将来、再婚するので面会交流したくありません。

再婚によってこどもの生活環境が変わりますので、その際には、面会交流の内容を見直すことをあらかじめ約束しておくと良いでしょう。

 

面会交流の意義

 離婚後も親子の交流を維持することは、こどもの健全な成長にとって大変重要なことです。したがって、離婚をするにあたっては、面会交流についても協議して、その具体的内容を決めておくべきです。

面会交流の頻度

 面会交流の頻度は、毎月1回、2か月に1回、3か月に1回、半年に1回など、父母の協議で自由で決めることができます。

面会交流の中身

 面会交流の方法もさまざまで、単に数時間会って食事や買い物をすることを一緒にするだけではありません。

 

 週末や長期休暇においては宿泊を認める場合もありますし旅行することもあります。会うのではなく、写真やビデオなどを送付するにとどめる場合もあります(間接的交流)。協議離婚の場合、1か月に1回宿泊付きということも増えています。

 

面会交流の内容について父母の協議が整わない場合

 家庭裁判所が当事者からの申立てを受けて、最終的な審判で定めることになります。ただし、これは調停を行うことのできる事件ですのでまず調停が行われますが、纏まらなければ審判に移行します。

 しかし、そもそも面会交流の実施には、元妻等の協力が不可欠です。名古屋高裁金沢支部は通常甘受すべき負担と指摘しています。面会交流をするに相応しい信頼関係が保たれていることが必要です。

 審判で一方的に面会交流を決めても、面会交流が現実に実施できる保証はありません。

 したがって、できるだけ調停の場で、相手方の納得を得て面会交流の内容を取り決めることが望まれます。

再婚を見据えた面会交流の取り決め

 このように離婚後も親子の交流を続けることは、こどもの健全な成長にとって大変重要なことです。しかし、将来、こどもと同居する実親が再婚し、再婚相手がこどもと養子縁組をした場合には、従前に取り決められた面会交流内容は見直さなければなりません。なぜなら、再婚家庭の安定がもっとも子の福祉に資するからです。

 これは、再婚後の新しい家庭で良好な人間関係を構築するために必要なことで尊重されるべきです。

 せっかく養親を精神的に受け入れようと一生懸命努力しているにもかかわらず、実親に会えば、再び実親のことが懐かしくなり、それまでの努力が水泡に帰することがあります。

 

 また、例えば、小学生の授業参観に2人の父親が行くことは、こどもの情緒を混乱させ好ましくなく、どうしても実親の面会交流には限界が生じてしまいます。

こどもと同居していない実親としてはとても辛いかもしれません

 こどもの幸せが最優先ですが監護状態の安定が重要です。

シュシュ:フランスでは、パートナーは離婚した場合、すぐに新たなステディができることなんてめずらしくないんだよね。ペアリングの文化だから。

弁護士:将来のトラブルを回避をするために、離婚の際、面会交流の取り決めをするにあたっては、こどもと同居する実親が再婚した場合には、面会交流の内容を見直す旨をあらかじめ約束しておくとよいと思います。

シュシュ:具体的には、以下のようなものだよね。

甲と乙は、乙が将来再婚し、その再婚相手と長男シュシュとが要支援義務をした場合には、協議により、子の福祉の観点から甲と長男との面会交流の内容を見直すことができる。

大阪高裁平成28年8月31日決定―再婚しても認めた例

第2 当裁判所の判断
 1 当裁判所は,原審判を上記のとおり変更することが相当であると判断する。その理由は,次のとおり補正し,次項に抗告の理由に対する判断を補足するほかは,原審判の理由説示のとおりである。
  (1) 原審判2頁12行目の「相手方は,」の次に「平成27年□□月□□日,」を加える。
  (2) 原審判4頁18行目の末尾に改行し,次のとおり加える。
  「8 Bは,当審において,本件手続に当事者参加した。」
  (3) 原審判4頁25行目の冒頭に「抗告人(父)及び未成年者らの国籍は日本,相手方(実母)及び当事者参加人(養母)の国籍は中国であるところ,」を加える。
  (4) 原審判7頁13,14行目を次のとおり改める。
  「 よって,相手方と未成年者らの面会交流については,本件別紙面会交流実施要領のとおり定めるのが相当である。」
 2 抗告理由につき補足する。
  (1) 抗告人は,抗告人と相手方が離婚した際,本件誓約書により,相手方が未成年者らに二度と会わない旨合意しているところ,同合意は,一旦は未成年者らを捨てて,他の男性との生活を選んだ相手方が未成年者らと接触することにより未成年者らの健全な成長が阻害されることを防ぐという意味で合理性があり,家庭裁判所が同合意を変更し得るのは,同合意に父母の裁量の逸脱があった場合や重大な事情変更の生じた場合に限られる。そして,同合意についてそのような事情は認められない旨主張する。
    しかし,抗告人の陳述(原審審問結果及び乙3),Jの陳述(乙4)は抗告人の主張に沿うが,そもそも本件誓約書が明確に未成年者らとの面会交流を否定する趣旨の内容のものとは認められないし,Jの陳述も具体的状況の記載に乏しい。そして抗告人の主張と反対趣旨の資料(甲1,2,相手方の原審審問結果)に照らせば,抗告人の援用する資料は採用できず,抗告人主張の合意の成立を認定することはできない。また,仮に抗告人主張の合意が成立したとしても,面会交流は子の福祉の観点から認められるものであるから,家庭裁判所が子の福祉に照らして必要と認めるときはその合意を変更することができることは原審判を引用して説示したとおりであり,合意を変更できるのは抗告人主張のように限定された場合だけであるとはいえない。したがって,抗告人の主張は採用することができない。
  (2) 抗告人は,未成年者らは当事者参加人と養子縁組をし,新しい家族関係を築きつつあり,相手方との面会交流によらずとも未成年者らが健全に成長することは可能であり,かえって未成年者らと相手方が面会交流を行えば,相手方が未成年者らに抗告人の悪口を言うなどすることにより,未成年者らに忠誠葛藤を生じさせるなどして,その健全な成長を阻害する危険性が高いと主張する。
    しかし,未成年者らは,離婚後,相手方を恋しがる態度を示していたこと,未成年者Dは,良い思い出を持っていることは原審判を引用して認定したとおりであり,こうした未成年者らが非監護親である相手方からも愛されていると認識する機会を持つことは未成年者らの健全な成長に資するものであり,抗告人と当事者参加人が未成年者らとともに新しい家庭を構築する途上にあるとしても,相手方との面会交流を認めることは未成年者らの福祉に適うというべきである。なお,抗告人は,相手方は未成年者らと面会すれば,未成年者らの健全な成長を阻害する行為に及ぶ可能性が高い旨主張するが,これを認めるに足りる資料はない。もっとも未成年者らが相手方と面会することにより,その心情に影響を与えることは否定できないが,そのような影響は面会交流を継続していく中で解消していくことが考えられる上,抗告人や当事者参加人は親権者・監護親として,面会交流を円滑に実施されるように配慮する義務がある。
    したがって,抗告人の主張は採用することができない。
 3 以上によれば,原審判は相当であり,本件抗告は理由がないが,当事者参加人が当審において本件手続に参加したことに鑑み,原審判を主文のとおり変更することとして,主文のとおり決定する。
  平成28年8月31日
    大阪高等裁判所第9民事部
        裁判長裁判官  松田 亨
           裁判官  田中義則
           裁判官  檜皮高弘

