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内縁関係でも財産分与を請求できる?

内縁関係でも財産分与を請求できる?

 

離婚ではなく、「内縁関係」が3~5年続き、家計が一つであった場合、財産分与はできるのでしょうか。

婚姻届を提出している「法律婚」の夫婦の場合、離婚したら財産分与を請求できます。では婚姻届を提出していない実質的な離婚である「内縁関係の解消」でも、財産分与を請求できるのでしょうか?

 

実は内縁関係でも基本的に財産分与請求は可能ですが、法律婚の場合と請求方法において異なる点があります。

 

今回は内縁関係を解消した場合の財産分与のポイントについて、名古屋の離婚弁護士が解説します。

 

1.内縁関係でも財産分与が認められる

そもそも内縁関係でも財産分与が認められるのでしょうか?「内縁関係」「財産分与」の言葉の意味とともにみていきましょう。

 

1-1.内縁関係とは

内縁関係とは、婚姻届を提出しない「事実上の夫婦」です。婚姻届を提出していないので戸籍も苗字も異なりますが、お互いに「結婚する」意思を持っており同居して「夫婦」として暮らしています。最近では、「夫婦別姓」などの観点からあえて婚姻届けを出されない方もいるみたいです。

 

1-2.財産分与とは

財産分与とは、夫婦が離婚するときに共有財産を分け合うことです(清算的財産分与)。

夫婦の預貯金や不動産、車や生命保険、株式などの財産を基本的に2分の1ずつに分与します。

このような2分の1ルールは内縁にも適用されるのでしょうか。

1-3.内縁関係でも財産分与できる

民法の財産分与に関する規定は、もともと婚姻届を提出した「法律婚」の夫婦を対象としたものです。そうはいっても内縁関係の場合にも、「夫婦」として同居して共同生活を営み、協力して財産を築き上げているという意味で法律婚と同じです。そこで法律上、財産分与の規定が適用されると考えられています。この点、最近は「内縁」といっても「同居まではしない」というケースがありますので、この場合、ここにいう夫婦として同居して共同生活を営むとまではいえない可能性があります。

 

内縁関係を解消した際「夫婦共有財産」があれば、財産分与を求められますし、共有財産として財産分与の対象になる範囲も法律婚の場合と同様です。特に内縁の女性を保護する法理が裁判例で発展しています。

なお、離婚弁護士によっては、内縁による財産分与が現実的ではないため、慰謝料などの請求によるべきではないか、といった見解もあるかもしれません。ここでは夫婦同様の生活を営んでいる場合を中心に婚姻届けを出していないため「離婚」にならないケースに焦点をあてます。 

1-4.共有財産の例

  • 現金、預貯金
  • 生命保険、共済
  • 株式
  • ゴルフ会員権
  • 積立金
  • 不動産
  • 仮想通貨
  • 退職金
  • 貴金属、絵画、骨董品

仮想通貨も財産分与の対象なんてびっくりですよね。

別れた内縁の夫婦に上記のような資産があれば、基本的に財産分与請求の対象になると考えましょう。

 

2.「婚姻の意思」に疑問がある場合に財産分与を認めた裁判例

内縁関係が成立するには「婚姻の意思」と「共同生活の実態」の2つの要件を満たす必要があります。つまり2人が「結婚して夫婦になる気持ち(婚姻の意思)」を持ち、同居して共同生活を営んでいなければなりません。ただ過去の裁判例では「婚姻の意思」があいまいなケースで内縁関係の成立を認めたものがあるので紹介します(岐阜家裁昭和57914日)。

わかりやすくいえば、夫婦として生活していることが必要だよ、ということになるのです。 

その事例ではもともと水商売や風俗店で働いていた女性が無職の男性と同棲し、2人で学校を開設したり喫茶店を営んだりして生活してきました。共同生活は7年程度に及びましたが婚約したことはなく、結婚式も結婚披露宴も結納も行っていませんでした。また女性側が婚姻届の提出を求めても、男性側が拒絶していた経緯もありました。

