離婚したいのにしてくれないときの対処方法
離婚したいのにしてくれないときの対処方法
自分としては離婚したいのに、相手がどうしても離婚してくれないとき、一体どうしたらよいのでしょうか?経験的には、まだ同居中であるとか、他方がお子さんへの愛情が深い場合、純粋にパートナーを愛している場合などが考えられるように思います。
その場合、いくつかの対処方法があります。
今回は、離婚したいのに応じてくれないときにとるべき対処方法について、段階を負って弁護士が解説していきます。
1.まずはよく話し合う
離婚をしたいならば、まずは相手としっかり話し合いましょう。というのも、日本では裁判離婚以外は相手方の同意が必要になるからです。
日本では「協議離婚」という制度があり、夫婦の双方が離婚に合意をすればそれだけで離婚できるからです。
相手に離婚を持ちかけた当初は拒絶されても、根気強く説得を続けていれば応じてくれるケースは多々あります。
あなたが夫で相手が妻ならば、離婚にともなう解決金を多めに払ったり財産分与を多めに渡したりすることで、離婚する気持ちにさせられるケースもあります。特に専業主婦との離婚の場合は離婚後扶養も視野に入れてあげると話合いがスムースになるかもしれません。
2.別居する
話し合いではどうしても離婚してくれない場合には、別居を検討しましょう。別居すると、お互いの生活が別々になりますし、相手の顔を見なくて済むので冷静になって考えることができます。
また別居状態が継続すると、相手のいない状態が普通になってくるので「これだったら離婚しても良いのではないか」と考え始める方が多数です。実際、別居して3年から5年経過したら離婚できるという説もありますが別居すると離婚に応じてくれる人もそれなりにいるのが現状です。
別居の際には自分が出ていくか相手が出ていくか、どちらが子どもと一緒に住むかなどが重要なポイントです。この際、できればこどもの意向も尊重してあげたり環境が激変したりしないように年齢に即した配慮をしてあげて欲しいです。
子どもの親権をとりたいのであれば、必ず子供を連れて出ていくか、相手に1人で出ていってもらう必要があるという見解もあります。別居時に子供と離れてしまったら後に親権をとるのは、男性でも女性でも難しくなるので、注意が必要です。
3.婚姻費用を請求する
別居すると、生活費のことが心配になるケースがあります。特に多いのが、専業主婦だった方が子どもを連れて家を出るケースです。母親には生活力がないので、別居後の生活を維持することができないと考えてしまいます。
ただ夫婦には相互に扶助義務があり、生活力の高い側は相手側に生活費を渡さねばなりません。この夫婦の生活費を「婚姻費用」と言います。
そこで別居しても離婚が成立するまでの間は、夫に対して「婚姻費用」を請求することができます。別居時に夫と話し合いをして、毎月定額の婚姻費用を払ってもらう約束をしておくのが良いでしょう。
もしも別居時に合意できなければ、家庭裁判所の調停で請求できるので、別居後速やかに「婚姻費用分担調停」を起こします。これは離婚調停を誘発することもありますので、この段階から弁護士に依頼される方も少なくありません。
いったん婚姻費用が決まったら、相手は離婚時まで延々と支払いを続けないといけません。相手が「このように別居状態が続いて高額な婚姻費用だけ支払うくらいなら、離婚した方が良いかもしれない」と考えるきっかけにつながります。また、支払ってくれない場合は、お給料に差押えができる場合があります。
4.離婚調停をする
別居しても相手が「離婚しない」考えを変えない場合には、家庭裁判所で「離婚調停」を申し立てましょう。
離婚調停とは、夫婦が離婚問題について話し合いをするための裁判所の手続きです。裁判所の「調停委員」という職員が夫婦の間に入って話し合いを仲介してくれます。
あなたの離婚意思が固いことをわかってもらえたら、調停委員も相手に対して「離婚してはどうですか?」と説得してくれるでしょう。
相手が離婚に応じたら調停で離婚が成立して、離婚届を提出することが可能です。
ただしあなたの方に「不倫」や「DV」などの有責性がある場合には別です。法律上、有責配偶者からの離婚請求は認められないことになっているからです。あなたが不倫しているのに離婚調停を起こしても、調停委員はあまりあなたに肩入れしてくれないことが予想されます。ただ、その場合でも調停は裁判ではありませんので、こういう場合こそ弁護士をつけて粘り強く交渉していくのも一つかもしれません。
5.離婚訴訟を起こす
5-1.訴訟で離婚する方法
調停でも相手が離婚してくれない場合には、最終的に「離婚訴訟」を起こすしかありません。ただ、離婚訴訟は形成訴訟といって、法律要件を満たさないとダメという特色があります。
訴訟では相手が離婚に応じなくても「法律上の離婚原因」さえあれば、裁判所が離婚判決を書いてくれます。離婚判決が出たら、強制的に離婚が成立します。
ただし離婚判決を出してもらうためには「法律上の離婚原因」を主張・立証する必要があります。法律上の離婚原因とは民法の定める5つの事由であり、具体的には以下の通りです。
- 不貞(男女の肉体関係を伴う不倫や浮気)
- 悪意の遺棄(生活費不払いや正当な理由のない家出など)
- 3年以上の生死不明
- 回復しがたい精神病
- その他婚姻関係を継続し難い重大な事由
相手が離婚に応じない場合には、上記に該当する事情を主張するだけではなく「証明」することも必要です。訴訟では、基本的に「証拠のないことは認められない」からです。なお、こどもの親権などは例外的に裁判所が職権で調べることもあります。
たとえば相手が不倫しているなら不倫の確固たる証拠がないと、離婚できません。つまり、不倫をしていても証拠がないというケースは実は数多く存在するのです。こうした場合は自分の離婚後のプランに合わせて弁護士に事前に相談しておくと良いでしょう。
訴訟を起こすなら、提訴前に勝訴できるだけの充分な証拠を集めておく必要があります。訴訟提起後に新たな証拠を入手できることは多くありません。
5-2.訴訟で負けた場合
離婚訴訟で敗訴してしまったケースでも、同居しなければならないわけではありません。そのまま別居して婚姻費用をもらい続けることが可能です(支払側の場合には離婚が成立するまで支払い義務が継続します)。
長期間別居状態が続くことによって婚姻を継続し難い重大な事由が認められるケースもあるので、あきらめずに何度も相手に離婚の話を持ちかけ、折りをみて再度訴訟を提起して離婚を求めると良いでしょう。複数回の離婚訴訟の末、離婚が認められた事例が福岡高裁那覇支部でありました。
6.有責配偶者の場合
あなたが不倫しているなど「有責配偶者」で、その事実を相手に知られている場合には、離婚訴訟を起こしても基本的に離婚できないことが多いでしょう。扶養的財産分与など弁護士とよく作戦を立てることが必要です。この場合、認められない判決では「有責配偶者に該当するので請求は認められない」と端的に説示されるだけというケースもあります。
調停が不成立になった後、時間をおいて再度離婚の話し合いを繰り返すなどの対応が必要です。
相手が離婚してくれない場合、調停や訴訟での専門的な対応が必要です。また別居のタイミングや別居後の婚姻費用、親権監護権などの問題も発生します。
不利にならないためには弁護士のサポートを受けると安心ですので、お困りの際にはお気軽に名古屋の弁護士までご相談ください。