在日韓国人同士の方の離婚
在日韓国人同士で離婚をされるという方もいらっしゃいます。
この場合は、本国法は韓国法ということになりますので、その離婚に関しては韓国民法が適用されるということになります。
韓国民法では、協議離婚については、かなり制限があり、日本の場合では、韓国総領事館で、裁判所の離婚案内に代えて離婚に関する案内書を交付し、離婚意思の確認や親権者の決定に関する事情聴取を行います。こうして作成された陳述要旨書と添付書類がソウル家庭法院に送られることになります。韓国の裁判所から離婚意思の確認証明書が送付されてきますので3ヶ月以内に確定証明書を添付して韓国総領事館で離婚届けでを行うことになります。
しかし、離婚調停を利用するのも便利な方法です。実は手続法は日本法が適用されますので、離婚調停は確定判決と同様の効力を持ちますから離婚成立と同時に離婚が成立するということになります。そして、韓国の家族関係登録簿に離婚を記載するには、本人確認のため提出者の身分証明書を提示して、離婚調停と韓国語翻訳各1通、ご夫婦双方の婚姻関係証明書及び家族関係証明書各1通を韓国総領事館に提出することになります。
離婚については、日本法に似ていますが、①親権者の決定、②養育者の決定、③養育費の決定、④面接交渉権を行使するか否か、及びその方法を定めることになります。
韓国民法840条での離婚原因は以下のとおりです。
① 不貞行為
② 悪意の遺棄
③ 配偶者又はその直系尊属から著しく不当な待遇を受けたとき
④ 自己の直系尊属が配偶者から著しく不当な待遇を受けたとき
⑤ 3年間の行方不明
⑥ 婚姻を継続することが困難な重大な事由があるとき
韓国民法では、不貞の場合については、6ヶ月以内に手続をとらなければ、消滅時効にかかるとされていたり、婚姻を継続しがたい重大な事由があるという場合については、その事実から6ヶ月の経過で主張ができなくなるものと考えられています。
日本の家裁で離婚判決が確定した場合は韓国法上も離婚の効力が生じます。
そして、離婚の裁判確定の日から1ヶ月以内に判決書の原本又は謄本、確定証明書、これらを韓国語翻訳文等を添付して、韓国領事館などに申告をしなければなりません。なお、韓国においても、有責配偶者からの離婚請求は認められず、ただ、婚姻の継続と両立しない離婚意思の明確化、別居の期間、音信不通状態等の事情により「婚姻を継続する意思」の有無が判断されます。そして、離婚意思が明確であり、婚姻を継続する意思が明確である場合には、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められます。