離婚紛争のポイントは子の監護の紛争にシフトしています。
離婚紛争の中心は、「面会交流」「子の引き渡し」にシフト
離婚には、離婚の合意のこと、子どものこと、お金のこと-と大きく分けると3つのポイントがあります。
かつては「有責配偶者からの離婚請求」を認めたら「踏んだり蹴ったり」になってしまうのではないかなど「離婚の合意」にフォーカスがあてられていました。
また、お金のことは、「養育費」「婚姻費用」といった点ですが、裁判所の算定表をベースとしたマトリックスとその前提となる計算式で、審判を見通すこともできないことはなくなりました。
そこで、子どものことがクローズアップされています。2011年の民法改正案について、面会交流が明示的に記載されており、またいわゆる子連れ別居がハーグ条約上「子の連れ去り」と評価されていることと、国際法の法秩序遵守との齟齬も目立っている領域といえます。
面会交流に関する近時の裁判例や子の奪い合い紛争について、従前と比較して裁判例が異なってきている印象を受けます。
従来、どちらかというと監護の継続性を重視し、当事者双方のいずれかが監護者として適確であるのか、比較考量により判断し、監護が違法に開始された場合でも、子の福祉の判断をする際の一事情とされることとは異なり、原状回復を命じる審判例がみられるようになっています。そして、今後はハーグ条約の影響も受け「監護が違法に開始された」ことの射程距離が広がっていくことも考えられるのではないでしょうか。
子の引き渡しについては、民事執行法169条の類推適用により、7歳9ヶ月の子につき直接強制が認められています(東京地裁立川支部決定平成21年4月28日家裁月報61巻11号80頁)。統計によりますと、約1年で120件の直接強制が行われ、58件で引き渡しがおこなわれています。
現在、子どもの監護をめぐる紛争は「新しい」争点といえます。法の支配による解決を期待し、現在、審判に変化が生じているところでもあり、「お金の得意な弁護士」だけでは、離婚に取り組む弁護士としては十分ではなくなってきました。