうえ、離婚原因の①から④までのいずれかを主張する場合に、併せて離婚原因の⑤も主張しておくと良いでしょう。①の不貞な行為があったと認めるほどの証拠が無い、④の強度な精神病とまでは言えない、など具体的な事実関係の下で①から④に該当しなと判断される場合にも、その他の事情によって、婚姻を継続しがたい重大な事由があると判断されれば、⑤「婚姻関係を継続し難い重大な事由」として離婚が認められることになります。

  1. 性格があわないことを理由として離婚できるか

 離婚の原因として性格の不一致を理由として離婚したいという場合が多くあります。しかし、もともと夫婦は育った環境が違う二人が共同生活をするわけですから、多少の衝突はやむを得ないことで、それだけでただちに離婚と認めて欲しいと裁判所に求めるのは難しいと思われます。まずは、夫とも話し合い、価値観や生活習慣などのずれを克服するなどの努力をしてみて下さい。もっとも、すでに別居している場合は、別居期間によっては離婚が認められる可能性があります。そうした努力や克服の後がないと、離婚が認められない可能性もあります。

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