法的単独親権と法的共同親権と身体的共同親権
よくこどもの世話に関する権限として、法的単独親権と法的共同親権というものがあります。アメリカでは、このほか、身体的共同親権という考え方もあります。 法的単独親権については、日本での離婚後の単独親権によく似ています。意外かもしれませんが、アメリカでも単独親権制度はあるのです。しかし、他方の親と相談せず主要なことを決める権利を持つことになります。そこで、非監護親がこどもと面会交流やペアレンティングをすることを制限することになります。したがって、共同親権制度がメジャーなアメリカでは、少数派といえる点が日本と大きく異なるといえます。 法的共同親権は、比較的葛藤が中程度以下の場合、利用されることが多いようです。日本で例えると協議離婚や調停離婚は共同親権になるというイメージですので、日本もアメリカ法を継受すると相当多くのケースが共同親権の対象になるだろうことが分かります。 もっとも、こどもが過ごす時間を必ず均等にしなければならないということではありませんし、別に、身体的共同親権といって、監護権を別に定めることができます。 法的共同親権はアメリカでは常識であり、現在は90パーセント近いといわれています。この激増の理由は、こどもの福祉の観点から双方の親の関与が望ましいことが認知されたことが大きいといわれています。 法的共同親権と区別して、身体的共同親権というものがあります。これは、こどもの時間をイーブンにするというイメージがありますが、平均すると、こどもは、非監護親の家に、週に2泊3日とまるというイメージで、33パーセントから55パーセントのイメージです。 このような時間配分の場合、特段、単独親権制度や面会交流権の概念は観念できないものと解されています。 身体的共同親権は、比較的まだ珍しく、アメリカでは、両方の家で交互に生活しているこどもは10パーセント以下といわれています。カリフォルニア州やアリゾナ州においても、身体的共同親権法がありますが、現実に選択されるのは、27パーセント以下で、大部分は、アメリカでも母親と過ごしているといわれています。ただ、葛藤やトラブルがある場合は、身体的共同親権は、問題を生じます。そして交互居住に満足している両親は、こどもの生活に父母が関わることに「付加価値」を感じている人が多いようです。もっとも、交互居住は両親が精神的に安定し、協力かつ友好的で、共同親権であることが前提です。