DV離婚 住所を秘密にして離婚届にサインできるのか?

 

DV離婚 住所を秘密にして離婚届にサインできるのか?

 

DVによって離婚する場合,協議離婚の場合でも住民票が動いていないというケースも少なくないため,この場合は,離婚届けに住所の記載欄があっても,住民票上の住所を記載することになるので,あまり問題が生じないといえます。他方で,DVによって,既に住民票を移転し,かつ,住所秘匿措置をとっている妻側としては,離婚届出について,旧住所を記載しても受理されるのでしょうか。名古屋市の離婚弁護士が,解説していきます。

 

今回はDV離婚で住所を秘密にして離婚届を提出することができるのか,について,注意すべきポイントをご紹介しますので、これから離婚を進めようとしている方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.協議離婚とは

協議離婚とは、夫婦で話し合って離婚に合意し、役所へ離婚届を提出する離婚方法です。

夫婦双方が「離婚すること」にさえ合意すればできるので、非常に簡単な手続きといえます。

DV離婚の場合においても,離婚及び親権について整えば,離婚届を出すということは考えられます。

 

協議離婚に必要な要件

戸籍法29条では,離婚届を含む「届出」の記載事項について定めています。そこで必要になるのは以下のものです。

 

  • 届出人の出生の年月日
  • 住所及び戸籍の表示

を記載することになっています。

一般的に,離婚届に書く「住所」は,住民票上の住所と理解されている方が多いのではないでしょうか。

もっとも,出生年月日や住所・戸籍の記載の趣旨は,届出人を特定し,その同一性を明らかにするためという点がポイントです。

このため,原則的パターンとしては,「住所」とは,住民票記載の住所地が該当することになると思います。

そこで,DVによっても住民票を移していないパターンの場合は,住民票記載の住所地を書いて,提出することが考えられます。

 

2.離婚届に旧住所を記載して届け出ることは難しいか

DVによって,既に住民票が移転しているパターンでは,離婚届に旧住所を記載して届け出ることは難しいように思われます。

しかし,届出人の特定のためであれば,本籍地や生年月日といった住所でも足りると考えることもできるはずです。

この場合は,完全ではありませんが,①離婚届を見られないようにするため,DV被害者側で離婚届を提出するということも考えられます。また,一度,②受け入れてもらえるかは行政庁の判断になりますが,DVが原因の離婚で新住所を相手方に知られたくないということを役所窓口に伝えて,旧住所を書いた離婚届や住所地を記載しないままの離婚届を受理してもらえないか,交渉するのも一つです。

 

どうして,上記①では足りない可能性がないとはいえないのかというと,相手方は,戸籍法48条2項に基づき利害関係人として,特別な事由がある場合に限って,市役所が受理した離婚届に記載された事項について証明書の請求ができるためです。

住所を秘密にしておきたいという場合は,そのような請求ができるということも覚えておきましょう。

3.住民基本台帳事務処理要領記載の支援措置を受けておく

協議離婚は夫婦双方が離婚意思を持たないと成立しないので、一方が勝手に離婚届を作成して提出しても無効です。DVの場合であっても,まずは離婚無効確認訴訟などが起こされる恐れがないように弁護士にアドバイスを受けながら手続を進めるのが良いでしょう。離婚届の署名欄・押印欄を偽造して提出するのは相当ではありません。

戸籍法48条2項の利害関係人として,特別な事由がある場合,市町村役場が受理した離婚届に記載された事項について証明書について,交付請求の行政上の対応策があります。

住民基本台帳事務処理要領記載の支援措置(住民票等の交付制限)を受けている方については,加害者から届出の記載事項証明書や閲覧の請求があった場合,被害者の住所,電話番号等の内容が加害者に知られないよう,マスキング処理がなされた上で交付されることになっています。

加害者から届出の記載事項証明書や閲覧の請求で住所が判明されたくないという場合は,住民基本台帳事務処理要領記載の支援措置(住民票の交付制限等)をしておくのが相当です。

そして,既に支援措置を受けており,離婚届けの記載事項の交付請求の制限を希望する場合には,離婚届と併せて,「離婚届の記載事項の交付請求希望の申入書」(申入書は市役所等のHPを参照してください。)を提出することが妥当です。

 

ここまでのポイントをまとめると,

・DVによって,既に住民票を移転している場合は,旧住所を書いた離婚届を受理してもらうためには交渉が必要で,結果受理されない可能性も否定できない

・実質的に,離婚無効確認訴訟の準備を理由として,離婚届の記載事項証明書の交付請求を見据えて,住民票の交付制限等の支援措置を受けたうえで,離婚届けの記載事項証明書の交付請求があった際にマスキング処理を求める申入書を出しておくこと

―になります。

総務省のHPの住民基本台帳の箇所にDV等支援措置関連通知が掲載されていますので,参考にしてみてください。支援措置(住民票等の交付制限等)についても確認することができます。通知は,「平成16年5月31日総務省行市213号通知「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」です。

 

名古屋駅ヒラソル法律事務所では離婚トラブルの解決を積極的に支援しており、協議離婚の代理交渉や公正証書の作成サポートにも力を入れています。名古屋で離婚にお悩みの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

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