面会交流

面会交流に制限的な判例、却下した判例

 面会交流については、認めない場合は「特別事情」がある場合が多い。そこで、子の福祉に影響を及ぼすような特別な事情を認定して、面会交流の方法や回数等を制限し、あるいは認めなかった裁判例である。

平成27年6月12日

弁護士:この事案なんだけど、暴言と対物暴力を主とするDV高葛藤事案で、監護親がPTSDで通院を要し子らが心因反応を発症している場合に、面会交流への協力で監護親の負担を増大させることが子らへ悪影響を及ぼすことを考慮して、直接交流を認めず、限定的な間接交流に止めた事例なんだ。

シュシュ:主観的な論拠に対して高裁は「抗告人は、子の福祉に反すると認められる特段の事情のある場合には、面会交流が認められないと解すると、裁判官が子の福祉を口実にどのようにでも介入できるとか、未成年者らは、抗告人も共同親権者であり、相手方の単独親権下にはないので、面会交流を制限することはできないと主張する。しかし、面会交流は、子の福祉の観点から決せられるべきであり、子の福祉に反すると認められる特段の事情のある場合には、認められるべきではないことが明らかであり、かつ、上記特段の事情の有無は、裁判官の主観的な判断ではなく、客観的で合理的な判断によって決せられるのであるから、裁判官が子の福祉を口実にどのようにでも介入できるということにはならない。また、共同親権者であるからといって、子の福祉の観点から子との面会交流が制限されることがないということはできない上、現時点では、抗告人と相手方とは裁判離婚しており、相手方が長男及び二男の単独親権者である。したがって、抗告人の上記主張は、いずれも採用することができない。」と反論しているね。

そのうえで、暴力が暴言、別居後の長年にわたる裁判等のストレスにより、PTSDの診断を受けたと指摘しています。

二男については、申立人を父として認識・記憶しているかどうかすら怪しく、心因反応との診断を受けているが、現在ストレスが心身の不調として現れやすい年齢であるので、相手方が、抗告人から同居期間中に受けた暴力及び暴言、別居後の長年にわたる裁判等のストレスにより、心的外傷後ストレス障害(心因反応)との診断を受け、現在も通院を続けている様子を間近に見ることなどによって、心因反応を発症するようになったものと推認される。また、長男についても心因反応との診断を受けているが、長男は、別居時には記憶力も発達して行く段階にあったと考えられるので、抗告人の暴力や暴言によって引き起こされた強い不安はある程度記憶として残っているものと考えられ、これに上記のとおりの相手方の状況を間近に見ることなどによって心因反応(情緒不安定)を発症するようになったものと推認される。
 このような相手方、未成年者らの状況を踏まえると、将来の良好な父子関係を構築するためには、相手方の負担を増大させてまで直接交流を行うことは、かえって未成年者らの抗告人に対するイメージを悪化させる可能性があるため、相当ではない。

間接交流

 間接交流は、直接交流につなげるためのものであるから、できる限り双方向の交流が行われることが望ましいと考えられる。原審が命じたように未成年者らの近況を撮影した写真を送付するだけでは、双方向の交流とはならず、将来の直接交流ひいては抗告人と未成年者らとの健全な父子関係の構築にはつながらないというべきである。また、相手方は、抗告人から未成年者らに対し、同居中、物に当たったり、大声を出したことはよくないことであり、反省している旨を手紙にして渡してほしい旨要望しており、相手方の立場に立つと、上記要望に相応の理由があることは否定できないものの、必ずしも双方向の交流を開始する上で、上記のような手紙を渡すことが不可欠とまでいうことはできない。
 他方、抗告人が、直ちに、未成年者らの福祉に沿うために、相手方に対する暴力や暴言について謝罪し、相手方との関係の改善を図ろうとする姿勢に転ずることは期待することができないので、間接交流によって相手方の負担を増大させることで、未成年者らに悪影響を及ぼすような事態を生じさせることは避けなければならない。
 上記の各点に鑑み検討すると、相手方に抗告人の未成年者らへの手紙を未成年者らに渡す義務のみを課す(未成年者らに返事を書くことを指導するなどの義務は課さない。)こととするならば、相手方に大きな負担を課すことにはならず、かつ、双方向の交流を図ることへつながる可能性があるというべきである。
 したがって、原審の命じた未成年者らを撮影した写真の送付(なお、本決定確定後、四か月に一回、未成年者らそれぞれの近況を撮影した写真(未成年者らそれぞれの顔及び全身を写したもの各一枚)を送付しなければならないと主文を改めるのが相当である。)に加えて、二か月に一回、抗告人の未成年者らへの手紙を未成年者らに渡すことを相手方に命ずるのが相当である。
 なお、抗告人は、当審において原審判を批判してるる主張するが、その余の主張は、本件の結論を左右しない。
 以上のとおり、抗告人と未成年者らとの面会交流につき、相手方に、①本決定確定後、二か月に一回、抗告人が○○宛てに送付した未成年者らへの手紙を速やかに未成年者らに渡さなければならない、②抗告人に対し、ア本決定確定後、四か月に一回、未成年者A男の近況を撮影した写真(未成年者A男の顔及び全身を写したもの各一枚)を送付しなければならない、イ本決定確定後、四か月に一回、未成年者B男の近況を撮影した写真(未成年者B男の顔及び全身を写したもの各一枚)を送付しなければならないと命ずるのが相当であるので、これと一部結論を異にする原審判を上記のとおり変更することとし、主文のとおり決定する。

