離婚が子どもに与える影響について

離婚が子どもに与える影響について

 

子どもがいる夫婦が離婚する場合、子どもに与える影響についても考えておく必要があります。特に夫婦のどちらが「親権者」になるか、「面会交流」が充実しているかは、子どものその後の人生に多大な影響を及ぼします。

今回は、離婚が子どもに与える影響について考えてみましょう。

 

1.親権者

婚姻中、通常子どもは父母の両方と一緒に暮らしており、父母の両方が共同で親権を行使しています。父親にも母親にも子どもの財産管理権や身上監護権がある状態です。

しかし離婚後には夫婦のどちらかにしか親権が認められないので、一方の親には親権がなくなります。子どもは母親か父親の片一方としか一緒に住めなくなりますし、子どもの財産管理をできるのも親権者となった親だけです。

どちらの親が親権者になるかによって、子どもの居住地や学校、生活レベル(親の経済力)、居住環境などが変わってくるので、子どものその後の人生を決定すると言っても過言ではありません。こどもの学校生活でひやかされたりすることもあるかもしれません。また、こどもが親の喪失感や他方の親を捨ててしまったのではないかという罪障感を感じることもあります。

そこで、親権者は慎重に決めなければなりません。監護の継続性や母子優先の原則といった基準だけで決めるのは相当ではありません。親のエゴや意地ではなく、「どちらが子供を育てるのに適しているか」という観点から冷静に話し合って決めましょう。例えば,母親に引き取られても男の子が「父性」を取得するためには父親との交流が必要と考えられます。運動などの分野や男性性の取得には父親というロールモデルが必要になります。また、その反対のこともいえます。

 裁判所が親権者を判断するときには、以下のような点を考慮しています。

  • 養育実績
  • 現在の子どもとの関係
  • 子どもが乳幼児の場合には母親が優先される
  • 子どもの年齢が高くなってくると子どもの意思も尊重される
  • 子どもと一緒に過ごせる時間をたくさんもてる
  • 心身の健康状態
  • 居住環境
  • 経済力
  • 離婚後の面会交流への積極性

 

夫婦で話し合って決めるときにも、上記のようなことを考慮して親権者を決定すると良いでしょう。また,面会交流については,「おまけ」のように考えるのではなく,こどもの行事と考えて織り込み済みにして生活することが今後は求められます。特に小さいこどもの場合は交互監護が相当とされた事例もありますので、話合いが成り立つときは白か黒ではなく、子の幸せという観点から決めましょう。

 

2.親権者争いが発生したときの子どもへの影響

夫婦間で親権者争いが発生して自分たちで親権を決められない場合には、家庭裁判所で調停や訴訟をして親権者を決めてもらわねばなりません。

親権トラブルが発生すると、子どもに対する悪影響が大きくなりやすいので注意が必要です。

たとえば親が以下のような対応をとるケースが多くみられます。

 

2-1.子どもに親を選ばせる

子どもに対し「パパとママ、どっちと住みたい?ママだよね?」などと言って親を選ばせます。子どもは両方の親と一緒に住みたいと思っているのでこのように親を選ばされると大変大きな苦痛を感じます。ただし、近時はドイツの影響を受けて、子に発言の機会が与えるのが相当という考え方が主流になり、このような考え方は子の意向表明権として家事事件手続法や人事訴訟法の一部に取り入れられています。

 もっとも、私のブリュッセルに住む甥っ子は,父母の離婚の際、日本に帰国する母にはついていかず,ベルギーに残ることを選びました。このようにこどもも気持ちや声を持っています。パパとママが両方大好きでも、地域(ロケーション)や友人を大切にしたいという気持ちにも敬意を払ってあげてください。

2-2.子どもを奪い合う

どちらもが子どもと一緒に住みたいため、別居の際などに子どもを引っ張り合って奪い合う夫婦もいます。特に30代から40代の夫婦に多いように思います。こどもが3歳から10歳くらいまでの間は,誰からみても無条件に可愛いものですから,奪い合い気持ちも分からなくはありません。

しかし,このようなことをされると、子どもは恐怖を感じ、心を引き裂かれるような精神的苦痛をも感じます。また,裁判で勝訴を得たからといって子の強制執行が子の心情からみて妥当かは改めて検討をしてみてください。

また,離婚後,離婚後給付として養育費をもらいたいという理由だけでこどもをひきたがる方もいますが相当とはいえません。どのような監護計画や教育計画を持っているかこそ今後は重視されるべきことです。

 

