DVを受けている方へ

家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)とは、家族内で行われる、配偶者に対するの暴力をさします。
身体的暴行や性的な暴力に限らず、暴言など精神的にストレスを与える行為もDVに含まれます。また、未婚カップルにも適用されます。
家族内という閉じた人間関係の中で行われるため、家庭内暴力は外部から発覚しづらい特徴があります。
DVを原因とする離婚については、その性質から、当事者間での話し合いによる離婚は難しい現実があります。

配偶者から暴力を受けているなら、今すぐにでも別居や離婚を検討しましょう。離婚するなら慰謝料も請求できるケースが多数です。名古屋駅ヒラソル法律事務所の弁護士でも,女性のDV離婚事件やモラハラ事件も扱っています。 実はDVには身体的な暴力以外にもいくつかの種類があります。法改正によって,今後,DV法におけるDV法の定義が,例えば,精神的虐待や経済的虐待のうち特にひどいものにも拡大されるのではないか,との報道がされています。 では,DV=暴力のイメージが強い中で,身体以外の暴力によっても離婚できる可能性があるというのは,いったいどういった行為がDVに当たり得るのか押さえておきましょう。

今回はDVの種類やDV被害者を守るための「DV法(配偶者暴力防止法)の内容」、「身を守るための保護命令」について解説します。 夫から暴力を振るわれて困っている方はぜひ参考にしてみてください。

1.DVの種類

DVには以下の6種類の暴力があります。
1) 身体的暴力
2) 精神的暴力
3) 経済的暴力
4) 性的暴力
5) 社会からの隔離
6) 子どもを介した暴力

1-1.身体的暴力

身体に直接危害を加える暴力です。 以下のようなケースが該当します。
1) 殴る、蹴る
2) 殴る素振りをみせて威嚇する
3) 髪の毛を引っ張る、引きずり回す
4) 熱湯や水をかける
5) 小突く、突き飛ばす
6) 胸ぐらをつかんで揺する
7) 頭を押さえつける
8) タバコの火を押し付ける
9) 包丁を突きつける
10) 唾を吐きかける
11) 物を投げつける
12) 高い場所から突き落とす

1-2.精神的暴力

相手を侮辱するなどして、ストレスをかける暴力です。
1) 大声で怒鳴りつける
2) 侮辱する、バカにする
3) 無視し続ける
4) 何を言っても否定する
5) 実家の親や友人、子どもに危害を加えるなどといって脅す
6) ものに当たり散らす
7) 行動を監視する
8) 「別れるなら死ぬ」などといって脅す
こうした精神的な暴力を「モラハラ(モラルハラスメント)」ともいいます。

1-3.性的暴力

夫婦間であっても、性行為の強要は許されません。場合によっては強制性交等罪が成立する可能性もあります。以下のような行為が性的暴力になります。
1) 性行為を強要する
2) ポルノビデオやアダルトサイトを無理に見せられる
3) 避妊してくれない
4) 中絶を強要する

1-4.経済的暴力

専業主婦の妻に生活費を渡さないなど、経済的に追い詰める行為もDVになります。 以下のような行為が該当します。
1) 生活費が不足しているのに渡さない
2) 一切お金を自由に使わせない
3) 家計を異常に厳しく管理する
4) 配偶者が外で働こうとすると妨害する、無理に仕事を辞めさせる
5) お酒やギャンブル、異性などに生活費をつぎ込む
6) 家のお金を勝手に持ち出して使い込む

1-5.社会からの隔離

実家の家族や友人、会社などの人間関係を遮断して社会と隔絶させようとする行為です。 以下のようなケースが典型例となります。
1) 実家の親族と会わせない、メールや電話をさせない
2) 友人と付き合わせない
3) 電話やメールの内容を執拗に把握しようとする
4) 外出を禁止する ときには親の葬式への出席すら認めない人もいます。

1-6.子どもを介した暴力

以下のように、子どもを巻き込むDVのパターンもあります。
1) 母親を殴っている様子を子どもに見せつける
2) 子どもに暴力をふるう
3) 子どもに配偶者の悪口を吹き込む
4) 配偶者に「子どもに危害を加える」などと告げて脅す

DVといえば「身体的暴力」を思い浮かべるかもしれませんが、実際には上記のような行為はすべてDVに含まれます。思い当たる方は注意してみてください。 ここで,気になる法改正に関連する情報をお伝えします。 DVについては,内閣府の専門調査会は2021年3月17日、通報や保護命令の対象を身体的暴力に限らず、精神的、性的暴力も含めるよう求める報告書をまとめたといわれています。 これは,「暴言」や「無視」、「性行為の強要」なども「被害者の苦痛」が大きいためで、生活費を渡さないといった経済的暴力も対象とするものです。 これを受け内閣府は、DV防止法改正の作業に着手するということで,スケジュールは,2021年度に有識者検討会を立ち上げるそうです。 このような立法動向が民法の「婚姻を継続し難い重大な事由」の解釈に与える影響もあるのではないかと想像します。 さて,広い意味で,DV被害を受けている場合は,これ以上我慢し続けない方が、あなたやお子様のためになる可能性があります。弊所では,特に上下関係があるようなタイプのDVないしモラハラが危険と位置付けています。(CCVといわれるものです。)

