意外と離婚訴訟は夫婦の所在地でおこせない?

離婚訴訟は夫婦の所在地で起こすとされており、通常は移送申立も認められません。 子連れ別居や調停中の別居の場合について、例えば名古屋で調停中に津に別居し、津家庭裁判所に離婚訴訟を提起したという場合、原則としては適法ということになります。 しかし、どちらかというと有責、という場合は移送が認められるようなケースもあるようです。当事務所でも、女性がある横浜家裁での調停を受けて、その後名古屋に別居しましたが、名古屋家裁への移送申立をしたところ、これが認められた事案などがありました。子連れ別居で、その態様がラディカルに過ぎた事例と評価することができると考えられます。子連れ別居の違法性にもかかわる判断とも思われます。 東京高裁平成17年12月9日家月58巻9号40頁決定 人事訴訟法4条によれば,本件訴訟は,抗告人の住所地を管轄する静岡家庭裁判所浜松支部又は相手方の住所地を管轄する東京家庭裁判所の管轄に専属することになる。また,同法31条は,離婚訴訟に係る婚姻の当事者間に成年に達しない子がある場合には,同訴訟についての同法7条(遅滞を避けるため等のための移送)の規定の適用に当たっては,その子の住所又は居所を考慮しなければならないと定めるところ,これは,離婚訴訟において未成年の子がいる場合には,親権者の指定が必要となり,家庭裁判所調査官の調査が円滑かつ実効的に実施される必要性が類型的に認められることから,調査等の便宜を図り,子の利益にかなった審理が十分に行われるようにするため,離婚訴訟を移送するか否かの判断要素として,未成年の子の住所又は居所を考慮すべきことを定めたものと解することができる。なお,本件において,同法7条にいう当事者及び尋問を受けるべき証人の住所等の事情については,静岡家庭裁判所浜松支部及び東京家庭裁判所の間に有意差はないということができる。  しかるところ,上記認定事実によれば,抗告人と相手方は,平成13年8月13日に婚姻後,転居はあるものの,一貫して静岡県○○市内に同居していたものであり,相手方は,平成17年3月14日に当時の相手方及び抗告人の住所を管轄する静岡家庭裁判所浜松支部に別件調停事件を申し立てたのに,その調停の途中の同年6月3日に抗告人の同意を得ることなく長男を連れて一方的に別居した(なお,別居の原因が専ら又は主として抗告人にあることを認めるに足りる証拠はない。)もので,抗告人は,別居の3か月後の同年9月7日に本件訴訟を提起したものである。    そうすると,相手方の一方的な別居の僅か3か月後に提起された本件訴訟においては,未成年である長男の居所は東京都△△区にあるとしても,その住所は未だ静岡県○○市にあると解することができる。また,仮にその住所が既に東京都△△区にあると解した場合でも,上記別居の状況等に照らすと,長男についての親権者の決定のために抗告人の居住状況を調査すべきことも考えられ,人事訴訟法7条により本件訴訟を東京家庭裁判所に移送することは相当でないというべきである。 このような事案において移送を認めることは,同法31条を根拠として同法7条の適用を求めるため特段の事情もないのに未成年者を実力で他の住所に伴うという事態を容認することにもなりかねず,相当でないからである。なお,相手方の主張によれば,現在3歳の長男は保育園に通っていて東京の生活に慣れつつあるというのであるが,そのことは,上記判断を左右するものではない。  3 以上によれば,本件訴訟を東京家庭裁判所に移送するとした原決定は不当であり,本件抗告は理由がある。    よって,原決定を取り消し,相手方の本件移送申立てを却下することとし,主文のとおり決定する。

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