 別紙
       面会交流実施要領
 1 面会交流の日時
   毎月第2日曜日の午前10時から午後5時まで
 2 受渡場所
  (1) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□付近
  (2) 抗告人及び当事者参加人または同人らの指定する親族等は,上記1で定める開始時刻に,上記(1)の場所で未成年者らを相手方に引き渡す。相手方は,上記1で定める終了時刻に,上記(1)の場所で未成年者らを抗告人及び当事者参加人または同人らの指定する親族等に引き渡す。
 3 実施日の変更
   相手方,抗告人及び当事者参加人または未成年者らの病気その他正当な事由により上記1の日時を変更する場合は,当該事由の生じた当事者は,速やかに他方の当事者に対し,携帯電話または電子メールの方法により連絡し,協議により代替日を決めるものとする。協議が整わないときは,代替日は,第3日曜日の同時間帯とする。
 4 本実施要領の変更
   当事者双方は,協議により,本要領の定めを変更することができる。

再婚により面会交流が認められなかった事例―さいたま家裁平成19年7月19日

3 以上の事実をもとに,本件の面接交渉のあり方について検討する。
 (1) 未成年者は,相手方に対して,手紙を送付したり,電話をかけたり(留守番電話へのメッセージの吹き込み)しており,その文面からしても,相手方に会いたいと考えていることが認められる。
  しかしながら,未成年者は小学校4年生であり,平成12年×月の離婚時には2歳になったばかりであるから,父親である相手方の記憶は全くないものと考えられ,相手方に会いたいという未成年者の思いは,抽象的な父親像に留まっているものと推察される。また,未成年者は,申立人と相手方が離婚していることなど,正確な事情を伝えられていないことが窺われる。
  したがって,申立人や相手方の面接交渉への姿勢を始めとして周辺の環境が整えられないと,面接交渉を実施させることは,未成年者の福祉に沿わない結果を招来する危険がある。
 (2) 前記2認定の事実によれば,申立人と相手方は,離婚から6年以上を経ているが,家庭内の不和が生じてから離婚に至るまで及びその後の過程における葛藤は,極めて根深いものがあると推察される。
  申立人は,未成年者を相手方に会わせたくないと考えており,相手方に対しては,申立人に暴力をふるい,不貞関係にあった女性と婚姻したなどと主張して,強い憎しみを未だに抱き続けていることを否定しないなど,心理的清算ができていないことが窺われるところであるが,未成年者の気持ちを尊重して本件申立てをしたと主張しており,面接交渉を実施することが,申立人に加重な精神的負担を与える可能性がある。
   一方,相手方は,申立人の離婚前後の言動から,面接交渉によって申立人との紛争が再燃することをおそれている。また,再婚家庭を築いているところ,養育費の支払のほかには,妻が,相手方と未成年者との面接交渉について消極的であることからすれば,面接交渉の早急な実施は,再婚家庭の環境を乱し,相手方の精神的不安を招く懸念がある。したがって,相手方には,未成年者の福祉を目指した前向きな姿勢での面接交渉を期待できない状況にあり,面接の実施が,必ずしも未成年者の心情に良い影響を与えられるとは言い切れない。
4 以上を踏まえると,本件においては,将来的に完全に面接交渉を禁止すべき事情は窺われないものであるにしても,相手方と事件本人の直接の面接交渉を早急に実施することは,未成年者の福祉に必ずしも合致するものではなく,消極的にならざるを得ない。
 将来的には,環境を整えて,面接交渉の円滑な実施が実現できるようになることが期待されるが,当分の間は,間接的に,手紙のやり取りを通じて交流を図ることとするのが相当である。したがって,相手方から未成年者宛の手紙を年4回,3か月ごとに書くことを命ずることとする。
 よって,主文のとおり審判する。(家事審判官 生島恭子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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