CCVというのは,「パワーとコントロール」に基づく暴力という意味です。  CCVでは,男性が,交際時や婚姻時から継続的な暴力を行っており,被害者を脅し,コントロールをするために身体的暴力だけではなく,性的暴力,経済的暴力,感情的・心理的虐待など,広範囲の複数の戦略を組み合わせるのです。  被害者が暴力による深刻な被害を受ける一方,身体的な暴力は軽微であるケースも少なくなく,世間では,被害の程度を否認,ないし矮小化しがちだと指摘されています。  もし,あなたがCCVの被害にあっているかはどうしたら分かるのでしょうか。  それは,身体的暴力だけでなく,暴力の継続性に着目することです。  また,1)身体的暴力に付随する心理的暴力,2)性関係の強要,3)交際や就労を制限して孤立させる等,複数の戦略を利用して相手をコントロールしていると評価できるかを踏まえて,4)リスクの程度を評価することになります。

2.新型コロナウイルス感染症によるDVの深刻化

全国において、DVに悩む人は増え続けています。配偶者暴力相談支援センターへの相談件数も、2019年には11万9千件となりで過去最多を記録しました。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、自宅で過ごす人が増えたりストレスが溜まったりしたことが要因の1つになっているともいわれます。 また,弁護士への相談のし易さなど相談の裾野が広がったことも,「認知」件数が広がったことの影響ではないかと考えています。

3.DV防止法とは

日本には、DV被害者を守るための「DV防止法(配偶者暴力防止法)」があります。 DV防止法は,一般に,「女性の保護法」と理解されています。前文を読んでみましょう。 「配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。」 被害者はDV防止法にもとづいて、身の安全を守ってもらえるために裁判所へ「保護命令」の申立ができます。 またDVに防止法には、配偶者暴力相談支援センター、警察、福祉事務所、児童相談所が連携してDVを防止したりDV被害者を保護したりするための対応をしなければならない義務も定められています。 以下でDV防止法の定めやこれまでの改正経緯などをみてみましょう。

3-1.DV防止法で認められる保護命令

DV防止法にもとづいて、被害者は「保護命令」を申し立てられます。 保護命令を申し立てると、DV加害者には被害者や被害者の親族、子どもなどへの接触が禁止されます。違反すると逮捕される可能性もあるので、ほとんどの加害者は被害者へ接触してこなくなります。暴力による被害を避けるには非常に効果的といえるでしょう。

DV防止法では以下の4種類の保護命令を認めています。 被害者への接近禁止命令 被害者自身へ直接接触する行為が禁止されます。たとえば面会の強要、つきまとい、自宅や勤務先での待ち伏せ行為などができなくなります。違反した場合、加害者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が課されます。

1回の申立について、命令が持続する期間は6ヶ月ですが、再度の申立によって更新が可能です。

自宅からの退去命令 加害者を自宅から退去させるための保護命令で、有効期限は発令から2ヶ月間です。 すぐに自宅から引っ越しできない場合などに申し立てるとよいでしょう。 この場合,典型的には夫を自宅から退去させるということになります。つまり,法的制約の程度が大きくなり,また,警察の援助も欠かせないといえることから,弁護士に一度相談されることをすすめます。

被害者の親族や子どもへの接近禁止命令 実家に押しかけてきて親に危害を加えられるおそれがある場合、子どもを連れ去られるおそれがある場合など,結局,女性が,夫からの面談の強要となるような場面になりかねない事態を想定して,被害者の親族や子どもへの接近禁止命令も申し立てられます。ただし子どもが15歳以上になっていると、子どもの同意が必要です。 加えて,あくまで母親と父親との面談強要を防止するという趣旨の申立てでなくてはいけません。 期限は発令時から6ヶ月とされます。(これが結構短く,法的手続きをとっていると,あっという間に過ぎてしまうという印象があるという感想も聞かれないではないところです。)なお,延長もできますが,3回以上の延長は難しいとみるべきでしょう。

電話やメールなどの禁止命令 直接的な面会の強要やつきまといだけではなく、電話やメールなどを使った接触を禁止するための保護命令です。
1) 連続した電話、深夜や早朝の電話、FAX、メール
2) 名誉の侵害
3) 汚物や動物の死骸を送りつけるなどの嫌がらせ
4) 無言電話
こういった行動を抑止できます。

