再婚後離婚しました。氏は元旦那のものですか、実家ですか。

 再婚をしましたが、離婚することになりました。後夫の氏を称したくないので、旧姓に戻そうと思いますが、戻るのは前婚の際の前夫の氏でしょうか。それとも実家の生来の氏を称することができるのでしょうか。

自由に選択することができる

 婚姻の際に氏を改めた者は、離婚によって婚姻前の氏に復するのが原則です。ただし、離婚の日から3か月以内に役所の戸籍係に「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称といいます。)を提出すれば、離婚の際に称していた氏を称することもできます。

 離婚の場合は複氏をするのですが、離婚が複数回に及ぶ場合、例えば、山田さんが加藤さんと結婚し、婚氏続称で加藤さんのまま、鈴木さんと再婚し離婚した場合の「結婚前の氏」が山田であるのか、加藤であるのかが問題となります。

 結論からいうと、「結婚前の氏」は山田も加藤も該当するということになっており、自由に選択できる取り扱いになっています。後婚について離婚の届出をする際に、複氏の届出も同時にすることができるわけですから、常に一旦前婚当時の氏に復した上で、生存配偶者の複氏の届出をしなければならないとする必要性がないためです。

理由はよくわからないが・・・

 このように自由選択主義を「氏」という安定性が求められるものにとっていることについては、その理由が不明ですが、民法751条1項の規定により、夫の死亡後は妻はいつでも生来の氏に戻ることができることの均衡といわれています。

 結局は戸籍先例があるので受理されるから、という形式的理由に就きますが、第3、第4の婚姻がなされ、最後の婚姻につき離婚する場合も同じ取り扱いです。

婚氏続称は復縁を迫られる論拠になることも

 氏の変更は「やむを得ない事由」が必要ですが、氏の変更であっても生来の氏に戻す場合は弁護士に依頼し、不当な動機がないことが証明すれば、認められるケースもあります。

 その理由として、婚氏の続称は、原則に対する例外であるから、原則に戻ることはむしろ望ましいと考えられているからです。

大阪高裁昭和52年12月21日決定

氏のもつ法的社会的機能からすると、それによつて生ずる呼称秩序の安定を計ることが必要であるから、たやすくその変更を許すべきでなく、このことは離婚によつて復氏すべき者が婚氏の継続使用を選択しながら、その後婚姻前と同一の氏に変更しようとする場合にも該当するのであつて、右氏の変更につき戸籍法一〇七条一項によるべ遣ことはいうまでもない。
 もつとも婚姻によつて氏を変えた者が離婚によつて婚姻前の氏に復することは、離婚の事実を対外的に明確にし、新たな身分関係を社会一般に周知させることに役立つので、これが原則であり、婚氏の継続使用は右以外の必要によつて認められた例外というべきものであるから、たとえ婚氏の継続使用を選択した者であつても、日時の経過等によつて右氏が離婚後の呼称として社会的に定着し、これによつて新たな呼称秩序が形成されたような場合を除き、婚姻前と同一の氏に変更することはむしろ氏のもつ法的社会的機能から望ましいものと解される。したがつて、右のような婚姻前と同一の氏への変更については、戸籍法一〇七条一項の「やむを得ない事由」に該当するか否かの解釈に当り、通常の氏の変更よりもその解釈を緩和すべきものと解するのが相当である。
4 これを本件についてみるに、抗告人主張の事由は、前記認定のとおり、抗告人において婚氏継続の制度についての理解が十分でないため安易に婚氏の継続を選択したことによつて生じたもので、また右選択によつて現に抗告人が蒙つているという不利益も右制度から生ずるものとして予測可能なものにすぎないものであるから、これをもつて直ちに前記「やむを得ない事由」に当るものといいがたい。
 しかし、前記認定の事実によつて認められる、(1)前記氏変更の必要性、(2)抗告人が右婚氏の継続使用を選択した昭和五一年八月一六日は、右制度が施行された同年六月一五日から僅か二か月を経過したばかりで右制度が広く、一般に理解されなじまれるに至らない時期に当り、これを利用する者にとつても誤解混乱を避け得ない状態にあつたこと、(3)また抗告人が離婚後婚氏を継続してから本件申立をするまでの間僅かな期間を経過しただけでこれが離婚後の氏としては未だ社会的に定着してなく、これを変更するについて呼称秩序の混乱はほとんどないことを併せ考えるとき、抗告人の婚姻前と同一の氏への変更については前記「やむを得ない事由」があるものとし、その許可を求める本件申立を認容すべきである。
5 よつて、本件抗告は理由があるから、家事審判規則一九条二項により、本件申立を却下した原審判を取消したうえ、抗告人の氏を婚姻前の氏に変更するのを許可することとし、主文のとおり決定する。

 

 

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