別居と当面の生活費の工面のポイントを弁護士が解説

 

別居と当面の生活費の工面のポイントを弁護士が解説

 

これから別居を考えているAさん。「当面の生活費はどうすれば良い」のでしょうか。

 

当然のことながら、別居後の生活に備えるため、従前の生活レベルに合わせて、いくらかの現金を持参する必要があります。

 

会社員の場合はそれなりの年収がある場合は持ち出しの必要性は低いといえるでしょう。しかし、主婦やパート労働者の場合、時には、月々の生活費に事欠くような状況での別居であり、別居後も必ずしも直ちに配偶者のBさんが婚姻費用分担に応じてくれない可能性が高い場合があります。

 

このような必要性の高低に応じて、「一定の現金を持ち出すことはしかないことといえる」場合があります。しかし、基本的には、財産分与の先取りのような大きな金額を持ち出すべきではなく、3~6か月分の婚姻費用相当額がメルクマールになる可能性があります。

積極的に持ち出す必要性が高くないのに、積極的に持ち出した場合、場合によってはその違法性が問われる可能性がないとまではいえないので、注意しましょう。

 

今回は別居と当面の生活費の工面について、注意すべきポイントをご紹介しますので、これから離婚を進めようとしている方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.持ち出した現金は財産分与の対象

持ち出した現金は、その原資が共有財産の場合には、財産分与の対象となる場合が多いと考えられています。また、別居後の生活費については、婚姻費用分担請求の中で調整される場合もあります。

 

別居後は、早期に婚姻費用分担調停を申し立てる必要があります

持ち出した現金があるから、婚姻費用分担を申し立てない理由にはなりません。上記の解説ですと、せいぜい3か月から6か月程度の分しか持ち出していないことになります。

婚姻費用の分担の始期は、実務では「請求時説」がとられており、調停の申立月とされており、別居に遡って遡及請求することは難しいと考えられるからです。

婚姻費用分担調停の申立てをすると、「暫定払い」といって、Bさんが、算定表の一定額までは任意に支払ってくれるケースもあります。

しかしながら、感情的な対立等、様々な理由で、一切の支払を拒まれるケースもあります。この場合は、弁護士とよく協議しながら、「審判前の保全処分」という仮処分を申し立てるかを検討することになります。

有責配偶者からの婚姻費用請求については、権利濫用の法理が適用され、少なくとも、こどもを連れて別居した場合、こどもの養育費相当額については、有責性の問題があったとしても認められるべきものと考えられます。

 

 

2.自宅にあった現金の持ち出しは婚姻費用なのか?財産分与か?

Aさんが、別居する際に、自宅にあった現金を持って出た場合、婚姻費用として主張するのか、財産分与として主張するべきでしょうか。反対にいうと、Bさんは、現金が持ち出されていることをもって、婚姻費用の支払を拒むことができるのでしょうか。

2-1.実務的なベースラインとしては「財産分与」

実務では、一方配偶者が別居時に持ち出した財産について、最終的な財産分与において、一部受領済みとして処理するのが一般的です。

裁判所の考え方としては、現金の持ち出しは、別居開始後の初期費用に充てるためという理由が多く、別居後間もなく現金をすべて費消してしまっていることが多いからとのことです。

この場合、婚姻費用としての主張を許してしまうと、別居後の生活が立ちいかなくなるおそれがあるという論理です。

2-2.例外的処理

Aさんが別居にあたって、夫婦共有財産を持ち出した場合、これを生活に宛てていたとしても、その清算は、財産分与においてされるべきものとされています。

したがって、原則として、婚姻費用分担額算定に当たって考慮すべきことではないとされています。

しかしながら、①持ち出した金額が明白であり、②これを婚姻費用に充当することに義務者に異存がない場合、③あるいは、その財産をAさんに保有させて消費可能な状態に置いたまま、さらにBさんに婚姻費用の分担を命ずることがBさんに酷である場合には、婚姻費用の既払いと扱うことは可能です。(大阪高裁昭和59年12月10日決定、大阪高裁昭和62年6月24日決定)

 

よって、持ち出した財産については、原則は、財産分与の問題として取扱い、婚姻費用については、別途協議あるいは調停で定めることになります。

 

3.例外の参考判例(札幌高裁平成16年5月31日)

この裁判例は、別居中の妻が夫に対して婚姻費用の分担を請求した事案の即時抗告審でした。

そして,妻が共有財産である預金を持ち出し,これを払い戻して生活費に充てることができる状態にあり,夫もこれを容認している場合という規範を満たしていました。

決定は,上記預金から住宅ローンの支払に充てられる部分を除いた額の少なくとも2分の1は,夫が妻に婚姻費用として既に支払い,将来その支払に充てるものとして取り扱うのが当事者の衡平に適うとしました。

「相手方は,原審判がされた平成16年2月6日時点で抗告人と相手方の共有財産である約550万円の預金を管理しているのであるから,相手方の生活費に充てるためにいつでもこれを払い戻すことができる状態にあるということができる。そして,本件記録によれば,抗告人も相手方が上記預金から払戻しを受けて生活費に充てることを容認していることが認められる。このように,相手方が共有財産である預金を持ち出し,これを払い戻して生活費に充てることができる状態にあり,抗告人もこれを容認しているにもかかわらず,さらに抗告人に婚姻費用の分担を命じることは,抗告人に酷な結果を招くものといわざるを得ず,上記預金から住宅ローンの支払に充てられる部分を除いた額の少なくとも2分の1は抗告人が相手方に婚姻費用として既に支払い,将来その支払に充てるものとして取り扱うのが当事者の衡平に適うものと解する。」

「相手方は,夫婦共有財産があるとしても,それは離婚時に清算すべきもので,抗告人の婚姻費用分担義務はなくならない旨主張するところ,確かに,夫婦共有財産は最終的には離婚時に清算されるべきものではあるが,離婚又は別居状態解消までの間,夫婦共有財産が婚姻費用の支払に充てられた場合には,その充てられた額をも考慮して清算すれば足りることであるから,相手方の主張は理由がない。」

 

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