夫と離婚したくない妻の悩みと対策
夫と離婚したくない妻の悩みと対策
- 離婚したくないのに、夫が強硬に離婚を迫ってきて困っている
- 子どもを守るためにも離婚は避けたい。どうするのが一番良いのか?
- 夫から裁判を起こされたら、離婚されてしまうのか?
【シュシュ:確かに、一方が離婚したいけど、他方が離婚したくないということはあり得るよね?
弁護士:やっぱり、認識の違いで、他方配偶者は離婚することのほどはないという認識であること、離婚後の生活に不安があるので離婚しないケース、こどもが成人するまでは離婚しないというケースがあるよね。
シュシュ:でも円満調停は難しいと聴くよね。
弁護士:弁護士が関与する案件で、円満調停に向くケースが少ないのだと思いますが、ただ稀に円満調停が成立することもありますよ。特にこどもが小さいケースですかね。あとはこまめに会うようにすることも破綻認定を避けられる可能性がありますよね。】
あなたが離婚を希望しないなら、離婚を避けるための方策があります。以下で、パターン別に弁護士が離婚を避けるための方法を解説します。
1.「離婚原因」があるかどうか検討する
夫が離婚請求してきたとき、あなたが離婚に応じたくないのであれば、「法律上の離婚原因」があるかどうかを検討しましょう。
法律上の離婚原因とは、民法が認める離婚原因です。法律上の離婚原因がある場合、夫が離婚訴訟を起こせば裁判所の判断で離婚が成立してしまいます。一方離婚原因がなければ裁判されても離婚されないので、離婚に応じる必要はありません。
法律上の離婚原因は、以下の5つです。
- 不貞(肉体関係を伴う不倫や浮気のことです。)
- 悪意の遺棄(生活費不払いや家出などです)
- 3年以上の生死不明
- 回復しがたい精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由(たとえばDVなどの事情です)
あなたが不倫をしている場合や家出している場合、同居を拒絶している場合、長期間別居していて夫婦の実態が失われている場合などには夫が裁判すると離婚が認められる可能性があります。
単なる性格の不一致などのケースでは裁判されても離婚が認められません。
【シュシュ:裁判で離婚できなくても愛情は喪失してしまうケースもあるよね。
弁護士:そうだね。裁判例では長期の別居は離婚原因とされていますので、まずは別居して離婚調停を起こすと、裁判で離婚できなくても第三者的には修復が難しいということになりますので、離婚の条件を詰められないかを検討することになります。】
2.夫が「有責配偶者」の場合
2-1.有責配偶者からの離婚請求は認められない
もしも夫が不倫していたり、生活費を払っていなかったりあなたに対して暴力を振るっていたりするならば、夫は「有責配偶者」です。
この場合、夫からあなたに対して離婚請求をすることが認められていません。
有責配偶者は、自ら離婚原因を作った責任のある人です。それにもかかわらず、相手が離婚を拒絶しているのに無理矢理離婚を求めるのは不合理です。
そこで、有責配偶者が離婚訴訟を起こしても、相手が離婚を拒絶し続ける限り裁判所は離婚判決を下さず、夫婦の婚姻関係が継続します。ただし,有責配偶者だと第三者が納得する証拠が必要です。具体的には、探偵資料、性交渉を連想させるメールなどです。
2-2.夫が有責配偶者の場合の対処方法
有責配偶者の夫から離婚を求められたときには、基本的に「離婚を拒絶し続けるだけ」で良いです。協議や調停ではあなたが拒絶し続ける限り離婚が成立しませんし、相手が有責配偶者である以上、離婚訴訟を起こされても離婚されることはないからです。ただし、有責配偶者からの離婚請求でも3要件を満たす場合は離婚が認められる傾向があります。そして、現在は主に他方配偶者が離婚後に経済的に過酷にならないかどうかという点に焦点を定めている印象があります。ですから東京など、夫婦共働きでともに600万円程度の所得がある場合、場合によっては裁判所からも和解勧告が出る可能性もあります。ですから、いつまでも離婚を拒絶し続けるだけが得策かは有利選択の問題となるのかもしれません。よく検討される必要があります。