仙台家裁平成27年8月7日

シュシュ:申立人(父)と相手方(母)の離婚後、非親権者申立人が親権者相手方に対し、申立人と未成年者(長女七歳)との面会交流の時期・方法等について審判を求めたところ、申立人の暴力的言動、相手方の申立人に対する不信感や嫌悪感は深刻で父母間の協力関係は期待しがたく、第三者機関等の関与があっても円滑な父子面会の実施は期待しがたい等として、申立人の面会交流の申立てを却下した事例だね。却下までいくのは珍しいね。

弁護士:一般論は、原則実施説にたって、「特段の事情」を検討しているね。

事案

(2) 面会交流の経過等
 ア 申立人と相手方は、本件離婚訴訟係属中である平成二六年一月頃、当時の各人の代理人弁護士を介して、未成年者との面会交流について話し合い、申立人が、毎週日曜日に三〇分間、未成年者と電話交流することを約束した。
 イ 申立人は、同年三月二三日、上記ア記載の電話交流をする時間になっても相手方から電話がかかってこなかったため、相手方の自宅を訪れたところ、相手方が一一〇番通報をし、警察官が臨場する事態になった。相手方は、後日、警察署に対応を相談し、警察署内において警察官の立ち会いの下、申立人と未成年者との面会交流について話し合ったことがあった。
 ウ その後、相手方は、弁護士から助言を受け、申立人の心情を考慮して、同人と未成年者との直接的な面会交流に応じることにし、弁護士を通じ、同年四月二日に面会交流させることを約束した。しかし、相手方は、当日になって、宮城県石巻市内の相手方の実家に帰ることになったとして面会交流の中止を申し入れた。申立人は、相手方を信用できず、相手方の意に反して同人の実家を訪れるなどし、警察官をも交えて面会交流の話し合いが行われた。結局、申立人と未成年者の面会交流は、四月五日に実施されたが、このとき、申立人は、相手方に対し、面会交流の約束を破った場合には「罰則」として金員を支払うように述べたこともあった。
 申立人は、この頃、仙台市内に居所をかまえた。
 エ 相手方は、上記ウの面会交流後、申立人に対し、面会交流のルールについて公正証書を作成するべく、弁護士と相談するなどと述べたが、進展しなかったことから、申立人が、未成年者の登校に同道していた相手方に対し、弁護士から連絡がないことを度々問い質したり、電子メールを送信するなどした。
 その後、申立人と相手方代理人弁護士は面会交流について協議し、同月二九日午後一時から午後五時頃まで(このとき、面会交流の終了時間について、申立人が、午後四時五一分頃、相手方に対し、未成年者の意向で午後六時くらいに戻る旨の電子メールを送信し、相手方が午後五時四五分までには送って来てほしい旨伝えたことがあった。)、同年五月一〇日午後零時から午後五時頃まで(このとき、面会交流中に未成年者が車内で嘔吐したことについて、相手方代理人が申立人に対して問い質したところ、申立人が相手方の養育を非難するようなことを述べたことがあった。)、同月二五日午後零時から午後五時頃まで、申立人と未成年者の面会交流が行われた。申立人は、同日の面会交流後、相手方に引き渡す際、未成年者の希望に応じ、次回は宿泊付きの面会交流を希望する旨、相手方に伝えた。
 申立人は、上記のような面会交流が実施されている最中も、相手方に対し、「虐待」「異常者」等と記した電子メールを度々送信したり、大阪市内にあった当時の相手方代理人弁護士の事務所を訪れて面会交流中の約束について問い質したりしたことがあった。
 なお、相手方は、同年四月頃、仙台地方裁判所において、四度目の保護命令を申し立てたが、同年五月九日、申立人が相手方に対し生命又は身体に重大な危害を加えるおそれがあるとは認められないとして、却下された。
 オ 相手方は、上記エの各面会交流後、未成年者が疲れてぐったりした様子であることや申立人が面会交流をめぐって相手方の意に反する言動を繰り返したこと等から、これ以上の面会交流には応じられないと考え、同人代理人弁護士を通じて、同月三〇日、申立人に対し、週末の面会交流を中止すると連絡した。さらに、同日深夜、未成年者がてんかん発作を起こしたこともあり、相手方代理人弁護士は、同年六月二日、今後は電話による交流も含めて保留すると通知した。これに納得しなかった申立人は、同月から同年八月頃にかけて、度々相手方の自宅付近を訪れて未成年者の登校に付き添っていた相手方に接触したり電子メールを送信するなどして、未成年者との面会交流を強く求めたり、相手方代理人弁護士に強い口調で迫ったり、未成年者が利用する保育所の職員への声かけや小学校への架電などもした。これに対し、相手方も度々警察に通報したり弁護士に相談し、当時の申立人代理人弁護士を介して相手方に待ち伏せ等の直接的な接触や関係機関への架電等を止めるよう忠告するとともに、同年七月三日、当庁において、申立人と長男及び未成年者との面会交流についての調停を申し立てた(当庁平成二六年(家イ)第九一四、九一五号、以下「前件調停」という。)。