3-2.DV防止法の内容は拡充されている

DV防止法は2001年に制定されましたが、その後改定を繰り返されて内容が拡充されています。 もともとは「法律婚の配偶者」にしか適用されませんでしたが、改正によって「内縁関係」や「生活の本拠をともにする交際相手」にも適用されるようになりました。 また、もともとは「配偶者への接近禁止」しか認められませんでしたが、法改正によって「子どもや親族への接近禁止命令」「電話やメールの禁止命令」も発令してもらえるようになっています。 令和元年には児童相談所との連携についても法律で定められ、子どもの権利にも配慮した内容となりました。

4.将来は精神的暴力や性的暴力も対象に

現在のDV防止法による保護命令は、配偶者から身体的暴力や脅迫を受けている場合を対象としています。 相手から日常的に侮辱されているなどの「精神的暴力」、性行為を強要されるなどの「性的暴力」、生活費を渡してもらえないなどの「経済的暴力」は保護命令の対象外です。現状ではモラハラなどの被害を受けていても保護命令を出してもらえず、別居後に相手が押しかけてくる可能性が懸念されます。 そこで政府は有識者検討会を立ち上げて、DV防止法の保護命令の対象を広げるための法改正に着手しようとしています。保護命令だけではなく離婚事由にも影響しかねないと論じたのは上記のとおりです。https://www.tokyo-np.co.jp/article/92154

DVと離婚

DVを受けている状態では、離婚を切り出すこと自体が非常に難しい心理状態になります。離婚を切り出したら、相手が逆上して、相手から大声で怒鳴られたり、暴力を受けたりなど相手の反応が不安で言い出せないこともあるでしょう。実際にそのように全く話し合いにならないケースもよくあります。
DVを原因とする離婚の場合、当人同士だけでの協議が進まないことが多いため、早めに離婚調停の申立てるという手段もあります。家庭裁判所を間に挟むことで、相手も冷静に対処せざるを得ず、話し合いの前進が期待できます。
離婚調停を行う場合、相手に秘匿したい情報を漏らさないように気をつける必要があります。相手と別居している場合は、申立書の住所欄には現在の居所ではなく、前の住所を記載するなど、その別居先の住所を知られないようにする工夫が必要です。その他知られたくない情報が記載された証拠物については、必要箇所を黒塗りするなどして対処しましょう。
また、DVが酷い場合は、調停当日に別室で調停を行なうことなどが可能ですので、事前に裁判所に申し出てください。

DVを原因として離婚を請求する場合、大抵、相手は裁判ではDVの事実を否定してきます。あるいは暴力をふるったことは認めたとしても、その程度や回数については過少に表現するなどして否定してくることもあります。刑事事件となって動かぬ証拠となれば、相手も認めざるを得ませんが、このような場合は、証拠によってDVの事実を証明していく他ありません。
したがって、証拠となるものを収集しておくことが重要です。例えばDVによって怪我をした場合には「医療機関の診断書」や「怪我の写真」などを取得・保管しておく必要があります。
もし現時点では、離婚を考えていないという方でも、暴力被害に遭った際には、写真の保存と医療機関を受診しておくことをおすすめします。
DV被害を受けている被害者は「自分が悪いから暴力を振るわれる」と思い込むケースも少なくありません。夫が「離婚するなら死ぬ」などというので「離婚はできない」と思い込んでいたり、「相手は、本当は良い人だ」と信じ込んでいたりする方もたくさんおられます。 しかし暴力はどのような理由があっても正当化されるものではありません。 「別れるなら死ぬ」などといっている相手でも、実際に離婚するとケロッとしているものです。また暴力を振るう人が「良い人」であるはずはありません。 暴力を受けていて少しでもおかしいと感じているなら、1度第三者へ相談してみるようお勧めします。いきなり女性センターや警察に相談するハードルが高ければ、まずは実家の親族や友人などでもかまいません。身近な人の支援を受けて、公的な機関や弁護士につないだり,相談しようと考えている弁護士に相談したりしましょう。 当事務所ではDV被害者への支援体制を強めています。保護命令については,経験があるかを聞かれると良いと思います。保護命令を申し立てて認められたり再度申立が認められたり,あるいは却下された経験がない弁護士では見通しを立て辛く,頼りたく思う心情も理解できるものです。心当たりのある方は経験ある,幣事務所へ,お気軽に無料相談をご利用ください。

弁護士に依頼するメリット

DV被害者が離婚しようと決心した場合、一人で全て行動するのは大変困難です。相手と正面から主張するのは大変危険な場合な可能性もあります。そのため、弁護士とご相談の上で安全に進めることをおすすめします。
弁護士のなかには、DV案件は避けている方もいるので経験値に差があるので、どこの事務所でも問題ない、とはいきません。当事務所では、これまでDV案件も数多く取り組んできましたので、安心してご相談下さい。
一人で悩まずに、まずご相談してください。あなたの命と尊厳のために当事務所は全力を尽くします。

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