養育費

元夫からの養育費は月5万円として調停離婚、3年後元夫が転職して収入が減ると同時に養育費の支払いが滞るようになった

  7歳の娘の親権者を元妻、元夫からの養育費は月5万円として調停離婚。3年後元夫が転職して収入が減ると同時に養育費の支払いが滞るようになった。

 養育費の支払い確保の手段としては、強制執行、履行勧告、履行命令の制度があります。

 強制執行

 強制執行は、判決は審判書・調停調書など強制執行力のある書面(債務名義)により養育費が定められている場合に、民事執行法上の手続に従い、債務名義に基づいて地方裁判所に強制執行の申立てをし、支払義務者の財産から強制的に支払いを確保する制度です。

 原則として、民事執行の対象になるのはすでに不履行になっている分についてだけであり、将来の分について執行することは認められません。

 しかし、養育費には特別ルールがあります!民法上の扶養義務に基づく定期預金債権(養育費、婚姻費用など)についてのみ、一部でも不履行があれば、支払い期限が到来していない将来部分についても一括して強制執行ができるとする特例が定められています。

 ただし、この特例に基づき差押えることができる財産は、給料のほか、地代・家賃等の賃料債権、商品・役務の継続的供給契約に基づく売掛金などで、養育費答の支払い期限後に支払われるものに限られます。

 したがって、離婚した夫が会社員であれば、元夫が1回でも養育費の支払いを怠れば、元妻は元夫の会社に対して毎月の給料のうち養育費相当分を自分に支払うよう求めることができます。つまり、実質的に給料天引きで養育費を受け取るのと同じ効果が期待できるのです。ですので、養育費の支払いを怠った場合は強制執行をするのも一つですが、最近は請求異議事由として認める例もあるようです。

 また、給料等に対する差押えは、原則として、給料等の4分の1までしか認められませんが、養育費などの扶養義務に係る金銭債権にも続く強制執行の場合は、給料等の2分の1まで差押えが認められています。

 ただし、冒頭の事案のように、元夫が転職をした場合には、強制思考は転職先の会社等から支給される給与を差し押さえる必要がありますので、転職先を把握することが先決となります。

 履行勧告

 履行勧告は、家庭裁判所の調停調書や審判書、判決書に養育費の支払いが記載されている場合、支払義務者が履行しないといは家庭裁判所において履行状況を調査のうえ履行を勧告し、支払いを督促する制度です。申立手数料は不要であり、書面による申立が望ましいとされていますが、電話での申出にも応じてくれます。調査に際して、家庭裁判所調査官は、支払義務者の事情についてもある程度理解を示しながら、当事者双方に対して必要な助言や調整を行うことで、義務が自発的に履行されるよう促しています。勧告に強制力はありませんが、国の機関による督促であることから、一定の効果があるようです。

 家事法では、審判をした家庭裁判所等が、

  • 調査又は勧告を他の家庭裁判所に嘱託できること、
  • 家庭裁判所調査官に調査または勧告をさせることができること、
  • 事件関係人の家庭環境等の調整に必要な場合には、家庭裁判所調査官に社会福祉機関との連絡等の措置を取らせることができること、
  • 調査又は勧告に必要な調査を官庁、公署等に嘱託し、又は、銀行、信託会社、関係人の使用者等に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができること、

など、調査方法に関して従来は解釈上で認められていた方法が明文化され、より充実した制度となっており、今後の運用が期待されます。

 履行命令

履行命令は、履行勧告によっても支払われない場合に権利者から申立があると、家庭裁判所が相当と認める場合に、相当の期限を定めて義務の履行を命令する制度です。

この命令に従わない場合は、10万円以下の過料に処せられるという制裁が科せられます。しかし、履行命令によっても支払いの強制力はなく、実益が少ないということで現実にはあまり活用されていません。

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