引渡しを命じる主文を12歳であることに鑑み脱落させた事例

福岡高裁平成29年3月3日 第3 当裁判所の判断(略語は原審判の表記による。)  1 監護者の指定について   (1) 当裁判所も,未成年者A(長男)及び未成年者B(長女)の監護者をいずれも相手方と定めるのが相当と判断するが,その理由は,次の(2)のとおり判断の補足を加えるほか,原審判の「理由」の「第2 当裁判所の判断」のとおりであるから,これを引用する。     ただし,原審判14頁21行目から同22行目の「未成年者らの各監護者をいずれも申立人と定めるとともに,相手方に対し,未成年者らを申立人に引き渡すことを命ずるのが相当である。」を「未成年者らの各監護者をいずれも相手方と定めるのが相当である。」と改める。   (2) 判断の補足     抗告人は,①未成年者らが,相手方のもとへは行かずに抗告人と生活する意思を表明していること,②家庭生活を破壊したのは相手方であること,③未成年者らが現在安定した生活を送っていることなどから,未成年者らの監護者を抗告人と定めるべきであるなどと主張する。     しかし,原審判も判示するように,長男は,相手方から捨てられたという思いや,抗告人や父方伯父からの偏った情報等によって,相手方に対する拒否反応を示しているのであり,長女は,抗告人や長男の意向に沿って同様の意思を表明しているにすぎず,これらの未成年者らの意思表明を監護者の指定の判断にあたって過度に重視すべきではない。     また,相手方の不貞行為を含めて抗告人と相手方の婚姻関係破綻の原因が専ら相手方にあることを認めるに足りる証拠はない。     さらに,原審における家庭裁判所調査官による調査等によれば,抗告人は,将来的には抗告人の母等を含めて,福岡市南区(以下略)の自宅で生活することを前提に話をしており,未成年者らの生育環境等には特段の問題はないとされていたが,原審判の前後(長女については平成28年11月1日,長男については同年12月26日)に,それぞれ福岡県柳川市にある抗告人の実家に転居したのであって(なお,抗告人の住民票移転は平成29年2月である。甲11),その原因や具体的経緯等は不明であるが,突然の生活環境の変化は未成年者らの心情等に多大な影響を与える可能性がある。また,抗告人は,相手方は自分で問題を起こして出て行ったものであり,未成年者らも相手方を嫌っているとして,面会交流には応じない態度をとっている。これらは,抗告人の監護者としての適格性に疑念を生じさせかねないものである。     したがって,抗告人の上記主張はいずれも採用できない。  2 子の引渡しについて    以上のとおり,未成年者らの監誰者は相手方と定めるべきであり,未成年者らは早急に相手方のもとで監護されるのが相当であるから,長女については直ちに抗告人から相手方に引き渡されるべきである。    ただし,長男については,上記引用に係る原審判の認定事実のとおり,相手方に対して強い拒否反応を示しているのであって,長男の年齢(12歳),心情等を考慮すると,現段階において,抗告人に対して長男の引渡しを命じるのは相当ではなく,抗告人が,相手方が長男を引き取ることについて妨害することを禁止するにとどめるのが相当である。  3 結論    よって,未成年者らの監護者を相手方と定めた上で,長男については,相手方が長男を引き取ることの妨害の禁止を,長女については,抗告人に相手方へ長女を引き渡すよう命じるのが相当であるところ,長男についても引渡しを命じた原審判は,その限度で相当でないから,これを変更することとして,主文のとおり決定する。

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