財産分与の税額計算

 私は、妻と離婚し、愛娘の充希のために、財産分与として不動産をもらうということになりました。

 その場合、私には、一括で弁済することになりまして、どれくらいの税金がかかるのでしょうか。その不動産が自宅である場合と自宅以外の不動産の場合とで税金は異なりますか。

 

Step1.不動産を分与した場合の実効税率は20.315パーセント!

 不動産を分与した場合、不動産の値上がりによる増加額に対して、所有期間が5年超の場合は、所得税15.315パーセント、地方税5パーセント、5年以下の場合は所得税30.63パーセント、地方税9パーセントとなり、実効税率は39.63パーセントとなります。

 ただし、不動産は自宅であるケースがほとんどです。このように、居住用不動産の場合は、3000万円の特別控除があります。また、所有期間が10年超の居住用財産については、さらに、税率も軽減されることになっています。従って居住用不動産の特例はよく覚えておきましょう。

Step2.不動産の譲渡所得の課税方法!

 不動産の譲渡所得については、他の所得と分離して税額を計算することになっています。これを分離課税といいまして、通算ができないという意味です。

 不動産の譲渡所得は、譲渡した月の1月1日において所有期間が5年を超えるか否かで税率が異なります。所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合は、所得税15パーセント(復興15.315パーセント)、住民税5パーセントです。

 さて、5年未満の場合はどうかというと、所得税30パーセント(復興30.63パーセント)、住民税9パーセントです。平成25年から、元号は変わりますが平成49年に対応する時期までは、すべての所得に基準所得税額の2.1パーセントの復興特別所得税額が加算されます。

 譲渡所得の計算は、短期長期ともに共通です。譲渡収入の金額から必要経費(取得費+譲渡費用)を差し引いた金額です。

 財産分与の場合、譲渡収入の金額とは分与価格の時価です。取得費は、原則として資産の取得価格に設備費、改良費を加えて減価償却費相当額を差し引いた額になります。しかし、実際の取得価格がわからないときや実際の取得費よりも譲渡価格の5パーセントの方が金額を上回っている場合は、譲渡価格の5パーセントが取得費となります。

 また、資産の評価方法、減価償却費の研鑽方法、譲渡費用、所得控除の可否は税理士にお問合せください。

Step3.居住用不動産の場合!

 財産分与として居住用財産を譲渡した場合は、3000万円の特別控除が受けられます。簡単にいうと、居住用財産であれば、3000万円以上値上がりしていなければ税金はかからないという論理になります

 さらに譲渡した年の1月1日の所有期間が10年を超える場合は、3000万円こうじょごの譲渡益に対する課税についても税率が軽減されています。

Step4.居住の用に供しているとは?

 離婚をしていると別居しているケースもあります。ところで、居住の用に供している家屋とは、その人の生活の拠点として、利用している家屋であり、その人の日常生活の状況、諸般の事情を考慮して決められます。

Step5.別居している場合の譲渡所得税

 さて、夫婦が、別居している場合は、①所有者が従来居住の用に供してきた、②所有者と生計を一つにする親族が居住の用に暮らしている、③所有者が現に生活の拠点として利用している家屋がその所有者の家屋ではない、といった一定の要件を満たせば、居住用財産の特例を受けることになります。反対解釈をすれば、別居不動産については、①は満たしやすいものの、②及び③の要件を満たさない可能性もありますので、財産分与の際、譲渡所得税には特に慎重に注意しましょう。

 なお、既に軽減税率の適用を受けている場合、居住用財産の3000万円特別控除と居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率の適用は併用できますが、これらの特例とそれ以外の特例(買い替え特例)との重複適用はできません。

Step6.離婚前財産分与は3000万円特別控除が受けられないかも

 上記で述べたように、財産分与として居住用財産を譲渡した場合は、3000万円の特別控除が受けられます。簡単にいうと、居住用財産であれば、3000万円以上値上がりしていなければ税金はかからないという論理になります。しかしながら、きちんと手順を踏んだ場合だけであり、これに居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率の特例は、配偶者、直系血族、生計を一にする親族等、特別な関係にある者との売買には適用されません。ズバリ、離婚に先行して事実上財産分与をしてしまう人がいますが、これは特例の適用が受けられません。注意してください。

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