 カ 相手方は、前件調停において、申立人が子らに執拗に面会交流を求めて付きまとうことに不安があるとして、申立人がこれらの行為を止めるかどうか半年ほど様子を見た後、面会交流のルール作りをしたいとの意向を示した。他方、申立人は、同年九月から毎週の電話交流及び宿泊付きの面会交流を求め、折り合いがつかなかった(なお、申立人は、前件調停の申立てを知り、当時の代理人弁護士を解任した。)。このため、相手方は、同年一二月一六日、前件調停を取り下げた。
 なお、申立人は、前件調停係属中も、相手方の自宅付近等を訪れて、未成年者に話しかけたり相手方に面会交流について直接話しをしたり、相手方代理人弁護士事務所に繰り返し架電したり、約束なく同事務所に赴き、インターホン越しに面会交流について強い口調で問い質したりしたほか、当庁に対して、相手方を「異常者」、「児童虐待者」と評する書面を提出したり、相手方代理人弁護士に対し、未成年者の待ち伏せや付きまとい等を予告するような書面を送付したりした。
 また、申立人は、前件調停終了後の同月三一日から平成二七年一月一日にかけて、相手方に対し、未成年者らにプレゼントを渡しに相手方の実家に行くなどと記した電子メールを度々送信し、相手方がこれを拒否する意向を示していたにもかかわらず、平成二七年一月二日、相手方の意に反して相手方実家を訪れ、未成年者らに会わせるよう求め、結局相手方がこれに応じたことがあった。
 (3) 本件申立てに至る経緯及び本件審判等
 ア 申立人は、平成二七年一月五日、当庁において、未成年者との面会交流する時期、方法等について定める調停を申立てた(当庁平成二七年(家イ)第四号(以下「本件調停」という。)。
 その一方で、申立人は、相手方の自宅付近を訪れ、登校途中の未成年者に声をかけたり、相手方の実家を訪れたり、相手方に対して未成年者らに話しかけることを予告する内容のメールを送信したりした。また、申立人は、本件調停においても、相手方に対し、虐待行為をやめろとか、児童虐待を働くような人間は人間として認める気はないなどと記載した書面を提出したり、春休みに面会交流を実施しろなどと述べたりした。
 イ 本件調停は、早急な直接的な面会交流を強く求める申立人と現時点において面会交流には応じないとする相手方の意向が強く対立したため、同年二月一六日不成立となり、本審判に移行した。
 ウ 申立人は、審判移行後、相手方の自宅を訪れたり相手方にメールしたりすることはなかったが、未成年者や長男に度々話しかけたことがあったほか、相手方の実家を訪れたり、当庁に対し、今後も未成年者への声かけを続ける旨記載した書面や「児童虐待者Y様」と題する書面を提出したり、ゴールデンウィークに面会交流をさせるよう強く求めたりした。また、審問においても、相手方は、子らと申立人を面会交流させたくないという申立人の意向を子らに押し付けるという虐待行為をしているとか嘘ばかり述べているなどと強い口調で繰り返して、相手方を非難した。
 (4) 申立人の状況及び意向等
 ア 申立人は、現在は仙台市内に居所をかまえており、主に不動産収入を得て生活している。
 イ 申立人は、未成年者との面会交流について、①毎週末(土曜日又は日曜日)は、午前一〇時から午後五時までの面会交流と、土曜日午前一〇時から翌日午後五時までの宿泊付面会交流を隔週で実施すること、②三連休以上の大型連休のときは、二泊三日で行うこと、③末成年者の春休みと冬休みには、二泊三日以上の宿泊付面会交流を二回実施すること、④未成年者の夏休みには、二泊三日以上の宿泊付面会交流を毎週実施すること(ただし、日にちの調整には応じる。)を求め、そのほか、未成年者を水泳教室等週一回の運動を習わせることを希望している。
 (5) 相手方の状況及び意向等
 ア 相手方は、仕事をしながら生活保護を受給して、子らを監護養育している。なお、相手方は、現在まで、いわゆる住民票ブロックの措置を講じている。
 イ 相手方は、平成二四年一二月、うつ状態との診断を受けており、現在まで投薬治療を続けている。
 ウ 相手方は、離婚に至る経緯や未成年者の健康状態等には慎重な配慮が必要であるにもかかわらず、これを申立人が十分に理解していないこと、長男に対する暴力や心情に配慮しない言動を繰り返していること、申立人が自らの希望ばかりを優先しようとする態度であること等から、申立人との直接的な面会交流には応じられないとの意向を示している。
 (6) 未成年者の状況等
 未成年者は、現在七歳で小学校二年生に在籍している。同人は、平成二三年一〇月頃、てんかん及び精神運動発達遅滞との診断を受けて、現在は、支援学級に在籍している。未成年者が六歳時に施行した発達検査では運動能力、精神能力ともに三歳レベルの発達段階にあり、体力が弱く、自分を取り巻く環境への変化に対応できずに情緒不安定になることがあるとの指摘や、自分の意思表示を他人へ伝える能力や環境に順応する能力が十分ではなく、てんかん発作を抑制するためには、未成年者にストレスが及ぼされるような環境の変化は避けるべきであり、より慎重な対応が望まれるとの意見が示されている。
 未成年者は、一歳一一か月の頃初めててんかん発作を起こし、その後、平成二三年二月からは消失していたものの、平成二六年五月に再出現した。最近では、平成二七年五月七日、六月五日にもてんかん発作を起こし、救急搬送されている。

