協議離婚の際の注意点

夫が家を出て行って社宅に残れる?

社宅の入居資格

夫婦で同じ会社に勤めており、夫名義で社宅に入居していました。その後子どもを連れて離婚、夫が社宅を出ました。私は入居継続を求めていたのですが、会社から社宅に女性社員が入居した前例がないという理由で退去を求められました。私は社宅を出て行かなければならないのでしょうか。

A 女性であることのみを理由に社宅の貸与を許さない取り扱いは、雇用機会均等法6条2項に違反し、許されません。そのため、女性社員であることを理由に退去を求めることはできないと考えられます。このような案件の場合、一定期間は社宅に住むことが可能と思われますが、裁判上、長期の別居のメルクマールといわれる3年を超えだすと、婚姻破綻が認められる可能性もあり、現実的に婚姻世帯としての社宅にいられるかは疑問です。転居先を検討せざるを得ない場面も出ると思います。また、男性も、実質的に別居し離婚状態の場合は単身扱いとして、世帯扱いから取り扱いを変更され、いずれにせよ、社宅を出ないといけないケースも散見されます。本件では、夫婦で同じ会社に務めているという前提条件がありますが、こうした前提がないことが多いので、むしろ専業主婦やパート労働の場合に社宅に居続けられるか、という観点がシャープに問題になっています。

 1 「社宅」についての差別的取り扱い禁止

 社宅の入居資格の有無は、就業規則などによって定まります。しかし、雇用機会均等法6条2号、雇用均等法施行規則1条4号は、「住宅の貸与」について差別的取り扱いを禁止していますから、男性にのみ社宅を貸与するという取り扱いは、たとえ就業規則等に定められていても無効です。

 したがって、上記相談の事案では、相談者名義で改めて会社と社宅への入居契約を締結することで、退去を免れる可能性が高いです。

 

2 具体的な手段

 労働者と事業主の間の差別的取り扱いに関するトラブルは、職場での解決が困難な場合、都道府県の雇用均等室に相談することをおすすめします。均等室では、以下の2つの手続きがもうけられています。これらは夫婦関係の調整というより、労働関係の調整です。したがいまして、労働関係の調整に該当するのか否か、法律相談なので、相談されたうえで援助や、労働系の調停をするのが良いとは思います。しかし、問題の本質が婚姻関係の調整にあるのであれば、家裁に調停を申し立てた方がまわり道ではないかもしれません。

(1) 都道府県労働局長による紛争解決の援助

 当事者の一方又は双方が雇用均等室に援助の申立てを行うと、雇用均等室は、労働者と事業主双方の意見を十分に聴き取り、必要な援助(助言、指導又は勧告)を実施します。これを当事者が受諾すれば、民法上の和解が成立します。

(2) 調停会議による調停

 調停を申請するには調停申請書を雇用均等室に提出します。調停は非公開で行われ、調停委員が当事者双方の事情を聴き、調停案を作成して当事者双方に調停案の受託を勧告します。これを当事者双方が受諾すれば、その合意は民法上の和解契約となります。

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