この場合、法律上の内縁とはいえない可能性もあります。

裁判所は、男性が経営する喫茶店の賃貸借契約において女性が保証人になったりお店の会計管理を女性が行っていたりした事情を重視し、2人に「内縁関係」の成立を認めました。画期的な裁判例ですね。

財産分与割合については女性側が4分の1、男性側が4分の3とされましたが、女性による財産分与請求が認められた事案です。

内縁だからといって「婚姻の意思」がはっきりしているとは限らないーでもあきらめないで!

この事例で注目すべき点は「婚姻の意思」がはっきりしないにもかかわらず財産分与が認められた点です。

内縁関係が成立するには「婚姻の意思」が必要です。

婚姻の意思がなければ財産分与請求も認められないはずです。

ところがこの岐阜地裁の裁判例では「婚約」「結婚式」「結婚披露宴」「結納」など一切儀礼的行為が行われておらず、むしろ男性側が婚姻届の提出を頑なに拒んでいた事情があったにもかかわらず内縁関係を認めました。このことからすると「婚姻の意思」はある程度曖昧な状態であっても内縁関係の成立が認められる余地があるといえそうです。

 

なお財産分与割合が4分の1となっているのは、当時の時代背景が影響していると考えられます。昭和40年代や50年代にはまだまだ女性が社会進出しておらず、裁判でも女性の財産分与割合を減らされるケースが多々ありました。今は男女平等となりほとんどの事案でも夫婦の財産分与割合が2分の1となっています。上記の事案でも、もし現代であれば女性に2分の1の割合における財産分与が認められた可能性が高いといえるでしょう。

内縁では、「賃貸借」など保護される場面で、内縁と認められるか否かが異なることも考えられます。

3.遺産相続はできない

内縁関係の場合、財産分与請求はできますが遺産相続はできません。内縁の夫や妻が死亡しても配偶者として遺産を相続できず「特別縁故者」として一部財産を受け取れる可能性が残されるのみです。

内縁関係の配偶者へ遺産を遺したい場合には「遺言書」を作成するか「死因贈与」「生前贈与」によって対応する必要があります。

 

4.内縁関係を解消した場合の財産分与請求方法

内縁関係を解消した場合の財産分与請求方法は、法律婚のケースと異なります。法律婚と異なり「離婚の話し合い」が不要だからです。つまり、別居や離婚時というような法形式がないのです。

4-1.相手と話し合って財産分与契約を締結する

同居を解消したら自然に離婚が成立するので、その後相手と財産分与の方法について話し合い、当事者同士で合意できたら財産分与できます。「財産分与契約書」を作成し、支払を確実に受けるため公正証書にしておきましょう。財産分与であることを明確にしないと思いがけない課税もあり得ます。この点は、よく弁護士や税理士に相談した方が良いでしょう。

 

4-2.家庭裁判所で調停や審判を行う

話し合っても合意できない場合、家庭裁判所で「財産分与調停」を申し立てます。法律婚とは違い「離婚調停(夫婦関係調整調停)」ではないので注意しましょう。内縁でも調停ができるんですね!

財産分与調停の申し立て先の家庭裁判所は、相手方の居住地を管轄する家庭裁判所です。調停を申し立てると月1回程度のペースで、家庭裁判所で期日が開かれ「調停委員」を間に挟んで財産分与の話し合いを進めます。それでも合意できない場合「審判」に移行して家庭裁判所が財産分与の方法を決定します。法律婚の夫婦と違い「離婚訴訟」を起こす必要はありません。

 

当事務所では男女・夫婦の法律問題に積極的に取り組んでいます。内縁関係にお悩みの方がおられましたら、是非とも一度ご相談ください。名古屋駅ヒラソル法律事務所では、「財産分与」の詳しい弁護士がいます。是非、弁護士事務所までご予約ください。

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