2-3.有責性の証拠を集める
夫が有責配偶者の場合「有責性を基礎づける証拠を集める」ことが重要です。
たとえば夫が不倫しているなら、不倫の証拠が必要です。
証拠がないと、離婚裁判を起こされたときに「夫が有責配偶者である」ことを証明できず、離婚が認められてしまうかもしれないからです。背後に不貞があるだろうなと思いつつ証拠がないというのは弁護士実務上よく経験するところです。特に東京などではカップリングが盛んですので、別居して新たな恋人がいる場合でも、別居前から交際していたのか区別がつかない場合もあります。ですから、別居後しばらく経過してから証拠の収集を始めるのは時期が遅いということもあるかもしれません。
必要な証拠はケースによって異なるので、不明なときには弁護士に相談してみてください。
3.自分が「有責配偶者」の場合
あなた自身が不倫などをしており「有責配偶者」の場合、夫が離婚訴訟をすれば離婚が認められてしまいます。離婚を避けたいなら、なるべく夫と話し合い、離婚を思いとどまらせるための努力が必要です。すぐには修復できなくても、徐々に関係を取り戻していきましょう。
また有責配偶者の場合、相手から強く責められ、要求されるままの条件で離婚に応じてしまう方がおられます。しかし有責配偶者であっても、離婚したくなければ離婚に応じる必要はありません。
離婚訴訟をされたとしても、夫があなたの有責性の立証をできなければ離婚が認められない可能性もあります。
さらに母親が不倫した事例では、子どもの親権の取り合いが起こるケースも多く見られますが、不倫しても母親に親権が認められる事例はたくさんあるので、諦める必要はありません。
不倫して夫から離婚請求されると、「何もかも失ってしまう」と思い絶望される方がおられますが、希望を失う必要はないので、弁護士までご相談ください。
4.離婚原因がない場合
夫が離婚を求めてきたとき、双方とも有責配偶者ではなく、特に法律上の離婚原因も見当たらないケースも多いです。主にこどもの進学やお金の支出の仕方で口論が絶えないというのが典型でしょうか。
この場合にも、夫からの離婚請求に応じる必要はありません。協議や調停では夫婦双方の同意がないと離婚が成立しませんし、法律上の離婚原因がなければ夫が訴訟を起こしても離婚は認められません。
ただ、夫婦が別居して実態がなくなっており、夫婦のどちらもやり直す意思をなくしているケースなどでは、「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」が認められ、離婚訴訟で離婚が認められる可能性があります。離婚訴訟の戦略が心配なら、弁護士までご相談下さい。
5.離婚届不受理申出をする
夫が離婚を希望しておりあなたが離婚を拒絶していると、夫が勝手に離婚届を偽造して提出してしまうかもしれません。偽造の離婚届であっても役所では受け付けられてしまうので注意が必要です。
このようなことを防ぐため、役所に行って「離婚届不受理申出」をしておきましょう。
すると夫が単独で離婚届を提出しようとしても、あなたの意思確認できるまで、役所は離婚届を受け付けなくなり、勝手な離婚を避けられます。
6.婚姻費用を請求する
夫が離婚を要求して妻が拒絶すると、夫が生活費を払わなくなることがあります。そのようなときには、家庭裁判所で「婚姻費用分担調停」を申し立てて、生活費の支払いを約束させるべきです。
調停で相手が支払いに応じない場合には、審判によって、裁判官から夫に対して婚姻費用の支払い命令を出してもらうことも可能です。
婚姻費用の支払い義務は離婚するまで続きますし、不払いがあれば差押えもできるので、あなたやお子様の生活を守ることが可能となります。ただし、調停を起こすのが望ましいことが多いのですが、調停は相手方住所地となります。そこで家庭裁判所の算定表を参考にして弁護士に話合いを依頼するということもあり得るかもしれません。
夫が離婚請求してきたとき、離婚したくなければ応じる必要はありません。お困りの方は、一人で悩まずに名古屋駅ヒラソル法律事務所の弁護士までご相談ください。