2-3.子どもに相手の悪口を吹き込む

親権者になりたいがために、子どもに相手の悪口を言う方も多いです。子どもが親に同調して一緒に相手を悪く言うようになるケースもありますが、子どもにとっては相手も半身ですから、このようなことは子どもの健全な成長面からして良くないことです。子ども自身も心の中で傷ついていることが多いです。まずは監護親に心理的に影響を受ける忠誠葛藤,そのほか男の子に父親と起こりやすい同化という症状もあります。父親の言動などをまねて発言するということです。こういう同化が起きている場合は無理に母親が引き取ることについてはよく双方で検討しましょう。

 

2-4.子どもを連れ去る

親権者になりたいために、子どもをいきなり連れ去る親もいます。基本的に連れ去ったもの勝ちというよりいずれが子を将来にわたり幸せにできるかで親権者は決められるべきでしょう。

子どもが泣き叫んでも無理矢理連れ去ってまったく知らない土地で暮らし始めたりするので、子どもの心は深く傷つきます。このことは子連れ別居の場合でも同じです。昔,「ママは僕に嘘ついて幼稚園をやめさせて,引っ越すと嘘をついて親からおカネをもらっていた。汚いよ」「ママが僕を裁判で引き離しても絶対電車で戻ってくる」と弁護士にいってきた5歳児がいました。明晰な子もいますし、子は思っているよりみているのです。でもこの子は進学先の小学校では離婚について嗚咽を漏らしていたと教師から聴きました。

 

親権争いが発生すると、子どもを傷つけるような言動をとる親が多いのですが、子どものためを思うなら、上記のようなことをしてはいけません。あくまで子の最善の利益を中心に父母の利害を調整するようにしましょう。

 

3.子どもの名字と戸籍

離婚したら、子どもの名字と戸籍についても考えておかねばなりません。特に母親が子どもを引き取ったら、母親と子どもの名字と戸籍が異なる状態になるケースが多いです。

離婚して母親が親権者となっても、子どもの名字と戸籍は元夫と同じままだからです。母親が旧姓に戻したら子どもと母親の名字が違う状態になりますし、母親が婚姻時の姓を続称するとしても戸籍は異なる状態となります。

子どもと母親の姓や戸籍を揃えるには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」という手続きをとる必要があります。

申立の際には姓や戸籍を変更すべき理由が必要ですが、これについては「親権者となった母親と揃えるのが便宜である」などの簡単なもので変更が認められるのが一般的です。

申立てをすると、家庭裁判所で審判が行われ、子どもの氏(戸籍や名字)の変更が許可されて「審判書」が交付されます。

審判書と確定証明書(家庭裁判所から取り寄せます)を役所に持参すれば、役所で子どもの戸籍と名字を書き換えてもらえて、母親と同じに揃えることが可能です。

 

4.親権者とならなかった親との面会交流

離婚するときには、親権者にならなかった親との「面会交流」についても考えておくべきです。離婚がやむを得ないとしても、相手は子どもにとっては世界でたった1人の親であり、本心としては「会いたい」と思っていることが多いからです。また別居親と会って良好な関係を維持しておくことは、子どもの健全な成長にも役立ちます。

子どもが虐待されていたなどの事情があればできなくても仕方ありませんが、基本的には面会交流を実施する方向で進めましょう。

面会交流の方法は特に決まっていないので、夫婦で話し合ってもっとも実現しやすい方法を決定するのが良いです。月1回でも2週間に1回でも2か月に1回でもかまいません。

子どもの年齢に応じて会い方や会う場所、受け渡しの方法や時間など、柔軟に取り決めていくのが良いでしょう。

意識改革が必要であるのは、面会交流はこどもの行事ということです。おまけ程度に考えてみると負担に思いますが、フランスでは面会交流をしなければ刑罰があったり子の小学校への送迎をしなければなりません。このように幼児や小学生を持つ父母には様々な義務があるのです。面会交流についても、その充実は子の福祉に資するものと考えて、その間は自分の新たなパートナーと過ごしたり、友人と遊んですごす監護親もいます。いつまでもネガティブな感情に支配されていると子の発達にも影響が出ます。明るく送り出してあげましょう。

 

離婚が子どもに与える影響は大きいです。なるべく悪影響を小さくするためには、夫婦が子どものことを考えて譲り合い、夫婦の問題と親子の問題を分けて考えることなどが必要となります。親権や面会交流、戸籍の手続きなどでお困りの場合には、お気軽に名古屋の弁護士までご相談ください。

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