どこまで家事審判を利用したら良いのでしょうか。

Q このまえ家事審判を利用して、子の引渡しを求めました。相手方は風俗産業で事実上性交を伴うサービスを提供していましたが、子の福祉には反しない、との結果で、きちんとした裁判所に判断してもらいたいという気持ちがあります。調査官報告書も結論を決めて、それに沿わないことは何も書かれていません。どこまで家事審判を利用しなければいけないのでしょうか。   名古屋の離婚弁護士による離婚相談コラムです。   歴史的経過として、平成5年に子の引渡し手続が家裁の審判手続で行われるようになりました。そしてこれまで主役を占めていた人身保護請求は、補充的に活用されるようになり、最判平成6年4月26日の判断により、子の福祉が明白に侵害されているという絶対的明白基準によることとされました。   さて、そこでどのような手続を利用するかとなると、現在は、婚姻中の夫婦などの場合がいちばん多いと思いますが、これは家事審判によることになっています。   この点については、判断が分かれていますが、監護者の指定についても、夫婦の子は形式的には共同親権下にあるのですが、別居している以上、どちらかを監護者にしなければならないという考え方が多いようです。しかし、平日や金土日といった量的に監護を分けることも可能ですから、子の福祉に適合するのであれば、毎週、こどもが父母の家をいったりきたりするという環境の方が望ましいと思います。しかし、Qにもありますように、幼児に対する女性非監護親の面会交流すら裁判所は月1回といっています。裁判所は、「どちらかを監護者に決定する」というドグマが強すぎるため、熱心な調査官の提案でもない限り裁判官主導では和解的な監護をして、離婚により親権者を決めるということは、難しくなっているように思います。 この点、福岡高裁平成20年11月27日は、離婚の帰趨を待っていることができないような場合に限られるとの見解を示しています。親権と監護権を分離するのは相当ではありませんから、かかる高裁決定も支持することができると思います。   東京高裁平成15年7月15日決定は、離婚弁護士に多くの問題を提起しました。つまり、原審は、母子優先の原則に基づいて父に対する引渡請求を認容したものでした。   この際、心理学者の意見書が提出していましたが、心理学者と心理学者ではない一介の公務員にすぎない調査官の意見書が対立した際、家庭裁判所は、特段の不合理性がない限り調査官報告書の意見をそのまま、審判に書き写します。     しかし、調査官は人文からも採用されており、別に心理学の得意な弁護士でも何でもありません。特に心理学の得意な弁護士と異なる内容の調査官報告書の取扱いをどうするかですが、個人的な執務経験では、一方に心理的に巻き込まれている調査官や極端な結論に持っていくために極端な論述をするアスペルガーのような家裁調査官がいることも分かってきました。   少なくとも裁判官が直接こどもに面接しない限りは父親は納得しないでしょう。少なくとも心理学者もこどもに面会していると思いますので。   最近の調査官報告書には、いろいろな面から批判的意見が述べられており、もっとも家事記録の秘匿性を悪用して、客観的に批判されないことから、PDCAサイクルのチェック体制が全くないことから、おかしな調査官がはびこるという結果になっているのだと思います。調査官報告書は、子の監護紛争事件では包括的調査でなければならないと到底真実にたどり着かないと思いますが、多くの場合は、「何らかの意図」「結論ありき」に従った部分的・間接的調査で済ませてしまうところが問題であると考えられます。そして、特に、7歳の子の意向は調査せず、都合の良い2歳の子の意向は調査する、風俗関係についても実地調査はしない、虐待の問題提起がされても問題がなかった等と記載されるだけにとどまるケースが都市部の家裁では増えてきた印象を持ちます。これでは、当事者は、子の引渡しに納得しないし、一般社会人も納得しないでしょうから信用問題になるのはないでしょうか。   私が担当しているものでも、調査官と地方公共団体の意見が対立し、県会議員が意見を陳述するなどがありますが、常識的におかしいから、本来行政の恣意を防止するための裁判所が、反対に、裁判所の恣意をとめるために動くという、おかしな減少を招いています。それだけ現在の調停・審判の家庭裁判所の信用性が低落していることを示すものといえます。 Qが懸念する子の引渡し紛争は、強制執行という「おどし」によって実現させることができたとしても、結局は、こどもの利益にはならないのであって、本来指針を示したうえで、見守る仕組みが必要ですが、裁判所はそこまでのことは考えておらず、審判を出したら後は勝手に、というスタンスであるため、さらに信用されなくなるという事態をまねていているのでしょう。   特にこどもを移動させる場合は、現在の監護者はもちろん、こども自身が納得できる方法と形式で行わなければなりません。裁判の紛争解決手続の目的からは、現在の家裁は大きく離れてしまっている状況にあります。  

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