原則実施説

離婚の際に未成年の子の親権者と定められなかった親は、子の監護に関する処分の一つとして面会交流を求めることができるところ、一般的には、子の福祉の観点からすれば、非監護親との適切な面会交流が行われることが望ましいが、面会交流を実施することがかえって子の福祉を害するといえる特段の事情があるときには、面会交流は禁止・制限されなければならない。

シュシュ:特段の事情はあったのかな。

未成年者との面会交流にかかる申立人と相手方との間の紛争状態は長期間にわたっており、高い緊張状態が続いている。また、申立人は、上記一(1)ないし(3)のとおり、申立人の希望どおりの面会交流をさせない相手方を「虐待者」「異常者」などと呼び、相手方の心情を慮ることなく強い言辞で非難し続けたり、相手方の意に反することを十分に認識しながら再三にわたって相手方や未成年者に話しかけたり、連絡を取ったりして、自らの希望を実現しようとしている。

 一方、相手方は、上記一(1)ないし(3)のような従前の経緯やこれまでの申立人の言動等から、精神的に疲弊しているのみならず、申立人に対する強い不信感や嫌悪感を抱いている。

 このように、申立人と相手方の相互の不信感は相当深刻であり、容易に解消できるものではない。

 申立人と未成年者との面会交流を実施するに当たっては、非監護親である申立人と監護親である相手方との協力関係を築くことが必要不可欠であるが、こうした状況においては、上記協力関係を期待することは極めて困難であり、また、面会交流を実施した場合には未成年者が葛藤に陥りやすい状況にもあるといわざるを得ない。これまで様々な関係者等の関与があったにもかかわらず実効的な意味をなさなかったことや申立人の言動等からすれば、適切な第三者や第三者機関の関与があったとしても円滑な面会交流は到底期待できない。
 

 さらに、これまでの申立人の言動等や従前行われた申立人と未成年者の面会交流が必ずしも円滑に実施されたとはいえないこと等からすれば、相手方が、申立人において、面会交流のルールを遵守しないのではないかとの疑いを抱くのも不自然不合理なことではない。

 これに対し、申立人は、自らの行為が相手方や未成年者らに与えている影響を十分に認識しているとは言い難い。こうしたことからすれば、申立人において、相手方の監護を尊重し、同人や未成年者の心身の状況、生活状況等に配慮した適切な面会交流を期待することも困難である。
 

 以上のほか、本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、現時点において申立人が求める面会交流を認めることが子の福祉に合致するとは認め難く、かえって未成年者が両親の抗争に巻き込まれ、未成年者を父親である申立人と母親である相手方との間の複雑な忠誠葛藤の場面にさらし、その結果、未成年者の心情の安定を害するおそれが高いというべきである。
 よって、本件申立ては相当でないから、これを却下することとし、主文のとおり、審判する。

 

親権に関するお悩み